【胡桃・豊音SS】ダヴァン「逃げるんデスカ?」エイスリン「モウ、ニゲナイ!」

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:05:55.95 ID:ALCIOCqu0

―――インターハイ3日目(宮守一回戦)

ダヴァン「準決勝で当たる学校の偵察に来ましタガ……」

ダヴァン「永水・姫松に加えて個人戦6位を有する真嘉比……このブロックは強豪揃いでスネ」

ダヴァン「ただ、智葉サンからの情報を加味しても準決勝に上がってくるのは永水と姫松でしょウカ」

ダヴァン「個人的には龍門渕を倒した清澄も気になりますケド……」

ダヴァン「まあ大して波乱も無さそうでスシ、売店でラーメンでも買ってきまショウ」

ダヴァン「やはりこの国のラーメンは偉大でありムゲン……オヤ?」

ダヴァン「あそこで迷っている子がいまスネ……迷子でしょウカ?」

エイスリン「……」キョロキョロ

ダヴァン「見たところ日本語もそんなに得意ではなさそうデス……フム」

ダヴァン「智葉サンが言ってました……この世はギリとニンジョーだと!」

ダヴァン「これは助けなければいけないでスネ!」ダッ

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:07:41.76 ID:ALCIOCqu0

エイスリン「…………」キョロキョロ

エイスリン(……マヨッチャッタ……)

エイスリン(……ヒカエシツ、ドコ……?)ウロウロ

エイスリン「ア、アノ……」

学生「あ、あいどんととすぴーくイングリッシュだし!ごめんだし!」ササッ

エイスリン「ウゥ……」ウルウル

ダヴァン「May I help you?」

エイスリン「!」パァッ

エイスリン「Yes!Thank God!I really appreciate your help!」

ダヴァン「ちょ、ちょっと、嬉しいのは分かりましたカラ少し落ち着いてくだサイ!」

エイスリン「!…………ニホンゴ、ハナセルノ?」

ダヴァン「ええ、かれこれ一年ほど日本にはいまスシ、日本語はある人にミッチリと叩きこまれましたカラネ」

ダヴァン「っと、自己紹介が遅れましタネ。ワタシ、メガン・ダヴァンといいマス」

エイスリン「エイスリン・ウィッシュアート、イイマス!」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:09:45.29 ID:ALCIOCqu0

………
……

ダヴァン「そこでトムはこう言ったんでスヨ」

ダヴァン「『そりゃあ、家のラーメンは某大企業のインスタントラーメンだからな』」

ダヴァエイ「「HAHAHAHAHAHA!!」」

エイスリン「ダヴァン、ジョークオモシロイ!」

ダヴァン「面白かったなら幸いデス。ジョークはアメリカ人の嗜みですかラネ」

ダヴァン「それにしても驚きまシタ。アナタもインターハイの選手だったんでスカ」

エイスリン「ウン!ミヤモリジョシ、ジホウ!」

ダヴァン「宮守女子…岩手のチームでスネ。どんな人たちがいるんでスカ?」

エイスリン「……」カキカキ バッ

エイスリン「ミンナ、イイヒトタチ!」ニッコリ

ダヴァン(ええっト……大きくて黒ずくめの人、その人のハーフサイズの人)

ダヴァン(何かグッタリしてる人に……この人がかけているのはモノクル?ですカネ)

ダヴァン(……全国大会の選手の奇抜さには慣れたと思っていましタガ、上には上がいるものでスネ)

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:11:58.90 ID:ALCIOCqu0

ダヴァン「ところで、ワタシさっきから日本語で喋ってますけど大丈夫でスカ?」

エイスリン「ダイジョウブ!」

エイスリン「ソレニワタシ、モットニホンゴ、ワカリタイ!」

エイスリン「speaking ト hearing、モットレベルアップシタイ!」

エイスリン「ソウスレバ、ミンナノキモチ、モットワカル!」

エイスリン「ワタシモ、ミンナニキモチ、ツタエラレル!」

ダヴァン「オゥ……どうやらいらない心配をしてしまったようでスネ」

ダヴァン「仲間の為に何かを頑張ろうとすル……それは素晴らしいでスヨ!」

ダヴァン「きっと皆、エイスリンの言う通り、良い人なんでしょうネ!」

エイスリン「イエス!」
8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] : 投稿日:2012/11/18 20:13:14ID:ALCIOCqu0

>>6

臨海の副将の人
最新号だとダヴィンになってるけどダヴァンで書き進めていきます、申し訳ない

9 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:2012/11/18 20:13:18ID:bzkY6NEh0

ダヴァエイとは先進的だな

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:14:08.56 ID:C7bXlyu90

ダヴァンはもっとクールな傭兵イメージだったのに
すっかりラーメン大好き下町人情外人になってもうた

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:14:26.43 ID:ALCIOCqu0

ガチャ

胡桃「……あ、良かった!みんなー、エイちゃん帰ってきたよ!」

塞「エイちゃん、あんまり遅いから丁度探しに行こうとしてたんだよ?」

胡桃「もう、心配だったんだからね!」

エイスリン「ゴメンナサイ、デシタ…」ペコリ

胡桃「分かれば宜しい!」

白望「それに探す手間が省けてダルくなくなったから別に良い……」

豊音「あなたがエイスリンさんを道案内してくれたんですか?どうもありがとうございます……って」

豊音「その、もしかしてもしかしたら、臨海の副将のメガン・ダヴァンさんですよね!?」

ダヴァン「ええ、そうでスガ……」

豊音「やっぱりー!こんな所で会えるなんて感激だよー!」パァッ

豊音「あのあの、サインとか貰えますかっ!?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:16:04.98 ID:ALCIOCqu0

胡桃「ちょっと豊音、初対面なのにいきなり失礼でしょっ!」

豊音「はわわっ……ごめんなさい、ちょっと私興奮しちゃって」ペコッ

ダヴァン「イエ、別に構いませンヨ。それに私なんかのサインで宜しければ幾らでも書きますけれドモ」

豊音「本当ですかっ!それじゃあ『豊音ちゃんへ』って書いてくれませんか?」バッ

塞「え、そのペンと色紙今どこから出したの!?」

豊音「有名人がいた時にすぐサインが貰えるように常備しておいてあるんだー」

ダヴァン「トヨネ、チャン、ヘ……ト。これで宜しいでスカ?」

豊音「はいっ!ありがとうございます!大切にしますね!」ニヘラ

トシ「いやぁ、エイスリンを連れてきてくれて本当にありがとう。監督の私からも礼を言うよ」

ダヴァン「イエ、私は当然のことをしたマデ……ム?」ピキーン

トシ「おや、どうしたんだ……い?」ピキーン

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:19:08.05 ID:ALCIOCqu0

ダヴァン「……アノ、ツカぬ事をお聞きしますけレド、ラーメンはお好きでスカ?」

トシ「……成程、何か感じるものがあったと思ったらあんたもかい」

ダヴァン「様々な堅さが楽しめる麺、飽きの来ない独特なテイスト……」

トシ「幾多もの種類を誇るスープ、そしてラーメン本来の味を殺さないようにマッチさせたトッピング……」

トシ「ラーメンとは!」グッ

ダヴァン「まさにムゲン!」ガシッ

トシ「フフ、あんた若いのに中々分かってるじゃないか」

ダヴァン「こちらコソ、ここで同士と会えて恐悦デス」

塞「えっと、何か通じ合ったっぽい?」

豊音「完全に二人の世界に入ってるねー」アハハ

白望(……………………ダル)

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:20:20.19 ID:ALCIOCqu0

………
……

ダヴァン「それではそろそろ失礼しまスネ。試合、頑張って下さイネ」

塞「!え、もうこんな時間!」

塞「シロ、早く準備しないと先鋒戦始まっちゃうよ!」

白望「動くのダルい………………」

胡桃「いや、試合に出ないのは流石に不味いから!」

トシ「こっちも長く引き留まらせちゃって悪いね。またいつかあんたとは話したいもんだ」

エイスリン「……ダヴァン!」

ダヴァン「何でスカ、エイスリン?」

エイスリン「…………」カキカキ バッ

エイスリン「ワタシタチ、シアイ、カチススム!」

エイスリン「ジュンケッショウデタタカウ!ヤクソク!」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:22:00.77 ID:ALCIOCqu0

ダヴァン「……ハイ、約束しまショウ。準決勝で会えるのを楽しみにしてマスネ」ニッ

エイスリン「ウン!」ニコッ

豊音「次会う時は敵同士だけど、私達だって負けないよー!」
ダヴァン(宮守女子高校……最初は臨海以上に奇抜なメンバーが揃ってると思ってましタガ)

ダヴァン(実際に会ってみると皆良い人たちばかりでしタネ、同好の士とも会えましタシ)

ダヴァン(エイスリンが日本語をもっと学びたいというのが分かる気がしマス)

ダヴァン「オゥ、そういえば私は偵察に来たんでシタ、すっかり忘れる所でシタ」

ダヴァン「……これは姫松・永水以外にもチェックする所が増えましタネ!」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:23:37.53 ID:ALCIOCqu0

―――翌日・Bブロック2回戦(宮守側)次鋒戦

まこ「お前さん、この次鋒戦で活躍できると思ったか?」

エイスリン「!」ゾクッ

まこ「残念じゃが、既に“結果”が決まっとる以上そいつは無理な相談じゃ」ニタァ

エイスリン(……ダメ、コノヒト、コワイ……)

まこ「本筋で起こった結果を焼き直すのは無粋なことじゃけえ、ちーと能力を使わせてもらうわ」

まこ「出血大サービスで、次鋒から大将まで纏めて吹っ飛ばしちゃるけえ安心せえよ」

まこ「キングクリムゾン!」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:25:59.09 ID:ALCIOCqu0

―――Bブロック2回戦(臨海側)

実況「終了ーー!Bブロック2回戦、中堅戦が終了いたしました!」

実況「現在のトップは先鋒、次鋒と変わらず東東京代表・臨海女子!」

実況「しかし後半戦、有珠山がツモ和了りを繰り返し驚異的な追い上げを見せております!」

実況「前半戦開始時にあった3万点のリードも今や4千点!十分に逆転の可能性もあります!」

実況「臨海女子を追い詰める南北海道代表・有珠山高校!まさにダークホースと言えるでしょう!」

解説「有珠山の中堅は前半戦こそ静かだったが、後半戦に入って調子を急に上げてきたな」

解説「いや……あれは調子を上げて貰ったと言うべきなのかね……」

実況「調子を上げて貰った、と言いますと?」

解説「後半戦の東1局、臨海の雀明華選手が和了しただろう」

解説「その時に歌を歌っていたのがどうも引っかかってな……」

解説「それがおそらく何かのトリガーになったと私は踏んでいる」

実況「歌により他家の調子を上げる…そんなことが出来るんですか?」

解説「流石に確信は持てないが、事実後半戦の有珠山は異常なまでの追い上げを見せている」

解説「実際にそんな効果があったとしても可笑しくはないさね」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:28:20.46 ID:ALCIOCqu0

―――臨海女子高校・控え室

ネリー「ミョンファ、オイツカレソウ……ドウシタンダロ?」

ハオ「明華先輩、調子悪そうには見えませんでしたけど……」

智葉「……おい、ダヴァン」

ダヴァン「どうしまシタ智葉サン?そんな怖い顔して」

智葉「とぼけるんじゃない。明華に歌を教えたのはお前だな?」

ダヴァン「アア、あの歌でスネ。試合中に歌うのは他家の迷惑かと思ってなるべく静かな歌にしましたケド」

ダヴァン「智葉サン、何か気になるところでもありましタカ?」

智葉「……お前が配慮しようとしたのは分かる。確かにあの歌は静かだし、私もそんなに嫌いではない」

智葉「ただ、どうして有珠山を相手にしているのに『北の国から』をチョイスしたんだ!」

智葉「あの歌のせいで有珠山の調子が上がっただろうが!」

ダヴァン「イエ、そんなこと言われても知りませンヨ!」

ダヴァン「北国の歌を歌うと北国の選手がパワーアップするのは予測できる訳がないでショウ!」

智葉「とりあえず、練習後のミーティングで話すついでに、お前とは少し時間をとってよーく話し合いたい」

ダヴァン「理不尽にも程がありマス!」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:30:15.32 ID:ALCIOCqu0

智葉「……まあ、ともかく今うちのチームの流れは有珠山のせいで明らかに悪くなっている」

智葉「だが、このまま臨海女子の尊厳が傷つけられっぱなしなのも癪だ」

智葉「……もう一回、お前が3万点差まで突き放して来い」

ダヴァン「随分と簡単に言ってくれまスネ……まあ私にも一応ですが責任と言うものはありまスシ」

ダヴァン「試される大地の人に、本当に試されるとはどういうことか教えてきまスヨ」

ダヴァン「生憎私はもう寒さには慣れてますカラ」ニッ

智葉「…………そうか」

ダヴァン「それにこれでチャラになるんなら楽な仕事デス」

智葉「……ああ、悪いがその件については試合後にきっちり説教させてもらうから」

ダヴァン「ホワッツ!?普通これで相殺されるんじゃないんデスカ!?」

智葉「3万点差を付けるのはお前のノルマであって、明華に歌を教えた『責任』とは話が別だからな」

ダヴァン「」

ネリー「サトハ、キビシー!」ケラケラ

ハオ(サトハ先輩、試合中はダヴァン先輩にすっごく厳しいですね……)

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:32:21.17 ID:ALCIOCqu0

――――――――――

ダヴァン「まったく、あの後1時間も説教に付き合わされるとは思いませんデシタ……」

ダヴァン「智葉サンの言うことも分かりマスし、私に非がありマスから何も言えませんケド」

ダヴァン「ともかくラーメンでも食べてリフレッシュしまショウカ……イタダキマス」ズズッ

ダヴァン(……そう言えバ、)

ダヴァン(説教を喰らっていて結果が分からなかったのデスガ、宮守は勝ったのでショウカ)

ダヴァン「えーと、テレビテレビ…」ピッ

TV『麻雀インハイ激闘ダイジェスト―――!』

TV『大会6日目、ついにベスト8が出揃いました』

TV『そのうちシードは3校―――初出場の高校が二校も残って……―――』

ダヴァン(……宮守の名前は…………残ってマセン、カ)

ダヴァン(……出来ることなら、闘ってみたかったデスネ)ズズッ

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:34:29.86 ID:ALCIOCqu0

―――Bブロック2回戦の翌日

豊音「永水の皆さん、今日は水着選びに誘ってくれてありがとうだよー!」

塞「こっちに来て遊ぶ計画とか立ててなかったから水着も持ってきてなかったからね……」

小蒔「いいんですよ、こちらも皆さんの水着を選ぶのに楽しめましたし」

初美「約一名はお子様用の水着みたいなものでしたけどねー」ボソッ

胡桃「そ、そっちだって似たような体型してる癖に!」

胡桃「しかも永水の人たちって皆スタイルいいから、私よりも貧相なのが目立ってるし!」

初美「んなっ……人が最近気にしてることをー!もう許しませんよー!」

初胡「「ぐぬぬぬぬぬぬぬ」」

塞「……うちの胡桃が迷惑かけてすいません」

霞「いえいえ、あんなにハッちゃんが同年代の子と仲良くなるのって珍しいのよ?」

巴「ハッちゃんも喧嘩仲間が欲しかったみたいですから丁度良いんですよ」

初胡「「うるさい(ですよー)、そこ!」」

塞(おぉ、息ピッタリ)

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:36:19.07 ID:ALCIOCqu0

初美「こうなったら麻雀で勝負ですよー!」

胡桃「良いよ、受けて立つかんね!」

胡桃「私が個人戦に出てないからって勝てると思ったら大間違いだよっ!」

春「黒糖、食べる?」ポリポリ

白望「ん…………」ポリポリ

初美「はるる、そこで黒糖食べてないで卓に入ってください!」

胡桃「じゃあこっちは……塞、よろしく!」

初美「ちょ、それは卑怯ですよー!能力を塞ぐのははアンフェアじゃないですかー!?」

塞「いや、モノクル割れちゃったから完全に塞ぐことは出来ないからね?」

ワイワイ ギャーギャー

エイスリン「………………」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:39:04.18 ID:ALCIOCqu0

―――同日・夜

胡桃「あれ?エイちゃんどこか行くの?」

エイスリン「…………チョット、オサンポ」

ギィ バタン

塞「……何か今日さ、エイちゃん元気なかったよね」

胡桃「昨日の試合で活躍できなかったからかな……」

胡桃「ほら、エイちゃんって真面目だからさ、自分のせいだって自分を責めそうな気がして」

豊音「で、でもでも、最終的に私が稼げなかったから負けちゃったんだよ?」

豊音「エイスリンさんがそこまで気に病む必要はないというか……」ジワッ

塞「ちょっと、豊音まで泣く必要はないから!ほら、ハンカチ!」

豊音「ありがとうだよー」ゴシゴシ

胡桃「それにしてもどうしたらいいのかなぁ……」

塞「シロ、何か良い考えとかないかな?」

白望「……………………………………ちょいタンマ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:43:41.31 ID:ALCIOCqu0

白望「………………………………」

白望「………………よし、この件は少しほっとこう」

塞「ええっ!?」

豊音「ちょ、ちょっとシロー!?」

胡桃「シロの薄情者ー!」ウガー

白望「ダル………………」

白望「………………分からないけど、放って置いた方が解決すると思う」

塞「シロのマヨヒガは外れたことが無いから信じたいけど……」ウーン

胡桃「エイちゃんが苦しんでるのにほっとくなんて出来る訳ないじゃん!」

豊音「そうだよー!私達だって仲間なんだから、何とかしてあげたいよー!」

白望「…………それは私だって同じ。ダルいからエイスリンが苦しんでるのは見たくない」

白望「ただ、今回は私達が何を言っても駄目だと思う」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:47:27.22 ID:ALCIOCqu0

白望「…………エイスリンは自分のせいで負けた、って責任を感じてるのは間違いない」

白望「エイスリンが立ち直るにはそれをどうしかしないと行けないんだけど…」

白望「私達が何とかしようとしても、おそらく逆効果なんだよなぁ……」

豊音「!………………」

塞「私達がどうこうできる問題じゃない、ってことか…」

胡桃「……私達じゃ手出しできないんだよね?」

胡桃「明日海に行くんだから、永水の人たちに相談とか出来ないかなっ?」

胡桃「そうすれば、きっと解決策が出るかも!」

塞「胡桃……そうだね、少し協力してもらおうか。永水の皆だったら乗ってくれそうだしね」

豊音「私も賛成だよー!」

白望「………………ダル」

白望(……それにしてもエイスリン遅いなぁ……どこまで散歩してるんだろ)

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:49:37.74 ID:ALCIOCqu0

――――――――――

ダヴァン(いよいよ明日は準決勝でスカ……去年のことが思い出されまスネ)ズズー

ダヴァン(龍門渕サンとの再戦はなりませんでしタガ……それでも強敵が相手なのは変わりありまセン)ズズー

ダヴァン(全力を出すまでデス……オヤ?)ズズッ

エイスリン「…………」トボトボ

ダヴァン「奇遇でスネ、エイスリンも散歩でスカ?」

エイスリン「!」ダッ

ダヴァン「ホワイ!?ちょっと待ってくだサイ!」

ダヴァン「ああモウ!こんなことになるナラ、ラーメン食べながら散歩なんてするんじゃありませんでシタ!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:53:28.51 ID:ALCIOCqu0

―――都内某所・公園

エイスリン「……ハァ、ハァ……」

エイスリン「ビックリシタ…………」

ダヴァン「ビックリしたのはこっちでスヨ。あやうくスープをこぼす所でシタ」ヌッ

エイスリン「!」ビクッ

ダヴァン「まっタク……それにしテモ、何でいきなり走り出したんでスカ?」

エイスリン「…………」

エイスリン「ダヴァントノ、ヤクソク……マモレナカッタ」

エイスリン「アワセルカオ、ナイ……」ジワッ

ダヴァン「……まあ、過ぎてしまったことは仕方ないでスヨ」

ダヴァン「私も宮守とは戦いたかったでスガ、勝負は時の運といいますカラ」

ダヴァン「それに私は出られませんでしたケド、まだ個人戦のチャンスがあるでショウ?」

ダヴァン「うちのネリーや明華は手強いですカラ、落ち込んでたら勝てないでスヨ!」

エイスリン「……コジンセン、デタクナイ」

ダヴァン「!」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:57:33.10 ID:ALCIOCqu0

エイスリン「ジホウセン、アガロウトオモッテモ、アガレナカッタ」

エイスリン「キヨスミノヒト、ワタシノplay、ジャマシテキタ」

エイスリン「ジブンノオモイドオリニ、タクガウゴカセナカッタ」

エイスリン「ソレデ、カセゲナカッタカラ、マケタ……」

エイスリン「ワタシノセイデ……」

エイスリン「ダカラ、マージャン、ウチタクナイ……」グスッ

ダヴァン(……………………)
ダヴァン「逃げるんデスカ?」

エイスリン「!」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:01:11.15 ID:ALCIOCqu0

ダヴァン「あなたが強者と戦って負けたことは分かりまシタ」

ダヴァン「それで心に傷を負ったことも理解できなくはありまセン」

ダヴァン「ただ、それを理由に個人戦から逃げようとしているのではないんでスカ?」

ダヴァン「私はどんな時でも逃げなかった人を知っていマス」

ダヴァン「恥ずかしながら打ち明けまスガ、私自身、過去に一度逃げたことがありまシタ」

ダヴァン「その時彼女は私に慰めの言葉はかけてくれませんでしタシ、労いの言葉もありませんでシタ」

ダヴァン「代わりに一言言ったんでスヨ……『逃げたんだな』、ト」

エイスリン「…………!」

ダヴァン「傍から聞くと酷い人に思えるでしょウ……追い討ちをかけるような言葉ですかラネ」

ダヴァン「デスガ、今こうやって立ち直れたのは彼女がいたからデス」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:04:33.66 ID:ALCIOCqu0

~~~~~~~~~~~~~~~~

智葉「逃げるべき時?そんな時などある訳無いだろう」

智葉「白糸台の宮永照、永水の神代小蒔、それに三箇牧の荒川憩……確かにあいつらは計り知れない実力の持ち主だ」

智葉「だが相手が強大であることが逃げる理由になるのか?おそらくならないだろうな」

智葉「相手が魔物だろうと何だろうと、全力でぶつかってくる相手に背を向けるのは自身の矜持に泥を塗ることになる」

智葉「自分の持てる全力で応戦する。それが相手に敬意を払う最良かつ唯一のやり方」

智葉「たとえその結果惨敗したとしても、やらずに逃げ腰で退散するよりは遥かにマシだ」

智葉「……去年は負けたが、私は自分のスタイルを貫き通すまで」

智葉「小細工も逃走も無し。正面から叩き潰す、ただそれだけだ」

智葉「……おいダヴァン、何で泣いてるんだ……自分が情けなかった、と?」

智葉「だったら次は逃げるなよ……ちょ、抱き着くな、とりあえずまずはその顔を拭け!」

~~~~~~~~~~~~~~~~

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:08:50.23 ID:ALCIOCqu0

ダヴァン「あなたに出来ることは何でスカ?ただ恐怖に震えて閉じこもることでスカ?違いますヨネ?」

ダヴァン「チームの皆が誇りを持って応援できるヨウ、堂々とした態度で試合に臨むことでショウ?」

ダヴァン「一度負けた位で折れるホド、あなたは弱い心の持ち主ではないはずデス!」

ダヴァン「宮守の皆サンの為に、日本語を必死で覚えようとしていたあなたはどこに行ったんでスカ!」

エイスリン(ミンナ……シロ、クルミ、サエ、トヨネ、トシサン……)

ダヴァン「試合から逃げて、皆サンを悲しませたままで本当に良いんでスカ!?」

エイスリン(ミンナ、カナシマセタク、ナイ……)

エイスリン(……ワタシノセイデ、コレイジョウカナシマセタク、ナイ!)グッ

ダヴァン「……もう一度、聞きマス」

ダヴァン「エイスリン、あなたは逃げるんでスカ?」

エイスリン「…………」ゴシゴシ

エイスリン「……ニゲタク、ナイ」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:11:40.24 ID:ALCIOCqu0

エイスリン「モウ、ニゲナイ!」

ダヴァン(……何とか、立ち直ってくれたようでスネ)フゥ

ダヴァン(正直、智葉サン式の説教だと心を完全に追ってしまうかと思いましタガ、杞憂だったようデス)

43: やっべ>>42空白入れすぎた 2012/11/18(日) 21:14:38.17 ID:ALCIOCqu0

ダヴァン「それではエイスリン、約束をしましょウカ」

エイスリン「ヤクソク?」

ダヴァン「ハイ。もう一度、結び直しておきまショウ」

ダヴァン「エイスリンはこの個人戦で絶対に逃げないコトを」

ダヴァン「そして私ハ……エイスリンの仇討ちと行きましょウカ」

ダヴァン「このインターハイ団体戦、絶対に優勝してみせマス!誰が相手だろうと私も逃げまセン!」

ダヴァン「この約束、守れますヨネ?」ニッ

エイスリン「………………モチロン!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:20:20.03 ID:ALCIOCqu0

―――翌日・インターハイBブロック準決勝

恒子『さぁー、Bブロック準決勝も中堅戦が終了!折り返し地点に来ております!』

恒子『現在トップは先鋒、中堅でリードを稼いだ姫松!その後にほぼ同得点で臨海、清澄と続きます!』

恒子『それにしても二回戦の時とは違い、姫松の愛宕選手はそれ程得点を稼げてはいませんね』

健夜『そうですね……清澄の竹井選手、臨海の雀明華選手の両選手が準決勝で調子を上げてきています』

健夜『両選手ともポテンシャルは十分ですから、それが結果的に三つ巴の戦いを生んだんでしょうね』

健夜『好調になった選手を中々引きずり落とすのは高校生には中々難しいでしょうから』

恒子『ほっほーう、つまりアラフォーのすこやんなら調子に乗らせる前に叩き潰せると?』

健夜『アラサーだよ!あとそんなこと言ってないからね私!?』

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:26:41.83 ID:ALCIOCqu0

―――都内某所・海の家

豊音「やっぱり小鍛治プロと福与アナの実況解説は面白いよー」アハハ

胡桃「あの二人の掛け合いは相変わらずだねっ」

初美「姫松がトップですかー、これは決勝行き確定ですかねー」

霞「あらあら、まだ副将戦と大将戦が残ってるのよ?最後にはどうなってるか分からないわ」

霞「ところで、私達はどこを応援しましょうか?」

春「私は清澄……」ポリポリ

豊音「私はどこにしようかなー?姫松も清澄も好きだから決められないよー」ウーン

巴「両方とも決勝に行けるように応援すればいいんじゃないですか?」

初美「塞ちゃんはどこを応援するんですー?」

塞「うーん、私は姫松かな(清澄はどうにも原村がいるからなぁ…)」

白望「………他校の応援かぁ……ダル」

胡桃「ちょっとシロ、応援までダルがらないでよ!」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:30:09.73 ID:ALCIOCqu0

小蒔「えーと、エイスリンさん?はどこを応援するんですか?」

エイスリン「リンカイ!リンカイジョシ!」カキカキ バッ

巴「これは…」

豊音「臨海女子のダヴァンさんだねー、ちょーかわいーよー」

霞(さっき見せて貰った小蒔ちゃんの絵みたいにデフォルメされてるわね…)

エイスリン「ヤクソク、シタ!ニゲナイッテ!」

胡桃「約束?エイちゃん、またダヴァンさんと会ったんだ?」

白望(……あんなに沈んでいたエイスリンが散歩から帰ってきたら復活していたのはそういうことか)

白望(…………結果的にダルくなかったから、この判断で良かったのかな)

塞(やっぱりシロのマヨヒガって当たるんだね)クスッ

豊音「あ、副将戦が始まるみたいだよー!」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:33:31.80 ID:ALCIOCqu0

―――東京・インターハイ会場

ダヴァン(相変わらず奇妙な打ち手をする有珠山、安定力のある姫松……)

ダヴァン(ソシてあの龍門渕透華を倒した清澄の原村和……錚々たる面子デスネ)

ダヴァン「でスガ、どんな相手だろうと私はもう逃げませンヨ」

ダヴァン(チームのために、自分のために、もありまスガ……)
ダヴァン「彼女と『ヤクソク』しましたカラ」

カン!

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