【東横桃子SS】蒲原「モモのにおいがするぞー」

1 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 02:35:31.55 ID:Mvpjmqlk0

モモ「先輩……」ゆらっ

蒲原「やっぱりいたか。ワハハ」

モモ「相変わらずすごいっすね蒲原先輩」

蒲原「そうだろー」

モモ「ちょっと引くっす」

蒲原「え」

モモ「あはは、ウソっすよ」

蒲原「なんだウソか」

2 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 02:41:53.88 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「今日はユミちん一緒じゃないのか」

モモ「はい、なんか用があるみたいでまだ学校らしいっす」

蒲原「学校で待たなくていいのか?」

モモ「む、いつもそんなにべったりじゃないっすよ」

蒲原「いやベッタリだろー」ワハハ

モモ「私は別に、待つのは全然いいんすけど……それで加治木先輩が私に気をつかうなら、そんなことはしたくないんっす」

蒲原「そういうもんかー」

モモ「そういうもんっす」

4 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 02:45:51.06 ID:Mvpjmqlk0

モモ「蒲原先輩は?」

蒲原「?」

モモ「今日はどうしたんすか、こんなところで」

蒲原「帰り道だぞ」

モモ「……先輩の家、こっちの方角じゃなくないっすか」

蒲原「ワハハ。まあそうなんだけどな」

モモ「?」

蒲原「ふらふら散歩するのが好きでな。ちょっと足伸ばしてみた」

モモ「なんか先輩らしいっすねえ……」

5 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 02:49:00.54 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「長野はいいところだなー。歩いてて飽きないよ」

モモ「山ばっかりっすよ」

蒲原「それがいいんじゃないか」

モモ「そうっすかねえ」

蒲原「そうそう。ワハハ」

モモ「はあっす」

蒲原「モモは?何してたんだ、こんなところでー」

モモ「え?いや、えーと」

蒲原「?」ワハハ

6 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 02:51:41.60 ID:Mvpjmqlk0

モモ「……みちだから……」

蒲原「ん?」

モモ「……帰り道だから、っす。加治木、先輩の」

蒲原「」ワハハ

モモ「……」

蒲原「やっぱり待ってるんじゃないか」

モモ「!」

蒲原「いや、この場合”待ち伏せてた”かー?」

モモ「蒲原先輩!」

蒲原「ワハハ」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/29(月) 02:53:31.19 ID:pNycdUOV0

まさかの蒲モモかと思ったがそんなことはなかった

8 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 02:57:43.82 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「学校じゃなく帰り道でなら、偶然ばったり会ったってなりやすいもんなー?」

モモ「……分かってるなら言わないでくださいっす……」

蒲原「わるいわるい」ワハハ

モモ「はあ……蒲原先輩にバレるなら、加治木先輩にもバレてるっすかね、これ……」

蒲原「ん?ああ、それは大丈夫」

モモ「え」

蒲原「ユミちんは特別鈍感さんだからなー」

モモ「ああ、それは確かに……」

蒲原「な?」ワハハ

モモ「ふふ。だから苦労するんすよねえ」

9 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:02:37.11 ID:Mvpjmqlk0

モモ「そういえば蒲原先輩」

蒲原「ん?」

モモ「私のにおいって……どんなんすか?」

蒲原「んー、そうだなー」

蒲原「ちょっとすっぱい」

モモ「?!」

モモ(私汗くさい?!)
蒲原「でも甘い」

モモ「??」

蒲原「梅だなー。うん。梅のにおいだ」

モモ「う、梅っすか……」
モモ(汗くさいはないってことすか……)

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/29(月) 03:03:06.60 ID:pNycdUOV0

桃じゃないのか……

13 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:05:35.45 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「モモが風上にいるとな、梅のにおいがするんだ」

モモ「へえ……私そんなにおいなんすか。別にシャンプーもせっけんも、梅っぽいの使ってるわけじゃないんすけどね」

蒲原「まあコレは私の感覚だから。他の人には分かんないかもなー」

モモ「あれ、ってことはっすよ?」

蒲原「?」

モモ「例えば私が梅の木の下に立って黙ってたら、蒲原先輩も私のこと気付かないってことっすか」

蒲原「ワハハ。そうかもなー」

モモ「へえ……」

15 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:14:40.01 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「桃のにおいじゃないんだな」ワハハ

モモ「それは私に言われてもっす」

蒲原「確かになー」

モモ「他のみんなはどんなにおいするっすか?」

蒲原「そうだなあ」

モモ「特に加治木先輩とか加治木先輩とか」

蒲原「じゃあ佳織から」

モモ「?!」

17 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:20:02.67 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「佳織はあったかい感じだなー」

モモ「……においの話っすよね?」

蒲原「ワハハ。まあさっきも言ったけど感覚の話だから」

モモ「はあっす」

蒲原「冷たい空気を吸うと鼻の奥がツンとするだろ?佳織はその逆なんだ」

モモ「ああ、そういう言い方だとなんか分かるかもっす」

蒲原「だろー」

21 :間違えましたすみあせん ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:27:42.60 ID:Mvpjmqlk0

モモ「じゃあ、津山先輩は?」

蒲原「むっきーはなー。そうだな、色で言うと」

モモ「……だからにおいの話っすよね?」

蒲原「だから感覚だよモモ」

モモ「うーん……」

蒲原「それでな、色で言うと……灰色、かな」

モモ「イメージカラーがそれなのは分かるっすけど」

蒲原「灰色を連想するにおいを嗅ぎ取れるっていうのかな」ワハハ

モモ「……よく分かんないっす」

23 :酉はスレ立てをスマホ、投下をPCでやってるのでいちおう本人証明?みたいな ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:31:41.09 ID:Mvpjmqlk0

モモ「それでそれで、加治木先輩は」

蒲原「ん?清澄のとかはいいのかー?」

モモ「もういいっすよ、おなかいっぱいっす」

蒲原「そうかー」

モモ「はやくはやくっす」

蒲原「そう言われると焦らしたくなるなあ」

モモ「シャー」

蒲原「分かった分かった」ワハハ

モモ「もう」

26 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:36:31.93 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「それでユミちんなんだけどな」

モモ「ごくりっす」
蒲原(口に出して”ごくり”って言ったなー)ワハハ
蒲原「えーと」

モモ「?」
蒲原「わかんないんだな、それが」
モモ「?!」

28 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:43:26.27 ID:Mvpjmqlk0

モモ「どどどどういうことっすか、無味無臭っすか加治木先輩は?!」

蒲原「いや味はさすがに」

モモ「それじゃああれっすか、蒲原先輩は近くに加治木先輩がいても分から――」

モモ「――分からない、なんてことはないっすよね……」
蒲原「うん。そもそもにおいなんて、モモがいなきゃ意識もしなかったことだからなー」

モモ「……でも、なんで加治木先輩のにおいは分かんないんすか?」

蒲原「どうしてだろなー。もしかしたら、ユミちんのほうが嗅ぎ取らせまいとしてるのかもなー」

29 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:50:02.55 ID:Mvpjmqlk0

モモ「むむ……じゃあ、」

蒲原「?”じゃあ”?」

モモ「私が嗅ぐっす!加治木先輩のにおい!」

蒲原「そうかー」ワハハ

モモ「抱きついたときにこう、襟足のあたりをくんくんするっすよー」

蒲原「……そう詳しく言わなくてもいいんじゃないかー」

モモ「嗅ぐっすよー」メラメラ

蒲原「いつになく燃えてるなー」

31 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 03:53:19.86 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「あ、でもなー」

モモ「?なんすか?」

蒲原「たまーにユミちんのにおい、分かることがあるんだ」

モモ「え、まじっすか?先言ってくださいよそういうのは」

蒲原「ワハハ。いやなー、残り香があるんだよ」

モモ「残り香っすか?」

蒲原「そう。梅のにおいがなー、たまにユミちんに残ってるんだ」ワハハ

モモ「……」

蒲原「ワハハ」

モモ「……」ボッ

蒲原「真っ赤だなー、モモ」ワハハ

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/29(月) 03:57:01.56 ID:pNycdUOV0

これだからガチレズは

33 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:00:28.12 ID:Mvpjmqlk0

カーカー

蒲原「お、もうこんな時間かー」

モモ「こ、この時期はすぐ暗くなるっすからね……そろそろ帰るっすか」

蒲原「そうするかー」

モモ「なんかすいませんっす、付きあわせてしまって」

蒲原「いや、全然いいぞー。そもそも私のほうから来たんだからな。それに」

モモ「それに……?」

蒲原「一人でふらふら散歩するのも楽しいけど、誰かといるのも好きだからな。話せて楽しかったぞ、モモ」

モモ「それは……私もっす、蒲原先輩」

蒲原「そうかー」ワハハ

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/29(月) 04:01:18.58 ID:pNycdUOV0

ワハハが普通に先輩してるのを久々に見た

36 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:03:50.89 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「夏、終わっちゃったなー」

モモ「そうっすねえ」

蒲原「……」

モモ「どうかしたっすか、先輩」

蒲原「いやなー」

モモ「?」

蒲原「終わっちゃったなー、って」

モモ「そ、そうっすね」

蒲原「ごめん、白状するとな。ちょっと足りない。いや、ちょっとどころじゃなく足りないんだ」

モモ「……?」

39 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:09:18.89 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「前にさ、うんざりするまで遊ぼうって私が言ったの覚えてるかー?」

モモ「はいっす、私が昔の加治木先輩のこと知りたいって言ったときっすよね」

蒲原「うん。それで夏は私の車で色んなところ行ったけど。正直まだまだ遊び足らないんだよなー」

モモ「私は遊び尽くしたなって思いましたけど……」

蒲原「私も分かってるよ、本当に遊び尽くしたっていうのは、あれくらいのことを言うんだって。でも子供みたいなんだけどなー、まだ未練みたいなこと思うんだよなー」

モモ「蒲原先輩……」

42 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:15:31.28 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「まあ、たぶんどれだけ遊んでもまだあそびたいなって、思うんだろうけどなー」ワハハ

モモ「……先輩」ギュ

蒲原「お?」

モモ「私も、なんとなく……分かるっすよ。みんなと麻雀部として一緒にいられる夏は今年のたった一度きり……それならどれだけでも遊んでいたいって思うのも」

蒲原「……大人にならなきゃ、とは思ってるんだけどなー」

44 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:18:19.28 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「免許だって持ってるし、車も運転できるのになあ」ワハハ

モモ「しょうがないっすよ……私だってそうっす、先輩たちと一緒にいられなくなるのは寂しいっす」

蒲原「ユミちんとだけ、じゃなくてか」

モモ「そうっすよ。来年、蒲原先輩がいなくなっちゃうのだって寂しいっす」

蒲原「優しいなー。モモは」

46 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:24:36.81 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「ごめんなあ、急にこんな話して」

モモ「いいんす……蒲原先輩が、そういう風に思ってくれたのは嬉しいっすから」

蒲原「……こういう雰囲気だからさ、言うけどなー」

モモ「?」

蒲原「大好きなんだよなー、みんなのこと。そりゃ、たぶんモモがユミちんに思ってる好きとは違うものだろうけど」

モモ「先輩……」ギュ

蒲原「モモー」

モモ「……帰りたくないっすねえ」

蒲原「そうだなー」ワハハ

48 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:29:52.43 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「とはいえ、もうだいぶ暗くなっちゃったなー」

モモ「そうっすね……」

蒲原「帰ろう、今日はさ」

モモ「……はいっす」

蒲原「ライトライトっと」ゴソゴソ

モモ「持ち歩いてるんすか……」

蒲原「何事も備えが大事だぞー?」ワハハ

モモ「あははっす……」

50 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:35:33.79 ID:Mvpjmqlk0

モモ「そういえばっすけど」

蒲原「?どしたー」ワハハ

モモ「合同合宿のときにっすね、ちょっと加治木先輩と話したんすけど」

蒲原「うん」

モモ「夏も秋もその後も、みんなで一緒にいようって……先輩に、そう言ったんすよ、私」

蒲原「……そっか」

モモ「加治木先輩が”そうだな”って、言ってくれたら……できそうな気がするっすよねえ」

蒲原「……ああ」
蒲原「ヘタレのユミちんにそれを言わせるのはモモの役目だなー?」

モモ「えへへ。頑張るっすよー」

51 : ◆dWVtcnK36s 2012/10/29(月) 04:39:33.06 ID:Mvpjmqlk0

蒲原「帰り道、気をつけてなー」ワハハ

モモ「はいっす。こっちの道は街灯も比較的多くて明るいっすから大丈夫っす」

蒲原「そっか。それじゃまた、明日なー」

モモ「?明日は土曜っすけど……」
蒲原「ワハハ」
おしまい

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