1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [saga]:2012/08/01(水) 01:34:32.06 ID:5tUPLJ+90
SS初投稿です
咲-saki-のifです
東京に行ったのが咲で、長野に残ったのが照という設定です
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage saga]:2012/08/01(水) 01:35:53.43 ID:5tUPLJ+90
-2年前-
照「清澄にも麻雀部はあるのか・・・」
照(咲が東京に行ってしまってからもう麻雀はしてなかったけれど・・)
トントン
照(麻雀部の文字を見たとたん、こんなに胸がうずくのはどうしてだろう)
久「どうぞ」
照「失礼します」
久「入部希望かしら?」
照「いえ、そういうつもりではなかったんですが」
久「と言っても、私もまだ部員じゃないんだけどね」
照「え?」
久「私も一年生なの、それに麻雀部は去年で部員0。だから、麻雀部に入るなら、まず活動再開するところからはじめないといけないのよ」
照(よくよく見れば同じ色のスカーフ・・・。同い年だったのか)
照「そうですか・・・」
久「同じ一年でしょ、敬語なんていいわよ。私は竹井久、あなたは?」
照「宮永、宮永照です」
久「だから敬語はいいってば」
それが私と、久との出会いだった—-
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage saga]:2012/08/01(水) 01:36:59.19 ID:5tUPLJ+90
久「結構勧誘したつもりなんだけどねー、結局2人きりか」
照「麻雀をやりたければ、普通は風越に行くからな」
久「まあ、来年に期待ってところかしらねぇ」
照「でもとりあえず部活としては再開できたし、個人戦には出られる」
久「えー、私パス」
照「なっ、どうしてだ。個人戦でいい成績を残せば部活に入ってくれる人だって出てくるかも知れないじゃないか」
久「ちょ、照。顔近いってば」カァァァ
照「あ、ごめん」カァァァ
久「まあ、その、私にもいろいろあるのよ。団体の方が好きだし」
照「だったらっ」
久「だから顔近いってばっ」カァァァ
照「私が全国に行ったら、来年は久にも出てほしい」
久「照だったら、全国なんて余裕でしょ・・・」
照「だったら優勝する、それならいいのか?」
久「なんでそんなに必死なのよ」カァァァ
照「だって、このまま部員が集まらなかったら。そのまま個人戦にも出なかったら、一緒に全国に行けないじゃないか」
久「分かったわよ、優勝したら来年は出てあげるわよ。だからちょっと離れてっ」
照「あ、その、ごめん」カァァァ
久「ま、まあ、roof-topのまこは押さえてあるし、来年にはもう少し期待持てるんじゃない」
照「だと、いいけどな」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage saga]:2012/08/01(水) 01:38:36.82 ID:5tUPLJ+90
-全国大会決勝-
実況「無名の長野清澄高校から突如現れた新星、宮永照!!」
解説「清一手、これをツモれば下家を飛ばして優勝ですね」
実況「その宮永、赤5ピンツモォ!! 怒涛の10連荘で優勝を決めたーー!!」
解説「すごい選手が現れましたねぇ、今後が楽しみです」
久「はぁ、ほんとに優勝しちゃうなんてね」
照「約束、覚えてるよね」
久「うーん、なんだったかしら?」
照「忘れたのか? 久の手料理を毎日食べさせてくれる、だぞ」
久「はぁ、花嫁修業の一環としてあきらめるしかないわね」
照「・・・・・・・」
久「・・・・・・・」
照「花嫁だなんて、照れるじゃないか」
久「はぁ、もういいわよ・・・。手料理に変更するわけじゃないんでしょ?」
照「いや、そう言われるとちょっと悩む」
久「そう、どんどん悩んでくれていいわよ、その方が私も助かるし」
照「そんなに個人戦は、嫌なのか?」
久「まあちょっとね、トラウマっていうか・・・」
照「トラウマなら、しょうがないな・・・。その、私にもあるし」
久「へー、それは聞き捨てならないな」
照「・・私には妹がいる。でも、今は東京にいて、ぜんぜん連絡もとれてない」
久「そうなんだ。さみしい?」
照「さみしい。でも、私にはそんなことを言う資格なんてない。私は妹に、咲に嫌われているから」
久「どうしてそう思うの?」
照「昔は家族麻雀をしてたんだ。でも咲が勝つと悔しくて怒っちゃったり、負けたら負けたで泣いちゃうし」
久「まあ、小さいときに妹に負けたら悔しいわよねぇ」
照「そのうち咲は、プラマイ0でいつも終わるようになった・・・」
久「え、プラマイ0?」
照「私の10連荘なんかより、咲のプラマイ0連続10回の方がすごいと思ってる。でもそれは、麻雀を楽しんで打ってるんじゃない。咲にとっては苦痛でしかなかったと思うんだ」
久(幼いころとはいえ、照相手に10回連続プラマイ0・・・。一体どんな子なのよ)
照「別れ際に言われたんだ「お姉ちゃんも、麻雀も大嫌い」って。楽しいと思ってたのは、私だけだった」
久「でも今は、こうして麻雀してるじゃない」(抱き)
照(あったかい・・・)
久「私は楽しいわよ、照と打つの」
照「私だってそうだ。でも、やっぱり消えないんだ。あの大嫌いって言葉は。私の中に、いつまでも残ってる・・・」
久「じゃあ、そんな言葉消えるくらい私が好きって言ってあげる」
照「・・・ありがとう」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage saga]:2012/08/01(水) 01:39:44.64 ID:5tUPLJ+90
-1年前-
まこ「どうせわしの入部シーンとかキンクリじゃけぇのぉ」
久「結局入部したのもまこだけだったしね」
照「清澄はまた団体には出れず、久も個人戦には出場せず、私は2年連続でインターハイを制した」
久「説明ご苦労様」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:40:56.66 ID:5tUPLJ+90
-そして照・久は3年生になった-
-その春-
優希「清澄にはインターハイチャンピョンの宮永照がいるんだじぇ」
和「そうなんですか、名前は知っていますけど、清澄にいるとは思いませんでした」
優希「のどちゃんは麻雀強いのにそういう情報はからっきしだじぇ」
和「あ、着きましたよ。麻雀部」
優希「失礼するじぇ!」
久「あらいらっしゃい、入部希望かしら」
和「はい、よろしくお願いします」
まこ「って、全中チャンピョンの原村和」
和「いえそんな、たまたまです」
久「あらほんと、びっくり」
まこ「ぜんぜん驚いとらんの」
久「合格発表のときにチェック済だしねー」
優希「そんなことよりインターハイチャンピョンはどこだじぇ!」
照「ここですけど」
優希「うわっ、突然現れたじぇ。さすがチャンピョンだじぇ」
照「あなたたちが新入部員さんですか? 私は宮永照です、一緒にがんばりましょうね」(営業スマイル)
久「照、ここでは営業スマイルは禁止って言ったでしょ」
照「え、でもせっかく2人も来てくれたのに。やっぱり第一印象が良くないと・・・」
久「部活中もそんな営業スマイルされたらこっちが嫌いになるわよ」
照「えー、それは困る・・・。こほん、私が宮永照だ、よろしく頼む」
和「は、はあ・・」
優希「なんだかちょっと変わったチャンピョンだじぇ」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:42:49.83 ID:5tUPLJ+90
-5月-
久「はい、今週のウィークリー麻雀」
まこ「お、春季大会の牌譜がでとるのぉ。優勝は白糸台、チーム虎姫は今年も健在、か」
和「虎姫? なんですか、それは?」
まこ「ほんとに対戦相手に興味のないやつじゃの。わしらと違って白糸台は部員百人余りを抱える大所帯の名門校。その中でも一軍メンバーがチーム虎姫」
優希「インハイ団体戦2連覇中! だけど、今年はチャンピョン2人いる我ら清澄がぶちぬくじぇ!」
まこ「で、そのチャンプはどこ行ったんじゃ」
照「ここだ」
優希「相変わらずいきなり出てくるじぇ」
照「日直で遅くなった。あ、ウィークリー麻雀、読みたい」
久「とりあえず全員集まったし、打ちますか。照は読み終わったら入りなさい」
照「分かった」
優希「リータン一発ツモドラドラ、裏が2つ乗って倍満だじぇ!」
和「1000バックで」
まこ「親っかぶりか、ほんとに東場に強いの」
優希「東場は私の独壇場だじぇ!」
照「ぐすっ、ぐすっ」
久「・・・・どうしたの照?」
まこ「なに突然泣いとるんじゃ?」
照「咲が、咲が麻雀してるっ・・・」
和「咲?」
久「えっと、ちょっと中断ね。照、咲って、あの時言ってた妹さん?」
照「そう・・・」
久「ちょっと見せて」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:44:03.20 ID:5tUPLJ+90
-チーム虎姫、新星登場!
-層の厚い白糸台が、選抜春季大会に1年生を2人投入してきた。春から1年生出場は異例。
-メンバー入れ替え自由な春季大会のため、すべての試合に出場したわけではないが、卒業していった歴代虎姫をしのぐ活躍が期待される
-一人は大星淡、もう一人は宮永咲。
-そんな彼女たちの素顔に、次週迫るっ!
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:45:00.71 ID:5tUPLJ+90
照「麻雀なんて大嫌いって言ってたのに、また麻雀するようになったんだね・・・」
まこ「あー、話が見えんのじゃが・・・」
久「照には東京に住む妹さんがいるのよ。それが咲って子なんだけど」
和「離れて暮らしてらっしゃるんですか?」
久「まあ、ちょっと複雑みたいでね」
照「よかった、私のせいで麻雀が嫌いになって、もう麻雀はしてくれないと思ってたけど・・・・」
久「照・・・」
照「よかった・・・・」
優希「つまりー、どういうことだじぇ?」
和「・・・あの、今日はお開きにしましょうか?」
久「うーん、どうする照? 話しちゃってもいいかしら?」
照「いい、自分で話す」
照「というわけで、咲が麻雀してくれて、少しだけ救われた気持ちになれた」
まこ「そうじゃったのか・・・」
和「それなら全国に行けば、会えるかもしれませんね」
照「え?」
優希「そうだじぇ、その咲って子もきっと白糸台から全国に来るじぇ」
久「そうね、幸いにしてこれ以上ない面子が揃ったし、全国に行って咲ちゃんと麻雀しましょう」
まこ「そうと決まれば、続きじゃの。特訓じゃ」
照「みんな・・・・ありがとう!」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:46:04.96 ID:5tUPLJ+90
-白糸台-
記者「ところで宮永さん、チャンピオンと同じ名字ですけども、もしかして姉妹だったりします?」
咲「いえ、チャンピオンはすごい打ち手で戦う機会があればいいなぁとは思いますけど、姉妹だなんてとんでもないです」
記者「そうですか、それでは大星さん、宮永さん、取材にご協力いただきありがとうございました」
咲&淡「こちらこそありがとうございました」
淡「咲ちゃん、どうせなら公表しちゃえばよかったのにー」
咲「何言ってるの? それじゃあ面白くないじゃない」
淡「ふふ、まあいいけど。ま、とにかく早いところ2人でレギュラー取っちゃおうよ」
咲「そうだね」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:47:14.79 ID:5tUPLJ+90
-長野県予選 当日-
先鋒 片岡優希
次鋒 染谷まこ
中堅 竹井久
副将 原村和
大将 宮永照
まこ「決勝戦副将戦までは原作通りとしてキンクリじゃあ」
照「よし、じゃあ行ってくる」
和「お願いします、先輩」
優希「頼んだじぇ!」
まこ「チャンプの意地を見せちゃれ!」
久「照」
照「ん?」
久「いつも通りにね」
照「分かってる」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:49:03.80 ID:5tUPLJ+90
-決勝 大将戦-
実況「さあ長野県予選もいよいよ決勝大将戦を残すのみ」
実況「名門風越復活なるか、大将は2年生池田華菜」
実況「今大会のダークホース、鶴賀学園は3年生加治木ゆみ」
実況「インターハイ個人2連覇中、清澄高校は大将宮永照。しかし団体戦は初出場。前年中学チャンプからインターハイチャンプへの豪華なリレーです」
実況「そして前年度長野県代表龍門渕高校、インターハイでも数々の成績を残した天江衣が大将です。2年連続の県予選突破なるか」
藤田「去年の全国個人戦でも、宮永照と天江衣の対戦はない。これは楽しみだな」
東 衣 101200
南 照 114900
西 華菜 81300
北 ゆみ 102600
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:51:06.32 ID:5tUPLJ+90
ゆみ(さて、大変な卓に入ってしまったな。まあ、貴重な体験と思うべきか・・・。全国クラスの魔物2人と戦う機会が得られたこと、みんなに感謝だ・・・)
華菜(トップとは33600点差、去年の天江だけでも大変だったのに、チャンプまで出てくるとかマジしんどいし)
照 (ま、東一は様子見)
衣 (清澄の大将、楽しませてくれよ)
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:55:03.62 ID:5tUPLJ+90
-東1局-
ゆみ「リーチタンヤオツモ、1000、2000」
実況「先制は鶴賀の加治木です」
ゆみ(東1で上がり逃せば、ズルズル行ってしまうからな。チャンプ相手に、どこまでいけるか・・)
-東2局-
照「ツモのみ、500オール」
照「ロン、タンヤオドラ1。2900は3200」
華菜「むー、はいっ」
照(天江衣、そろそろだな・・・)
衣「無聊を託つ」
衣「つまらない上がりだな、清澄。そろそろ御戸開きと行こうか」ゴッ
照(来たな、海底ルートか)
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 01:58:16.46 ID:5tUPLJ+90
-東2局-
ドラ:五萬
照 配牌:一四五六②⑦389東西北白中
照(ドラ五萬含みの1面子、か・・・でも)
打 五萬
ゆみ「チー」
実況「なんと宮永照、面子になっているドラをいきなり切ったっ。そのドラを加治木、速攻のチー」
ゆみ(早いのか、それともチャンタ手なのか? なんにせよこれ以上連荘はさせない)
衣(シャンテン数が落ちた? 何を考える、清澄・・・)
華菜(配牌イーシャンテン、ここで巻き返すしっ)
-6巡目-
藤田「打五萬で加治木に鳴かせ、天江のツモを食い取ったな・・・・だが、天江の支配はその程度では抜けられない」
実況「ここで宮永照、さきほど切ったドラを引き返したっ」
照手牌 四五六②⑤⑦89東東西西北 →打②
照(イーシャンテン、でもここからが問題だな・・・)
ゆみ「ポン」
実況「加治木、ここでポン、タンヤオ手で宮永の親を流せるのか」
藤田「海底ルートに入ったな、さあどうする宮永照」
ゆみ(2鳴きでようやくイーシャンテン・・)
華菜(ダメだし、これじゃあ天江が海底・・、こっちは配牌イーシャンテンなのに役がないから鳴けないし手も動かない)
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:03:24.22 ID:5tUPLJ+90
-12巡目-
照手配 四五六⑤⑦5(赤)67東東西西北 ツモ:西
実況「おっと、ここで宮永選手テンパイです」
藤田「役がないな、リーチに出るか?」
照(リーチすれば、リーチドラ2、打点はクリア・・・西が暗刻だなんて、まるで咲みたい)
照(だからこそ、これはきっとツモれない・・・)
打 東
実況「どういうことでしょう、この巡目に来てリーチはおろかテンパイすらとりません」
藤田「東は天江と持ち持ち、さらに6ピンは風越が暗刻、鶴賀が1枚捨てているからツモはない。客観的には上がり目無しだが、それを感じたというのか?」
衣(東・・・鳴けば待ちが変わる。それにしてもここで東を見切るとは・・・)
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:05:31.77 ID:5tUPLJ+90
-17順目-
ゆみ(なんだこれは、イーシャンテンからまったく動かない・・・)
華菜(鳴けないっ、ここままじゃ天江の海底)
衣(楽しませてくれるかと思ったが、なんのことはない、こいつらもただの有象無象)
衣「リーチ」
実況「ここで天江選手、リーチ。しかし残されたツモは海底のみです」
照「ポン」
衣「なにっ」
実況「おっと、ここで宮永選手が前順重ねた北をポン、しかし役無し、何を切る?」
藤田「いや、これでツモ順がずれて海底は宮永だな」
照手牌 四五六⑦⑨5(赤)67西西西 北-北北 →打:西
実況「西切りで間8ピンに受けました」
藤田「これが宮永照・・・」
衣(衣の海底が、清澄に・・・)
衣手牌 一一二二三三⑦⑨123東東 →打:白
照「ツモ、海底ドラドラ、2200オール」
照手牌 四五六⑦⑨5(赤)67-西西 北-北北 ツモ:⑧
衣(どうやら見くびっていたようだな・・・清澄の大将)
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:06:59.47 ID:5tUPLJ+90
-そして-
実況「ついに決着ー! 長野県代表は清澄高校。龍門渕天江の追撃をかわし、悲願の初出場です」
衣「楽しませてもらったぞ、清澄」
照「こちらこそ」
ゆみ「まだまだ足元にも及ばないが、また手合わせ願いたいものだ」
華菜「あたしだって絶対リベンジするしっ」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:08:29.58 ID:5tUPLJ+90
-その日の夜-
-部室-
久「全国か、いざ出場となってみると実感がわかないわね・・」
照「そうだな」
久「いやいや、あなたインハイ2回も出てるでしょう?」
照「久と行く全国は、初めてだぞ。結局去年も個人戦に出てくれなかったしな」
久「今年は出るってば」
照「出なくて手料理でも良かったんだが」
久「どっちなのよ・・・」
照「どっちもしてくれれば、より嬉しい」
久「毎日お弁当つくるのにはもうこりたわ」
照「それは残念だな」
久「それにしてもホント、夢オチなんじゃないかって、ふと思っちゃったりするのよね」
照「2年前のことを思えば、そう思っても仕方がないが・・・それでもこれは現実だよ」
久「そうね。本当にありがとう、照」
照「・・・・礼を言うのはこちらだよ。久があの時部室にいなかったら、私はまた麻雀をしようなんて思わなかった」
久「私だって・・・あの日誰も来なかったら、諦めてたかもしれないわ」
照「だったら、お互い感謝だな」
久「そうね・・・。ああ、そういえば」
照「どうした?」
久「西東京の結果も出てるんじゃないかしら? ちょっと確認してみましょうか?」
照「・・・急に言われても、心の準備が出来てない」
久「いつ見たって一緒よ。西東京は白糸台ね、もう牌譜まで速報で出てるのね・・・」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:10:39.20 ID:5tUPLJ+90
照「咲は?」
久「あらあら、心の準備はもう整ったの?」
照「整ってはいないが、気になるものは気になるのだから仕方ない」
久「あら、先鋒なのね。先鋒宮永咲、華麗なる嶺上開花、か」
照「・・・・咲が、こんな牌譜」
久「確かに、正直言ってえげつないわね。予選の初戦、先鋒の全員0点にして次鋒に回すとか・・・」
照「私のせいだ。こんな、麻雀を憎んだ打ち方」
久「麻雀は勝ちを目指すもの、だけど負けた人を弄ぶようなことはしてはいけないわ。照、あなたはそんなことは分かっているかもしれないけれど、この子は麻雀を見失っているわ」
照「私のせいで、こんなことに」
久「あなたのせいかどうかなんて分からない。でも、この子を止められるのは・・・照、あなただけよ」
照「私、だけ・・・でも、私のせいで咲は」
久「だからこそよ、あの子を狂わせたと思うのなら、あなたが救いなさい」
照「私が、救う?」
久「そうよ。それに、こんなところでうじうじ考えたって、あの咲って子があんな打ち方をする理由なんて分からないでしょう。だったら直接確かめなさい。そうしないと、あなただって麻雀を楽しめなくなってしまうわよ」
照「・・・牌譜」
久「え?」
照「その速報の牌譜、プリントアウトして」
久「照・・・」
照「オーダーの変更はできないから私は直接戦えない。でも、この牌譜から少しでも見えるものがあるなら、私はそれを優希に伝える・・・」
久「そうね、じゃあちょっと待っててね」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:11:58.74 ID:5tUPLJ+90
-同日、白糸台-
-部室-
TV実況「ついに決着ー! 長野県代表は清澄高校。龍門渕天江の追撃をかわし、悲願の初出場です」
淡「さすがの宮永照も、あの天江衣には苦しんだようね」
咲「大将にしてもらえばよかったよ、直接潰せないんじゃ面白くないな」
淡「まあいいじゃない、先鋒でトバして出番なしってのも面白いんじゃないの? 私がチャンピオン叩き潰してあげてもいいけど、出番なく敗れるってのも屈辱じゃない?」
咲「ほんと、それくらいしか楽しみがないね」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:13:09.31 ID:5tUPLJ+90
-全国大会 抽選会終了後-
優希「白糸台とは反対側になっちゃったじぇ」
和「まあ、どこで当たるかが変わるだけですけどね」
まこ「余裕じゃのぉ、全国じゃあそう簡単には勝ちあがれんぞ」
久「とりあえず今日のところは自由行動にしましょう、羽目を外し過ぎないようにね」
照「・・・私は対戦相手の牌譜を見たいからホテルに戻る」
久「ダーメ。部長命令よ、今日は牌譜見るの禁止」
照「全国はそんな甘いところじゃないって今まこも言ったばかりじゃないか」
久「だからこそよ、リフレッシュも大事。先に進めば進むほど、休みなんて取れなくなるんだからね」
優希「東京のタコス巡りしてタコス力をアップさせたいじぇ!」
照「でも私はっ」
久「じゃあ民主的に多数決にしましょうか」
照「はぁ、そんなの勝ち目がないじゃないか・・・」
久「ではこれより自由行動、各自夕食を済ませて夜7時半にホテルに集合、その後簡単にミーティング。いいわね」
久「じゃあ解散!」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:14:43.20 ID:5tUPLJ+90
照「久は強引・・・」
久「あら、そうでもしないとあなたホテルから出ないでしょう?」
照「大会前はいつもそうしてるからな」
久「そこまでするなとは言わないけど、あんまり思い詰めてほしくないのよ」
照「思い詰めてなんかっ・・・いや、思い詰めているのかもしれないな。久にはそう見えるんだろうし」
久「今日だけは麻雀のことは忘れなさい。ほら、バスが来るわよ」
照「ああ、努力する・・・」
久「さて、5つ目のバス停で降りるわよ。あそこの席が空いてるわね。東京はごちゃごちゃしてるから、はぐれないでよ」
照「・・・気をつける。手、握ってもいい?」
久「恥ずかしいじゃない。座ってる間だけよ・・・」
照「それでいい」
久「照、本当は少し怖かったんでしょ。自由行動なんてしてたら、咲ちゃんに偶然出会ってしまうかもって」
照「久にはなんでもお見通しなんだな」
久「なんでもって訳じゃないけどさ、想像の範囲内よ。それに家族の離散っていうのは、他人ごとじゃないしね」
照「・・・・聞かないようにしてきたし、私を慰めるために身を切らなくてもいい」
久「あなただけじゃないんだから、そんなに気負わないでって話よ。私はもともと上埜って名字だったの。だけど中学の時に両親が離婚してね、母方の竹井って苗字になったのよ」
照「・・風越のキャプテンから、少しだけ聞いた」
久「正直、中学の時に福路さんと当たってたなんてほとんど覚えてないんだけどさ。ま、とにかくうちの両親の場合は、仕事の時間がとにかく合わなくてね、父さんは夜勤で母さんは普通に事務。そうやってだんだんすれ違って、お互いの心が見えなくなってしまった。だからなおさら思うのよ、あなたたち姉妹も、どこかで歯車が合わなくなってしまっただけで、何かきっかけがあれば仲良くなれるんじゃないかってね」
照「久・・・」
久「まあそういうことだし、部のみんなだってあなたの味方よ。だから、あんまり一人で抱え込まないでね」
照「本当に久には助けられてばかりだな・・・」
久(とはいえ、あの咲って子の打ち筋、いくら合同合宿で優希もレベルが上がってきたとはいえ、もう少し何か考えないと潰されかねない・・・)
その後、清澄は順調に決勝戦まで勝ち進んだ。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:16:06.67 ID:5tUPLJ+90
-Aブロック準決勝-
実況「さあ始まりました、Aブロック準決勝。決勝に進めるのは2チーム。順調に勝ち上がってきたシード校の千里山に王者白糸台。対するは福岡の名門新道寺に10年ぶり出場の阿知賀女子。開局です」
煌「宮永さん、前回は私を飛ばそうと躍起になっておられましたが、今回は負けませんよ。お互い、すばらな戦いをしましょう」
煌(私が飛んだことがないと知ってか、宮永さんは私を狙い打ちにしてきましたが、それでも飛ばない私、すばらですっ)
咲「よろしくお願いします」
咲(今度こそ飛ばす。すばらすばらって、うっとうしいし)
玄「よろしくお願いしますっ」
玄(宮永咲さん・・・白糸台の白い悪魔なんて呼ばれてる人、一緒に打ちたくないよねーなんて言ってたけど、私これからこの人と打たないといけないの・・)
怜「よろしゅう」
怜(宮永咲、嶺上開花が注目されがちやけど・・・)
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:17:46.99 ID:5tUPLJ+90
船久保「ええですか、白糸台先鋒の宮永咲。まず特筆すべきこととして、嶺上開花での上がり率は異常ですわ、上がらなくとも確実に有効牌を引くんですわ」
竜華「確かに、役無しの状態からカンして嶺上だけで上がるとか多いなー」
セーラ「こりゃ、嶺上牌が見えとるとしか思えんなー」
船久保「そうです、園城寺先輩が1巡先が見えるように、この宮永咲には嶺上牌やカン材が見えとると考えていいでしょう」
怜「カンされないように打ち回さなアカンちゅうことやな」
泉「まずってゆうてましたけど、他にも何かあるんですか?」
船久保「正直言って、えげつない打ち手ですわ」
セーラ「えげつないって、どれくらいえげつないん?」
船久保「西東京地区予選の初戦で、先鋒全員を0点にしたというのは有名な話です」
竜華「なんやのそれ、途中で誰もとばへんかったんか?」
船久保「ええ、他3校は成す術なく削られとります。しかも宮永自身、誰かを飛ばそうと思えば飛ばせる場面が何度もありました。でもそれを全部見逃し、全員0点に調整してのけたんです」
怜「そりゃ、えげつないな・・・。うち、そんなのと戦うんか、死ぬな」
船久保「あと、徹底的な狙い撃ちが特徴ですわ。西東京の決勝で、個人戦8位の西東京第二高校の松河合っていう早上がりに定評のある選手がおるんですが、さすがにとびはしなかったものの一回もあがらせてもらえず、しかも宮永は松河合以外からの出上がりは一切しないという徹底ぶりだったそうですわ」
怜「・・・狙われたらほんとに死ぬかもしれん」
怜(前回は新道寺を狙い撃ち。3校の中で一番強いと思うところを狙い打ちにするんやったら・・・狙われるのはうちなんかなぁ)
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:20:30.19 ID:5tUPLJ+90
-東1局-
-8巡目-
親:宮永咲
ドラ:2ピン
煌 打:発
咲「カン」
煌(カンされてしまいましたか・・・嶺上で責任払いでしょうか・・)
咲 打:一萬(ツモ切り) カンドラ:八萬
咲「どうぞ」
煌「え、ああ、失礼しました」
怜(嶺上やない上にツモ切りってどういうことや)
煌 打:1ピン
咲「カン」
煌「すばらっ」
咲 打:3ピン(手出し) カンドラ:2ソウ
煌(今度は手出し、さすがにテンパイでしょうね。それにしても・・・・)
玄 カタカタカタカタ
怜(なんや、阿知賀が震えとる・・・)
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:22:42.98 ID:5tUPLJ+90
玄 手牌:八八②②②⑤(赤)⑤(赤)2225(赤)68 ツモ:八 →打:8
玄(タンヤオ三暗刻ドラ12、数え役満テンパイ。手牌がほとんど全部ドラだよぉ)
玄 手牌:八八八②②②⑤(赤)⑤(赤)2225(赤)6
怜(・・・カンドラも乗っとるんやろうか。ドラ10とか平気で言ってきそうやし、注意しとかんとな)
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:23:56.72 ID:5tUPLJ+90
-9巡目-
煌手牌 五六七③③④④⑤678北白 ツモ:北 →打:白
煌(張るには張りましたが、待ちが悪すぎますね。ドラは来ない以上2ピンは空同然、5ピンは赤2枚ゆえ、残り5ピンは実質1枚。リーチは自重しましょう、仮に出ても平和のみで上がれますしね)
玄手牌 八八八②②②⑤(赤)⑤(赤)2225(赤)6 ツモ:西 →打:西
玄(そう簡単には出ないよね・・・)
怜手牌 二三四七七33457779 ツモ:4
怜(テンパイはしたけど、イマイチ。2ソウはドラやし、赤5ソウは出えへん・・・。実質ペンチャンやな)
怜(なら、一巡先やっ)
・・・・・
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:25:01.04 ID:5tUPLJ+90
怜(・・・・宮永咲、あんたほんとに悪魔やわ、このためにカンしたんか。阿知賀が振るのは止められへん)
怜 打:9ピン
-10巡目-
玄手牌 八八八②②②⑤(赤)⑤(赤)2225(赤)6 ツモ:五(赤)
-阿知賀控え室-
憧「赤五萬が来ちゃったかぁ、最悪」
穏乃「新道寺は②⑤待ち、ピンズは切れない」
灼「千里山は25待ち」
宥「それに、白糸台は…」
咲手牌 五五五六七66 一-一一一 発-発発発
晴絵「役は発のみだけど、五八萬-6ソウ待ち。何を切っても誰かに振り込む・・・」
宥「玄ちゃん・・・」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:26:37.30 ID:5tUPLJ+90
-再び10巡目-
玄(どうしよう、6ソウ以外全部ドラになっちゃった・・・でも、6ソウ切ったらせっかくの役満なのにあがれなくなっちゃう)
玄(ドラを切るしかない。1つくらい、いいよね・・・)
打:赤五萬
咲「ロン、発ドラ1」
玄「あっ・・・」
咲「残念でしたね、せっかくドラをたくさん乗せてあげたのに・・」
玄「えっ?」
咲「それに、後で牌譜を見てみてくださいね、面白いですよ。何を切っても誰かに振ってたんですから」
玄「え、えっ?」
怜(な、アカン。こいつ阿知賀をつぶす気なんかっ)
煌「さあ次の局を始めましょう。宮永さん、すばらなあがりでしたが、次は負けませんよ」
怜(新道寺ナイスや)
咲(ちっ、またすばらか)
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:27:39.82 ID:5tUPLJ+90
-東1局1本場-
ドラ:西
咲「カン」
怜(いきなりカンか、しかも・・・)
煌(西、ドラカンですか・・・)
咲「ツモ、リンシャンツモドラ4、6100オール」
怜(あかん、どっかからめげるわーって声が聞こえる・・・こんなん一巡先とか関係あらへん)
煌(宮永さんにドラ、なるほど、阿知賀の方は一度ドラを切るとドラを集めることができないのですね。それはすばらではありませんね・・・)
玄(ドラが、来ない・・・・)
煌(・・いけませんねぇ、先ほどのドラ切りは相当ショックだったようですね)
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:29:13.62 ID:5tUPLJ+90
-先鋒戦オーラス-
怜「ツモ、1000、2000や」
煌(ふう、今回も何とか飛ばされずに済みました、しかし前回より多く点を失ってしまったのはすばらではありませんね・・・)
咲(飛ばせなかったか・・・、もうすばらめんどくさい)
玄「あ、ありがとうございました・・」
怜(一巡先を読んでもほとんど歯が立たんかった・・・10万点差とか、めげるわー。にしても、阿知賀のこの娘の方が消耗激しそうやな。無理やりドラ切らされたようなもんやしな・・・)
白糸台 220200
千里山 119900
阿知賀 47500
新道寺 12400
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:30:11.61 ID:5tUPLJ+90
-廊下-
宥「玄ちゃん・・・」
玄「あ、お姉ちゃん・・・。ごめんなさい、みんなの点棒、あんなに取られちゃって」
宥「大丈夫だよ、玄ちゃん。お姉ちゃんが取り返してあげるからね」
玄「うわぁぁぁぁぁん」
宥「うん、じゃあお姉ちゃん行ってくるね」
玄「うん、がんばってね」
菫「すまない、ちょっといいだろうか」
宥「あなたは、白糸台の・・・」
菫「ああ、白糸台部長の弘世菫だ。その、先ほどのうちの宮永のことについて謝罪に来た」
玄「謝罪?」
菫「宮永と大星の大会での打ち筋は目に余る・・・。振り込んだ相手を馬鹿にするような言動、本当に申し訳ない」
宥「あ、頭を上げてください」
玄「部長さんは悪くないですよ・・・でもあの宮永さんは、麻雀自体を憎んでるような・・・そんな感じで怖かったです」
菫「本当にすまない・・・。大会にエントリーするまでは、宮永も大星も普通だったんだが、エントリーが決まった途端にあんな風になってしまってな。まあ今思えばその兆候はあったのかもしれないのだが」
宥「もうすぐ時間ですね、行きましょう。次鋒戦」
菫「ああ、お互いにいい戦いをしよう」
玄「お姉ちゃん、がんばってね」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:31:04.82 ID:5tUPLJ+90
淡「おっつー。あのすばらさんは飛ばせなかったようね」
咲「・・・千里山の園城寺さんにも上手く立ち回られたのもあるけどね。流石に10万点持ちを飛ばすのは全国レベルでは難しいよ」
淡「んで、決勝にはどこのチームを連れて行く?」
咲「阿知賀、かな」
淡「ん、まあ千里山はめんどくさそうだから論外としても、新道寺はいいの? 3度目の正直ですばらさん飛ばしてみるって言うのかと思った」
咲「・・・・それも考えたけど、あの人全然めげないから面白くない。あと1万点で飛ぶっていうのに、どうしてあんな笑顔でいられるの・・・。イライラするよ。その点、あの阿知賀の松実さんの落ち込みっぷりの方が断然いいね」
淡「確かにあんな顔されたらSに目覚めちゃうわね」
咲「だから、決勝は阿知賀残しでよろしくね」
淡「りょーかい。まあまた部長がぶつくさ言ってくるのかもしれないけどねー」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:32:13.26 ID:5tUPLJ+90
-大将戦 直前-
白糸台 160200
千里山 123200
阿知賀 74200
新道寺 42400
-白糸台控え室-
淡「先鋒戦で10万点あった差が、大将に回ってきて3万7千点になっているってどういうことでしょうね、先輩方・・・」
菫「・・・反省会は試合が終わったらやればいい、今は目の前の試合に集中しろ、大星」
淡「はいはい、わかりましたよー」
菫「まったく・・・」
淡(千里山と阿知賀の差、49000点。ただトップ通過するだけじゃ面白くないし、このくらいの点差、調整してあげるわよ)
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 02:33:44.48 ID:5tUPLJ+90
-千里山控え室-
船久保「ええですか、白糸台悪魔の1年生コンビの1人、大星淡。帰国子女で国内の試合データが少ないので、正直まだ十分な解析はできとりません」
泉「でも、結構な確率で役満上がってきますよね?」
船久保「ローカル役満の中に、大七星という役満があります。まあこれは字一色七対子のことなんですけども、西東京予選、全国2回戦において、大星はこの大七星を合計6回あがっとります」
セーラ「ほぼ1半荘に1回くらいか、すげーな」
竜華「それで、条件みたいなんはあるの?」
船久保「解析としては不完全ですが、分かったことが2つあります。一つは、7本場になると必ず大七星をツモります、これは誰が親でもとにかく7本場になるとっちゅう意味ですわ。もう一つは開局から7回目に大星が北家である場合、これも大七星をツモります。ちなみに、これも7巡目にツモるという念の入れようですわ。配牌に字牌が1つずつあって、1巡ごとに字牌が入って7巡目にツモ」
怜「7に関係することがキーになるわけやな・・・」
船久保「強いて言うなら、永水の薄墨と同じようなタイプかと考えられますね。ある条件下で、役満を持ってこれる。ただ薄墨の場合は、その場で東と北を切らなかったらなんとかなる話ですが、大星の場合は条件が発動してしまえば防ぐ手立てがあらへんということですわ」
セーラ「7本場か7局目の北家にならんように打ち回さなかんってことやなー。まあそれだけ分かっとれば竜華なら大丈夫やろ」
船久保「いや、それは分かりません。というのも、6回中5回は今言うた条件が当てはまるんですが、残りの1回、これの条件がどうしてもわからんのですわ。7本場でもなければ、開局から7局目でもない。まだ隠された条件があると考えた方がいいでしょう」
竜華「ま、基本的には7本場か7局目の北家に注意して、あとは大星の様子見ながら、なんか7絡みで何か変なことしようとしてないか確認って感じでええんかな」
船久保「ええ、それでええと思います。なんにせよ、清水谷先輩には2位以上での通過を大前提として、できるだけ大星のデータを集めていただきたい。決勝に向けて、残された条件も全力で洗い出してみせますっ」
竜華「わかった、ほな行ってくるな」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/08/01(水) 04:55:13.23 ID:SH53Wyuvo
こういう未来もあったかもしれないのか・・・
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/01(水) 11:11:48.24 ID:RGShDb640
すばらです
タイトルは【照 -tel-】ですね、わかります
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 21:53:08.64 ID:5tUPLJ+90
1です。
帰ってきたらたくさんのすばらをいただき、ありがとうございます!
ご飯食べたりだなんだとありますので、23時くらいから投下予定です。よろしくお願いします
ええと、京太郎は出す予定ありませんのでご了承を。
というか、京太郎って咲の幼馴染だけど、照からすれば「妹の友達」くらいなもんだと思いますので、このIFでは出番はないんじゃないかと思いますが
[訂正]
>>33
咲手牌 五五五六七66 一-一一一 発-発発発
↓
咲手牌 五五五六七66 ①-①①① 発-発発発
カンしたの1ピンなので修正。まあ対局に影響はありませんが・・・
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/01(水) 22:57:24.60 ID:5tUPLJ+90
-大将戦-
-東4局2本場-
-開局6局目-
親:高鴨穏乃
穏乃「リーチ」
竜華(あかん、阿知賀のジャージの子が親になってから連荘を続けとる。このまま上がられると7局目に大星が北家のままや。追いついて上がらな・・・)
淡「ポン」
淡 打:四萬
穏乃「ロン、メンタンピン。裏はなし・・。5800の2本場は6400です」
淡「あら残念・・」
竜華(・・・わざと差し込んだな。次局、万が一の出上がりの可能性も考えて、字牌は極力切らんようにせんとな)
姫子(前の局も大星の振込・・・何のために?)
白糸台 146400
千里山 120700
阿知賀 90200
新道寺 42700
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 22:59:37.64 ID:5tUPLJ+90
-東4局3本場-
-開局7局目-
ドラ:9ピン
穏乃「リーチ!」
穏乃 捨牌:中発八九①6
淡 捨牌:中発④5二
竜華(走ってんなぁ。うかうかしてると逆転されるかもしれん)
竜華 手牌:二三四①③④⑤345東南北白
竜華(通る字牌はあらへん。あらへんが・・・なんで大星はいきなり中発と切っとるん。大七星が発動するんやったら字牌は切らんはずや。発動してへんのか・・・。船Qの分析が外れるとも思えへんけど。まあなんにせよ、とりあえずは親の現物切るか)
竜華 打:1ピン
淡「ロン」
竜華(は、ロン、なんでや!?)
淡 手牌:東東南南西西北北白白⑨⑨①
淡「チートイ、混一、チャンタ、ドラ2。16900です」
竜華「発動しとるやん、なんでや!」
淡「発動? おっしゃる意味がわかりませんが、とりあえず16900点いただけますか?」
竜華(くっ・・・いくらドラ対子あったからにしても、役満上がれるなら上がる方優先するやろ)
穏乃(上がれなかったけど、これで2位との差が14600点。絶対あきらめないっ)
姫子(完全に蚊帳の外たい・・・)
白糸台 164300
千里山 103800
阿知賀 89200
新道寺 42700
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:00:59.41 ID:5tUPLJ+90
-千里山控え室-
船久保「・・・大星は確実に千里山狙いですわ。役満ツモってしまったら、親の阿知賀を多く削ってしまうから回避したんでしょう」
泉「3位の阿知賀に振り込みして7局目を北家で迎え、あえて役満捨てて出上がり狙い・・・。船久保先輩の分析のとおり、大星には字牌が配牌でそれぞれ1つの合計7個。ツモも、順番に東南西北白と来てた。そのまま続いていれば、発と中もツモってたはず・・・」
セーラ「今年の白糸台はめっちゃえげつないわー」
怜「竜華・・・」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:03:21.90 ID:5tUPLJ+90
-2半荘目 オーラス-
北家 白糸台 132400
東家 千里山 111100
南家 阿知賀 103600
西家 新道寺 52900
実況「いよいよ、この局で決勝進出校が決定します」
竜華(2半荘目は大七星の条件は完全に阻止したし、阿知賀に振り込もうとするところを狙い撃ちもできた・・・。阿知賀との差はだいぶ詰められて7500点やけど、絶対逃げ切る)
穏乃(7500点差まで来た。ツモなら5200点以上、直撃なら3900点、7700点以上あれば出上がりでもいい。あきらめない)
淡(二人とも、なにそんな真剣な瞳をしてるのかしら・・・そんなの無意味なのに)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/01(水) 23:03:34.62 ID:0vOKHrMKo
シズは末原先輩と違って単純だな
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:05:02.64 ID:5tUPLJ+90
-7巡目-
竜華(・・・阿知賀はそろそろテンパイか。直撃狙いやったらまずリーチにはこんから気を付けんと)
穏乃(高目タンヤオ三色テンパイ。でも4ピンなら直撃できるけど、1ピンならタンヤオも三色も消えちゃう。ダマで高目が来るのを待つしかない)
淡「ツモ」
淡 手牌:東東南南西西北北白白発発中 ツモ:中
淡「字一色、役満は16000、8000です」
竜華(えっ、なんで発動しとるん・・・7本場でも7局目でもあらへんやん)
穏乃(ってことは、千里山が親だから、親と子の払いで8000点縮まる)
白糸台 164400
千里山 95100
阿知賀 95600
新道寺 44900
実況「なんということでしょう、このオーラスで役満が飛び出しました。千里山が親っかぶりで3位転落、阿知賀女子が2位浮上し決勝への切符をつかみました」
穏乃「やったー!」
竜華「みんな、ごめん・・・・」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:07:23.86 ID:5tUPLJ+90
-プレスルーム-
西田「また字一色七対子・・・」
和「また?」
西田「ええ、大星淡は字一色七対子を予選本選合わせて6回は上がっているわ」
和「それはなかなかの偶然ですね」
優希「のどちゃんの友達たちも決勝進出だじぇ!」
和「そうですね、副将の方は知らない人ですが・・・。そういえば、部長が阿知賀が勝っても負けても阿知賀の顧問か部長と連絡が取れるようにしておいてほしいって言ってましたね」
西田「情報交換かしら? 分かっているとは思うけど、練習試合はしちゃダメよ」
和「ええ、それはもちろん部長も分かっているはずです」
優希「なんにせよまずは阿知賀におめでとーって言いに行くじぇ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:09:36.08 ID:5tUPLJ+90
-会場 ロビー-
晴絵「それで、清澄の部長さんからお話っていうのは何かしら?」
久「団体戦の決勝は、中1日挟んだ明後日です。つまり、明日1日は練習に使える」
晴絵「分かっているとは思うけど、代表校同士の練習はできないわよ」
久「もちろんです。ですが、すでに団体戦を敗退した学校は、個人戦出場者を除いてその縛りがなくなります」
晴絵「敗退した学校と練習試合を組む、ということかしら?」
久「ご理解が早くて助かります。実はうちの部員の知り合いの雀荘に会場としての貸切を打診しています。あと、姫松にもこれからお話する件はすでに了承をいただいています。阿知賀の皆さんがこの話に乗るか乗らないかは自由です」
晴絵「・・・つまり白糸台シフトを決勝に出た他3校で組もうって訳だ」
久「そういうことです。どの学校にせよ、優勝するための最大の障害が白糸台であることは間違いありません」
晴絵「・・特に先鋒戦って言いたいんでしょう?」
久「ええ、正直申し上げて、松実玄さんが決勝でもショックを引きずったままだと、宮永咲に狙い撃ちにされるのは想像に難くありません。彼女の復活は、まあそれはそれでうちとしては困る部分もありますが・・・それでも、現状のままただ毟られるよりはましですので」
晴絵「なるほど、話は分かった。それで、対戦相手はどこなのかしら?」
久「まず長野の決勝選出場学校の3校、前年代表だった龍門渕高校、風越女子、鶴賀学園。Bブロックの宮守女子、永水女子。今決まっているのはこの5校。あと姫松には同じ大阪の千里山にも声を掛けてもらっています、こちらはまだ未定ですが。そして練習には加わりませんが、協会の監査代行として藤田プロに立ち会いをお願いしています」
晴絵「藤田プロが協会の代わりに、決勝校同士が対戦しないかどうかチェックするということね」
久「そういうことです」
晴絵「なるほど、じゃあ信頼できるわね。そのお話受けましょう」
久「ありがとうございます」
晴絵「ただ、対戦相手はもう少し増やせるかもしれないわよ」
久「え?」
晴絵「荒川憩って知ってるでしょ、全国2位の。彼女とうちの部員、話ができるらしいから」
久「それが可能なら是非お願いします」
晴絵「じゃあ確認取れたら連絡入れるから、携帯の番号教えて」
久「ええ、ではお待ちしています。ああ、あとすいません。失礼かもしれませんが、サインをお願いしたいのですが?」
晴絵「えっ、私の?」
久「赤土さんも含めた、阿知賀全員です。先ほど言っていた雀荘の貸切条件が、使用者全員のサイン色紙なんですよね」
晴絵「逆にそれくらいで貸切にしてもらえるなら安いものよ」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:10:29.93 ID:5tUPLJ+90
-清澄 ホテル-
まこ「というわけでキリキリ書きんしゃい」
照「なんでみんなは1人1枚なのに、私だけ50枚も・・・」
まこ「それだけ価値があるっちゅうことじゃ」
照「疲れた・・・」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:13:03.60 ID:5tUPLJ+90
-千里山控え室前 廊下-
洋榎「おっ、セーラや、いいところに」
セーラ「ん、姫松の洋榎やんか、こんなとこに何しにきたん?」
洋榎「いやー、ほんまやったら部長の竜華に話さないかんことなんやろうけどな。流石に今のさっきじゃキツそうやんなぁ」
セーラ「・・・なんか良くない話なん? こう見えても俺かてショック受け取るんやで? まあ一番ショック受け取るのは竜華やろうけどな・・・」
洋榎「そういうことやないんや、気ぃ悪くせんといて。あんな、明日練習試合に付きおうてくれんかってお願いなんや」
船久保「何を表でしゃべっとるんです?」
セーラ「浩子、ちょうど良かった。ちょっと表でてや」
船久保「姫松の愛宕洋榎? なぜこないなとこに?」
セーラ「それがな、姫松の練習に明日つきおうてほしい言われてな。これって大会的にOKなん?」
船久保「あー、またややこしい話でんな・・・。個人戦に出る園城寺先輩と清水谷先輩は、愛宕洋榎とは戦えません。他はOKですね」
洋榎「まあ無理にとは言わんし、千里山全員でとも言わんよ。でもな、練習来るのはうちらだけやないで」
船久保「興味がありますね、どういうことです?」
洋榎「もともと明日の練習試合しよう言いだしたのは、長野の清澄や」
セーラ「おお、あの中高ダブルチャンピオン率いる清澄やな」
洋榎「せやせや、その清澄がな、今そっちのブロックで決勝に行った阿知賀にも声かけとるんや」
船久保「ほほう、読めましたわ。つまり、打倒白糸台の緊急合同合宿みたいなもんですね」
セーラ「面白そうやん、俺は乗るで」
洋榎「それでこそ大阪のノリや、感謝やで」
船久保「何勝手にゆうてますの・・と言いたいところやけど、まあどっちみち負けたウチらは明日から自由行動やさかい、各人自由に参加するつうのが落としどころやないですかね。園城寺先輩と清水谷先輩は明日はゆっくりしたいやろうし」
泉「先輩方、さっきから表で何してますの? って、姫松の愛宕さん?」
セーラ「泉、明日姫松他と練習試合な」
泉「は?」
船久保「次期エースとして、泉には参加してもらわんと困る」
泉「あの、話が見えんのですが?」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:14:27.39 ID:5tUPLJ+90
洋榎「深く考えんでええで、ウチらと仲良く麻雀しませんかつうお誘いや」
泉「明日はどこか東京見物でもしようかとか思ってたところなんですが・・・ちなみに何時から始めるんです、その練習」
洋榎「9時半集合、6時解散や」
泉「またみっちりやるんですね。船久保先輩やセーラ先輩も行くんですか?」
セーラ「その練習、清澄と阿知賀も来るらしいで」
洋榎「あと、こっちのブロックにおった岩手の宮守と鹿児島の永水も来るで」
船久保「永水、マジですか。神代も来るんですか?」
洋榎「清澄からはそう聞いとるで」
泉「いや、逆に私なんかが参加して大丈夫なんですかって気になりますけども・・・」
船久保「牌譜取ってもええんですかね、これは応援に来とる部員総動員で参加せんとあきませんな」
セーラ「なんか浩子が一番燃えてきたな」
怜「なー、どんどんミイラ取りがミイラになっとるけど、何しとるん?」
セーラ「怜、俺ら明日ちょっと麻雀してくるけど、竜華と仲良くお留守番しとくか?」
怜「なにゆうてんの? っていうか、姫松の愛宕洋榎がなんでここにおるん?」
洋榎「同じ大阪のよしみで、明日練習試合させてくれへんかってお願いにあがったんや。ってもうこれ3回目やん」
怜「何回目かなんて知らんけど・・・このタイミングでそんなお願いされてもな」
船久保「園城寺先輩、とりあえずここはウチが話まとめておきますんで、清水谷先輩のとこ戻ってください」
怜「そうさせてもらうわ・・・」
洋榎「機嫌損ねてしまったみたいやわ、申し訳ない・・」
セーラ「しゃーないしゃーない」
泉「どっちみち二人でそっとしといた方が良さそうですし、立ち話もなんですから場所を変えませんか?」
船久保「仕切るねー」
洋榎「せやな、下の喫茶店にでも行こか」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:15:43.46 ID:5tUPLJ+90
-翌日-
-雀荘 2階-
参加者:清澄・阿知賀・姫松・龍門渕・風越・鶴賀・宮守・永水・千里山(怜竜華除く)・荒川憩・藤原利仙・霜崎絃・対木もこ・百鬼藍子
久「本日は団体戦決勝戦を前にした3校合同練習に、これだけのメンバーに集まっていただき、本当に感謝します」
藤田「今回、協会の代理として練習に規定違反がないかチェックさせていただく。とはいえ、これだけの面子がそろうこともそうそうないだろうし、私も楽しみにしている。気兼ねなく打ってほしい」
久「それでは、直前にお渡ししたタイムスケジュールにそって、練習を始めましょう」
-練習方法-
決勝進出校以外を、ABCの3組に分ける
A…千里山・鶴賀・藤原利仙・霜崎絃
B…宮守・風越・荒川憩・対木もこ・百鬼藍子
C…龍門渕・永水
決勝進出校は2階(清澄)3階(阿知賀)4階(姫松)に常駐し、ABCの3組が2時間ごとにローテーションする
タイムスケジュールは10時~12時、13時~15時、15時半~17時半、18時解散
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:17:38.80 ID:5tUPLJ+90
-1クール-
-4階 姫松・Cチーム-
衣「早くはじめるぞ~」
神代「よろしくお願いします」
透華「さあ、どなたからいらしても結構ですわよ」
洋榎(こりゃ清澄の部長には感謝やな、こんな面子とはそうそう打たれへんで)
洋榎「よっしゃ、漫、この面子相手に爆発すれば本物やで。玉砕してこいや」
漫「玉砕したらあきませんやん! まあ玉砕するんは目に見えますけども」
恭子「いや、漫ちゃんの爆発は決勝までとっておきましょう・・・というか、私に打たせてください」
洋榎「恭子がそこまで言うんやったらやったり。面子的には大将戦の方が確かに雰囲気近いかもわからんな」
恭子(魔物と呼ばれる天江と神代。さらに去年団体で臨海と戦った時の龍門渕透華の牌譜は衝撃やった。この面子に少なくとも善戦できるようでないと、明日の大将戦なんて恥かくだけや・・・)
洋榎「じゃあ漫はウチがもんだる。龍門渕の中堅って誰なん?」
一「ボクだよ、国広一。よろしくね」
洋榎「あとは永水の黒糖ちゃん、また打とうや」
春「・・・プチ中堅戦。悪くない」ポリポリ
絹恵「残りはどうしましょ、一応姫松の練習やし、私と真瀬先輩は確定なんかな?」
由子「私は恭子ちゃんの卓が見たいから入らなくてもいいのよー」
絹恵「あ、そうなん? なら、薄墨さんともう一回やりたいわ、前の副将戦は宮守に塞がれとったみたいやし」
初美「望むところですよー。今度こそ四喜和を連発しますよ」
純「せっかくだからオレも入らせてもらうか」
霞「あらあら、なら残りは私が入ろうかしら」
絹恵(永水の副将と大将に、龍門渕の先鋒か、これは腕が鳴るで!)
智紀「・・・じゃあお茶でも入れましょうか」
巴「そうね」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:20:49.00 ID:5tUPLJ+90
-2クール-
-3階 阿知賀・Aチーム-
セーラ「ツモ、4000オールで終了や」
憧「あー、また競り負けたー」
セーラ「ちまちま上がって、どかっといかんからや」
憧「もう1回よ」
セーラ「何回やっても同じやでー」
智美「ワハハ、新子さんも十分稼いでるんだがなー」
桃子「消えるのに時間がかかるっすよ・・・」
利仙「まだ、ドラが集まらないようですね」
絃「そうみたいね」
玄「ぐす、あんな切り方しちゃったからかなぁ・・・」
泉「落ち込んでもしょうがありません、とりあえず数をこなしましょ」
ゆみ「さて、Aチームでは実戦よりもデータを教えてあげてほしいと清澄の部長から言われている。今、新子さんと松実玄さんが打っているから、残りの3人へのレクチャーを始めようか」
船久保「正直言いまして、決勝4校の中で一番優勝が厳しいのは、阿知賀です」
灼「うん、それは感じてる・・・それに、私たちが白糸台に残されたのも」
ゆみ「残されようが決勝に残った以上、最善をつくしてほしいし、その手伝いができれば幸いだ。さて、阿知賀が優勝するための鍵は、松実姉妹が握っていると私は考えている」
宥「私と、玄ちゃん・・・」
船久保「同意見です。まず先鋒ですが、我が校の園城寺先輩ですら宮永咲に10万点差つけられました。先鋒でこれだけの差をつけられると、2位抜けのある準決勝までは良くても決勝では話になりません。ですので、松実玄の復活は最優先事項ですわ」
ゆみ「これまで宮永咲は徹底的な狙い撃ちをしてきている。玄さんが落ち目と分かれば容赦なく狙ってくる」
晴絵「玄の復活は、もう本人がきっかけを掴むしない」
穏乃「そうだね、玄さんを信じよう」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:23:11.75 ID:5tUPLJ+90
船久保「正直、ドラが集まりませんどうしたらいいですか?っていう悩み自体が、ナンセンスな気もしますが・・」
ゆみ「まあ、玄さんにはまた個別にアドバイスをしておこう。さて、次鋒戦だが、阿知賀が大きく点を稼げるとしたら、ここしかない」
宥「そ、そうなの?」
船久保「逆算していけば見えてきます。まず大将戦、清澄宮永照に白糸台の大星淡、この2人のデッドヒートになるのは目に見えてます。高鴨さんがよほど強運に恵まれない限り、まずこの2人に収支で上回るのは難しいと考えるべきです」
ゆみ「副将戦は清澄の原村や姫松の愛宕絹恵と堅実な打ち手が多く、おそらく小場になって大量得点は望めない」
船久保「で、中堅戦は清澄竹井と姫松愛宕洋榎のデッドヒートですわ」
ゆみ「となると、やはり稼ぐべきは次鋒戦となる。白糸台の弘世と姫松の真瀬は堅実な打ち手だし、清澄の染谷が曲者ではあるが、彼女への対策をとることができれば、十分稼ぐことが可能だ。そこで第3クールでは、龍門渕の国広、井上、永水の石戸と練習をしてくれ」
船久保「国広が仮想真瀬、井上が仮想染谷、石戸が仮想弘世ですわ」
ゆみ「見えているものは違うのだろうが、染谷と井上の場の流れを変えようとする鳴きはよく似ている。対策の一助になるだろう。さらに、防御の得意な弘世を極力削るために、同じく防御の得意な石戸から点数を削ることを意識してほしい」
宥「なるほど、的確なアドバイスありがとうございます」
穏乃「私は、私はどうすればいいですかっ」
ゆみ「天江衣と神代の2人と戦うのがいいだろう。宮永大星クラスはあの2人しかいないしな」
灼「じゃあ私は?」
船久保「ピッタリの仮想相手はおりませんし、松実玄さんと同じく、とにかく数をこなしていただくことですかね」
怜「ピッタリやなくてもよければ、相手になったるで」
船久保「お、園城寺先輩っ。来てくれたんですか」
竜華「怜だけやないで」
セーラ「おー、怜に竜華やん。もう出てきて大丈夫なん?」
桃子「ロン、リーチ一発タンヤオドラ1、満貫っす」
セーラ「うお、消えとったんか」
竜華「気持ち切り替えるんに時間かかったけどな・・・。みんながこうして特訓につきあっとるのに、うちらだけどっかブラブラする気にもなれへんしな」
ゆみ「ならレクチャーは終わりにして、私たちも混ぜてもらうとするか」
竜華「穏乃ちゃん」
穏乃「はいっ」
竜華「頑張ってや、最後はあんな幕切れでも、うちらを倒したことには変わりないんやからな」
穏乃「はい、絶対優勝してみせます」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:27:49.71 ID:5tUPLJ+90
-3クール-
-2階 清澄・Bチーム-
憩「去年の個人戦決勝以来やなぁ、照。元気しとったか~」
照「今年もまたどこかで当たるのを楽しみにしているよ」
憩「まあ今日ここでは一緒に打たれへんけど、照の学校のためにも頑張るさかいな」
久「さ、優希、特訓よ。宮守の臼沢さんに塞がれながら、全国2位の荒川さんに点数で上回ること。あともう一人は、吉留さん、お願いできるかしら」
未春「はい、よろしくお願いします」
優希「ちょ、塞がれながら全国2位に勝つとかスパルタすぎるじぇ」
塞「具体的にどのくらい塞げばいいんですか? 正直、あんまり長く塞ぐのはキツイんで」
久「んー、東場の配牌から6巡目くらいならどうかしら。最悪配牌から3巡くらいでもいいけど、とにかく出だしを押さえてちょうだい」
塞「了解、それくらいなららくしょーですよ」
豊音「原村さんと打てるなんてちょーうれしいよー」
和「よろしくお願いします」
もこ「ブツブツブツブツブツブツブツ」
まこ「なんやこの子けったいじゃのう。まあなんにせよ、よろしく」
久(副将戦はオカルトな打ち手はいないから、和は問題無い。問題は先鋒と次鋒。特に先鋒はあの宮永咲を抑えないといけない。たった2時間ではどこまでつかめるか分からないけれど、塞がれながら強い相手と打つことでより格上の相手との戦い方が見えてくるはず。あとはまこに対して、デジタルにオカルトに初見の子を混ぜてみた。まこにはとにかくいろんな打ち筋を見てもらうしかない)
美穂子「上埜さん、お客様がみえてますよ」
久「あら、誰かしら?」
煌「失礼しますよ」
久「あなたは確か・・・」
煌「新道寺の花田と申します。優希や和は中学時代の後輩で、今日も声をかけていただいたのですが予定がなかなか合わず遅くなりました」
優希「すばら先輩だじぇ、来てくれたのかー」
和「お久しぶりです、花田先輩」
煌「優希に和、まさか自分の後輩が全国の決勝まで行くとは、本当にすばらですっ」
久「せっかく来たんだし、打っていく?」
煌「いえ、それには及びません。自由時間が限られていますので。優希に話があって来ました」
優希「・・私?」
煌「ええ、白糸台の先鋒、宮永咲。彼女と二度対戦した私から、せめてものアドバイスをと思いまして」
優希「さすがすばら先輩だじぇ。えと、ちょっと中断するじぇ」
憩「どうぞ~」
煌「対局中申し訳ないです」
照「私も聞きたい」
煌「チャンピオンにとっては釈迦に説法という感じがしますけども。そういえば同じ宮永姓ですね。すばらです」
久「・・・それで、話っていうのは?」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:30:27.96 ID:5tUPLJ+90
煌「宮永咲、彼女の麻雀に、勝ちたいという気持ちがありません。相手の心を折りたい、そんな黒い情念が渦巻いているように感じました」
優希「それで麻雀してて楽しいとは思えないじぇ・・・」
煌「まあ強いて言うなら、心を折った瞬間に楽しいと思うのかもしれませんけども。いずれにせよ、すばらな心がけではありませんね」
照「咲・・・」
煌「私は一度もハコになったことはありません。それをどこから聞いたのか分かりませんが、2回戦の対局中に『もうすぐ飛ばしてあげるから』などと囁かれた時には流石に寒気がしましたね」
久「野球で言うところの、連続無三振記録、みたいなものかしら?」
煌「えっと、喩えはともかく、そんな心を折りにくるスタイルで来ている以上、優希は標的になりうると思いました」
優希「東場で私に一切上がらせないとか?」
煌「ええ、そういうことです」
優希「部活でもときどきあることだじぇ?」
煌「それはすばらと言うべきなのかどうか迷うところですが・・・。いずれにせよ阿知賀の松実さんが復活しなければ、東場の優希を標的にすることはありえますよということを言いたいのです」
久「私の読みは逆だったけど、そういう思考をしてくる可能性もあるわね」
煌「それは、松実さんが復活していない場合には追い打ちをかけてくるということですか?」
久「そういうこと。準決勝では東一こそ松実さんを標的にしたものの、あれはあくまでドラを場に出すためにやったことでメインはあなたを飛ばすことだったはず」
煌「ドラを一回切らせたくらいでは満足できないということですか。まったくすばらではありません」
照「・・・・優希」
優希「なんだじぇ?」
照「練習を再開した方がいい。吉留さんは、優希以外からは出上がりしないでほしい」
未春「え、ええ。わかりました」
優希「なんかまたハードルが上がってるんですけど!」
照「つべこべ言わないで、どんどん打つ」
煌「・・・どうやらこれ以上は練習のお邪魔になってしまうようなので、これで失礼しますね」
久「ええ、貴重な時間をありがとう」
煌「礼には及びません。優希、和、応援してますからね」
照(・・・咲、本当にごめんなさい。でも、優希の心は折らせない)
煌(チャンピオンの反応・・。宮永咲とは何かしら関係がありそうですが、それは言わぬが花なのでしょうね)
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:32:50.67 ID:5tUPLJ+90
-全国大会 決勝戦直前-
照「迷った。控え室は、2階だったよな・・・」
咲「おトイレどこだろ・・・」
照「えっ、咲っ!」
咲「おね・・・・。すいません、急ぎますので」
照「待って、咲。私、ずっと咲に―」
咲「気安く呼ばないでっ・・・。私に、お姉ちゃんなんていない! いないんだからっ!!」
照「ごめんね、ただ、ずっと謝りたかった・・・」
咲「今さら、こんなタイミングで謝らないでよ」
照「ほんと、今さらだ。でも、本当にごめんね、咲・・・」
咲「嫌っ、聞きたくない、知らない、どっか行ってよ!」
久「照、また迷子になって・・・」
久(うわぁ、ここで鉢合うか。白糸台の控え室4階だからって油断してたか・・・)
淡「咲ちゃん、どこー、もうすぐ先鋒戦だよー」
淡(って、宮永照・・・。なんでこんなところにいるのよ)
久(あれは大星さん。この場は撤退よ)チラ
淡(清澄の部長さんか、お互い撤退しましょうね、って視線かな・・・)
久「照、控え室に戻るわよ」
淡「咲ちゃん、もうすぐ始まるからもう行こう」
照「でも、咲が・・・」
咲「・・・失礼します。ごめんね淡ちゃん、行こう」
久「ほんとに時間ないわよ、急いでね」
久(ひとまずこの場は収まったけど、さて・・・)
照「やっぱり、全部私のせいで・・・」
久(とりあえず控え室には戻れそうもないか・・・いや、まこと和に席を外してもらうか。仮眠室は誰が来るか分からないし・・・)
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:34:04.50 ID:5tUPLJ+90
淡「落ち着いた?」
咲「ごめんね、ありがとう」
淡「何があったかは後回し、今は麻雀に集中すること、いい?」
咲「・・・うん、頑張るよ」
淡「よし、行ってらっしゃい」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:35:37.50 ID:5tUPLJ+90
-全国大会 決勝先鋒戦-
実況「団体戦もいよいよ決勝戦を残すのみとなりました。3連覇のかかる西東京代表白糸台高校、先鋒は宮永咲。10年ぶり2度目の出場で悲願の決勝進出、阿知賀女子からは松実玄。南大阪代表は姫松高校、名門の完全復活はなるか、先鋒は上重漫。そして長野代表は初出場の清澄高校、中高2人のチャンピオンは団体戦でも栄光を掴むのか、先鋒は片岡優希。開局です」
-東1局-
-2巡目-
親:片岡優希
ドラ:3ピン
優希 手牌:三三四四五③③③④⑥345(赤) ツモ:五萬(赤)
優希(配牌からドラ暗刻。阿知賀のドラゴンロードはまだ復活してないようだじぇ)
優希「リーチ」
優希 打:6ピン
咲「カン」
優希(まずいじぇ、いきなりリンシャン!?)
咲 手牌:二二二①②678西西 ⑥-⑥⑥⑥ ツモ:西
咲(?? 昨日今日でまたドラが来なくなるものなの?)
咲(しょうがないか、ドラがまた阿知賀に集まるならこのピンズの下は面子にはならない・・・)
咲 打:2ピン
優希「ロンだじぇ、メンタンピンイーペードラ5。ここまで倍満」
咲(ドラ5! たまたま私に来なかっただけ? そんなこと・・・。さっき会ったのは忘れて集中しないと・・・)
優希「裏ドラ五萬で三倍満、36000だじぇ」
咲「はい・・・」
漫(2巡で親の三倍満とか事故もいいとこやわ・・・)
玄(ドラ5・・・。やっぱり私には来ない、か)
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:37:30.25 ID:5tUPLJ+90
-東1局 1本場-
-1巡目-
親:片岡優希
ドラ:東
優希 配牌:九⑦13456789東東東東
優希(ドラのダブ東が槓子、ノリノリだじぇ。混一と一通も見えるじぇ)
優希 打:7ピン
咲(また良さそう、とにかくこの親だけは終わらせないと)
漫(ドラが来ない。阿知賀が復活していないのなら阿知賀にドラが無いのは分からんでもないけど、他の3人に均等にしてくれんと割にあわんで・・・)
玄(また清澄の人が持ってそうだな・・・)
-3巡目-
優希 配牌:123456789東東東東 ツモ:9
優希「カンだじぇ!」
咲(ドラ槓子・・・止められない・・)
優希「リンシャンならず、でもリーチだじぇ」
優希 打:4ピン
漫(さっきから早すぎるっ!)
優希「ツモだじぇ! リーヅモダブ東混一ドラ4。カンドラも裏ドラもなし。三倍満で12100オールだじぇ!」
優希(塞がれていたのが無くなって、体が軽くなったみたいだじぇ)
実況「清澄片岡、またも三倍満炸裂です。これで2位との差が8万点以上、完全に独走状態です」
東 片岡優希 172300
南 宮永咲 51900
西 上重漫 87900
北 松実玄 87900
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:39:56.26 ID:5tUPLJ+90
-東1局 2本場-
-1巡目-
親:片岡優希
ドラ:七萬
優希(配牌にドラがないじぇ・・・。この勢いならまたたくさんあってもおかしくないはずなのに。でもタンピン三色イーペーコーまで行ける2シャンテン、イケイケだじぇ)
咲(集中しなくちゃ・・・全然牌が見えない・・・・)
漫 手牌:二二三七七七④⑤(赤)159西西 ツモ:1 打:9
漫(来た、ドラ4。これ以上清澄に離されたらアカン。ここは清澄がどんなに早くても突っ張るっ)
玄 打:西
漫「ポン!」
漫(自風の西がいきなり鳴けた。イケるで)
-7巡目-
優希「リーチだじぇ」
漫「ポン!」
漫 手牌:七七七④⑤⑤(赤)11 二-二二 西-西西
漫(もうこれで当たっても知らん)
漫 打:4ピン
玄(強い捨て牌、とりあえず合わせ打ち・・・)
優希「っ、やばいじぇ・・」
優希 打:赤5ピン
漫「ロン、トイトイ西ドラ5、倍満です。16600」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:41:35.22 ID:5tUPLJ+90
-姫松 控え室-
洋榎「よっしゃ漫、その調子でどんどん行ったれ」
絹恵「清澄から直撃とれたんが、大きいですね」
恭子(ドラの偏りがなんか変な気が・・・。ここまで阿知賀と白糸台にドラは1つも来てへん。清澄にドラがあれば漫ちゃんにもドラが来ない。逆に今は漫ちゃんにドラが来て、清澄はリーチ後のドラ放銃。ドラが一箇所に集まろうとして、彷徨ってる? んなアホな・・・)
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:43:40.16 ID:5tUPLJ+90
-東2局-
-8巡目-
親:宮永咲
ドラ:4ソウ
玄「リーチ」
玄 捨牌:四六④⑥5南中3
優希(こっちの手牌にドラは無い・・・。ドラローさんがことごとくドラが入るカンチャンを嫌ってるのはどういうことだじぇ? とりあえず現物)
咲(ドラは相変わらず来ないし、まだ追いつけそうにない・・・。いい加減集中しないと)
漫(手牌にドラがないし、清澄がドラを持ってたらもっと勝負に来るはず・・・。ついに阿知賀にドラが来たんか?)
玄「ツモ」
玄 手牌:⑨⑨⑨12233789北北 ツモ:1
玄「リーチ一発ツモチャンタイーペーコー。6000、3000です」
玄(ドラが来なくても、私は待ってる。でもただ待ってるだけじゃダメっ。私に今できることをやりきるんだ)
咲(ドラが来てないっていうのに、どうしてそんなやる気に満ちた目ができるの・・・・)
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:44:38.07 ID:5tUPLJ+90
-阿知賀 控え室-
穏乃「うわー、玄さんのチャンタなんて始めて見たかも・・・」
憧「私も。赤があるとチャンタなんてできないもんね」
灼「加治木さんのアドバイスが上手くはまったね」
宥「ドラが戻ってくる方法は分からないけど、ドラが入らないと分かっているならそのように打ち回せばいい、って言ってたものね」
晴絵「普段の玄なら、四六のカンチャンは赤が入るから捨てない。普通の五萬が来る可能性もあるけど、それよりも柔軟にチャンタを目指した。これであとはドラが戻ってこれば、行けるよ玄」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/01(水) 23:47:01.20 ID:0vOKHrMKo
なんだかんだで咲を応援してるぜ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:47:08.10 ID:5tUPLJ+90
-南3局 1本場-
親:上重漫
ドラ:白
西 片岡優希 136700
北 宮永咲 37900
東 上重漫 131500
南 松実玄 93900
実況「南場に入ってから姫松の上重が怒涛の3回連続和了、その内2回をトップを走る清澄からの直撃でその差を一気に5200点にまで縮めました。白糸台の宮永、ここまで和了無し、苦しい戦いを強いられています。さあ上重、一気に1位浮上なるか」
漫(南場に入ってから清澄の勢いが弱くなったせいか、いい手が続けて入ってきた。今回はドラは無いけど、早くて軽い手。まずは連荘や)
-9巡目-
漫(全然鳴けへんし、手も進まへん・・・。流れって急に来たり来なくなったりで困るわ・・・)
玄「リーチ!」
優希(場に白は出てない・・・さっきは姫松にダマでやられたし、ここは下り)
咲(もう南3か、ここまで何も出来ないのって、家族麻雀を始めた頃くらいかな・・・)
-12巡目-
玄「おかえりなさい、ツモ!」
ツモ:白
優希(ドラっ、ここでドラローさん復活ですかっ)
玄 手牌:三四五(赤)⑤⑤(赤)45(赤)6888白白 ツモ:白
玄「リーヅモ白ドラ6、裏は1つ。8100、4100です」
漫(親っかぶりの上に、もうここからドラが来ぃへんの?)
玄(おかえりなさい、またよろしくね・・・)
西 片岡優希 132600
北 宮永咲 33800
東 上重漫 123400
南 松実玄 110200
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:48:52.43 ID:5tUPLJ+90
-その少し前-
-清澄 控え室-
和「染谷先輩、電話が鳴ってますよ」
まこ「おお、すまんの置きっぱなしじゃった。久からか」
和「宮永先輩が見つかったんでしょうか? もうすぐ優希の試合が始まってしまいますよ」
まこ「もしもし見つかったんか。・・・・ほう、そういうことなら、和にも言っとくけえの」
和「部長は何て言ってました?」
まこ「いや、どうやら照と妹の咲と偶然廊下で会って、照がショックを受け取るみたいじゃけえ、ちょっと控え室で2人きりにさせてほしいそうじゃ」
和「そうですか・・・。ならロビーで待ってますか。あそこならモニターもありますし、会場にも近いですから」
まこ「そうじゃの」
久「照、控え室についたわよ」
照「・・・・ぐすっ」
久「まこと和には、席を外してもらったから」
照「・・・・ぐすっ」
久「だからとりあえず泣くだけ泣いて、それから話をしましょう」
照「ぐすっ、うわあああああああああ」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:50:50.82 ID:5tUPLJ+90
久「落ち着いた?」
照「すまない・・・」
久「それで、どのくらい話ができたの」
照「ほとんどしてない。でも、謝ることはできた・・・聞いてはもらえなかったけれど」
久「そう、なら一歩前進ね」
照「でも、お姉ちゃんなんていないって言ってたし」
久「だって、ばったり出くわしたんでしょ? だったらパニックになってもしかたないわよ。だから、もっと言いたいことをまとめて、お互いに話し合えるような場所を作ってあげるから」
照「久には、世話になってばかりだ・・・。こんなんじゃ、姉として失格だし、お姉ちゃんなんていないなんて言われても仕方ない」
久「うーん、これは受け売りなんだけど」
照「・・?」
久「こうやって私が動くのも、照、あなたの力なのよ」
照「私の力?」
久「たとえばあなたが、「咲ちゃんをいじめるの楽しいです、ハアハア」みたいな人だったら、私は全力で2人が会うのを阻止するけど。でも、あなたは幼い頃とはいえ咲ちゃんを傷つけてしまったことを反省してるし、今も謝ったし、これから仲直りしたいと思っているんでしょ? そのことを私はもちろん、まこや和や優希も知ってる。だからみんな協力してくれる。でもそれは、あなたが努力しているからよ」
照「・・・正直、実感はわかないけれど。でも、ありがとう」
久「まあ、どっちみちその場は明日以降よ。今日はとにかく、全国の決勝の日なんだからね」
照「そうだな・・・。モニター、つけようか」
久「ええ、優希は頑張ってるかしら」
実況「さあ、先鋒戦の前半戦もいよいよオーラス。ここまで高打点の応報が続く中、白糸台の宮永咲だけあがれておりません。果たして反撃の狼煙を上げることはできるのか!」
久「優希がトップ、頑張ってるわね」
照「咲が焼き鳥なんて、家族麻雀をした最初の時だけ・・・」
照(私はそのときから、咲が嫌がることをしてきた・・・)
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:52:39.76 ID:5tUPLJ+90
-南4局-
-8巡目-
親:松実玄
ドラ:五萬
咲 手牌:七七七②②②②⑤西西 8-88 ツモ:8
咲(初めて家族麻雀をしたとき、私は訳も分からずに焼き鳥になった。そしたらお姉ちゃんが「次に焼き鳥になったらバツゲームにしよう」って言い出した。だから私は、次からは最低でも1回は上がるようになった)
咲「カン」 カン:8ソウ リンシャン:七萬
咲(初めのうちはお姉ちゃんには全然勝てなかった。お姉ちゃんと一緒に遊べれば良かったから、バツゲームさえ回避できればよかった。でもそのうちお姉ちゃんが言い出した。「お年玉を賭けようよ」って。賭け始めた頃はどんどん取られちゃったけど、そのうち私も勝てるようになった)
咲「もいっこカン」 カン:七萬 リンシャン:西
咲(私が元を取れるくらいに勝てるようになったとき、お姉ちゃんは怒り出した。怒られるのは嫌だったけど、お年玉を取られるのも嫌だったから、私は±0で打ち回すようになった。負けないように、勝たないように、ただ調整するだけの麻雀なんて、面白くなかった)
咲「もいっこカン」 カン:2ピン リンシャン:西
咲(いつも±0で打つ私に、またお姉ちゃんは怒った。そして「賭けなくてもいいから本気で打ってみて」って言われた。でも、その時の私はもう、±0で打つことが染み付いてしまっていた。ある意味で、本気で打って±0だった。お姉ちゃんは当然納得してくれなかった)
咲 手牌:西西西西⑤ [七七七七][②②②②]8-888
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:55:12.72 ID:5tUPLJ+90
咲(もう麻雀なんて打ちたくなかった・・・。お母さんが仕事の都合で東京に単身赴任が決まった時、私は一緒にいくことにした。これでもう、麻雀なんてしなくていい。それでも、麻雀を楽しくやっている人達が憎くてたまらなかった。私はこんなに苦しんだのに。みんな苦しめばいいんだ)
咲「4つめ、カン」 カン:西
咲(なのに、私は今、全国の決勝なんてところで麻雀してる・・・。お姉ちゃんと楽しく打っていたけど、その楽しみはお姉ちゃんに奪われて。それを取り戻してくれたのは、淡ちゃん。部内でもほとんど負けるなんてことなかったし、私にはみんなを苦しめる力があるなんて、天狗になってた・・・。でも今は、焼き鳥目前・・・)
咲 リンシャン:5ピン
咲(何やってたんだろ・・・。今になって焼き鳥のバツゲームなんて思い出して、お姉ちゃんが見てるところで焼き鳥になんてなれないだなんて思ったりして・・・)
咲「ツモ、四槓子。16000、8000です」
咲(ただ、お姉ちゃんと楽しく打ちたかっただけだったのに・・・)
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/01(水) 23:58:48.70 ID:5tUPLJ+90
実況「珍しい役満が飛び出しました。長い沈黙を破り、宮永咲役満ツモ。これが反撃の狼煙となるのか。インターバルを挟み、後半戦に挑みます」
-先鋒前半戦 終了-
清澄 片岡優希 124600
姫松 上重漫 115400
阿知賀 松実玄 94200
白糸台 宮永咲 65800
-休憩時間-
淡「咲ちゃん、最後の四槓子はかっこよかったよ!」
咲「ありがとう。でもあんなに点数取られちゃったの、ほんと久々だよ」
淡「大丈夫だよ、後半で巻き返せばいいし、誰が大将やってると思ってるの?」
咲「そうだね、淡ちゃんが大将だもん、負けるわけないよね」
淡「よし、じゃあ後半も頑張ってね」
咲「うん、本気出してくるね」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:01:11.67 ID:rIe3ghE40
-先鋒後半戦-
-南4局-
南 片岡優希 102000
西 松実玄 101900
北 宮永咲 92400
東 上重漫 103700
実況「後半戦も高い打点が飛び交う中、怒涛の巻き返しを見せる白糸台の宮永咲。前半東1では10万点以上リードされていたとは思えません」
咲「カン」
咲 手牌:一一一③③③88東東 西-西西西 ツモ:8
咲「ツモ、リンシャントイトイ三暗刻。4000、2000です」
-先鋒戦終了-
白糸台 宮永咲 100400
清澄 片岡優希 100000
阿知賀 松実玄 99900
姫松 上重漫 99700
実況「白糸台、微差ながら逆転。トップに立ちました。全員がほぼ原点に戻り、勝負は次鋒戦に引き継がれます!」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:16:28.23 ID:rIe3ghE40
-休憩時間-
-白糸台 控え室-
淡(うわー、本気出すって、全員±0にすることか・・・。団体戦にオカはないから、ポイント上は全員±0。それでいて最終的にはトップとか、面白すぎるでしょ)
菫「最後にまくったか。まったく、一時はどうなることかと思ったが・・・。行ってくる」
-廊下-
咲「あ、部長。次鋒戦、よろしくお願いします」
菫「・・・なあ、宮永」
咲「はい、なんでしょうか?」
菫「何かあったのか? こう、言い方が悪いが、憑き物が落ちたような感じがするんだが・・・」
咲「憑き物ですか。・・・そうですね、確かに落ちたかもしれません。変なこだわりが無くなったというか、次への目標ができたというか」
菫「そうか・・・。私が見てきた中で、今日の後半戦の打ち筋が、一番良かった。それだけだ」
咲「ありがとうございます」
菫(何があったのかは知らないが・・・麻雀への憎しみが無くなったんだろうな・・・)
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:17:50.38 ID:rIe3ghE40
-次鋒戦終了-
阿知賀 松実宥 112200(+12300)
白糸台 弘世菫 105300(+ 4900)
姫松 真瀬由子 97000(- 2700)
清澄 染谷まこ 85500(-14500)
-阿知賀 控え室-
憧「宥姉やったね、対策バッチリだったじゃん」
宥「でも、ほんとはもうちょっと稼がないといけなかったよね・・」
憧「十分よ、あとは私たちに任せて!」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:18:49.79 ID:rIe3ghE40
-中堅戦終了-
阿知賀 新子憧 110000(- 2200)
姫松 愛宕洋榎 104700(+ 7700)
清澄 竹井久 96900(+11400)
白糸台 渋谷尭深 88400(-16900)
-姫松 控え室-
洋榎「久に負けた上に、ウチとしたことがこの程度しか稼げんとか。ほんま、堪忍な・・・」
絹恵「お姉ちゃんが稼げんかった分は、私が稼いでくるで。それがチームやって、お姉ちゃんゆうてたやん」
洋榎「せやな、絹、頼んだで!」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:19:52.45 ID:rIe3ghE40
-副将戦終了-
阿知賀 鷺森灼 106600(- 3400)
姫松 愛宕絹恵 100100(- 4600)
清澄 原村和 99900(+ 3000)
白糸台 亦野誠子 93400(+ 5000)
-清澄 控え室-
久「正直、もっとすごい大差で大将戦じゃないかと思っていたんだけど、思いの外接戦ね・・・」
照「何点差があろうと、勝って戻ってくる!」
和「私がもう少し稼げれば良かったんですが」
照「離されないだけで十分、あとは任せて」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:21:32.59 ID:rIe3ghE40
-大将戦 開始-
実況「さあ、本大会も残すは大将戦の2半荘のみとなりました。泣いても笑っても、これで勝負が決まります。果たして栄冠を掴むのはどの学校なのか」
-東4局-
-開局6局目-
南 末原恭子 104900
西 高鴨穏乃 107700
北 大星淡 86100
東 宮永照 101300
恭子(ここまでチャンピオンが2回連続で上がり。でも分かっとるんやろうな、チャンピオン。次に上がれば7局目の北家で大星の大七星が発動するんやで・・・仮に張ってても上がり放棄せなかん場面)
照「ツモ、2000オール」
穏乃「えっ」
恭子(マジでか、それとも大七星なんか相手にならんとでも言うんか・・・)
淡(連荘は止められないんでしょう、予定通りね)
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:23:13.87 ID:rIe3ghE40
-東4局 1本場-
-開局7局目-
-1巡目-
ドラ:八萬
恭子 配牌:二四九②②③③34567南
恭子(このカン三萬さえ鳴ければ、喰いタンで7巡以内に上がれるかもしれん。大星が上がるのは7巡目、それまでに上がったる)
照 打:三萬
恭子「チー」 打:南
恭子(なんや、チャンピオンは私に上がらせたいんか? だったら前の局でやったらええのに・・・)
-3巡目-
照 打:3ピン
恭子「ポン」 打:九萬
恭子 手牌:②②34567 三-二四③-③③
恭子(よし、3メンチャンの方を残せたで。あと4巡、頼むでっ)
淡(・・・これが狙いなの? 宮永照)
淡 手牌:八①⑦7東東南南西北白発中 ツモ:西
淡(確かに、大七星が発動しても7巡以内にあがってしまえば関係ない。自分一人では上がれなくても、誰かのアシストに徹すれば上がれる可能性は高まる。そして私は、6巡の間は数牌を切るしかない。ある意味で、喰いタン相手には格好の餌食・・・。おまけに1ピン以外はちょっと切りにくいときた。どうする・・・)
淡 打:1ピン
淡(とりあえず様子を見ましょう・・・)
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:25:49.83 ID:rIe3ghE40
-6巡目-
照 打:五萬
恭子(あかん、テンパイしてから動かん。チャンピオンもここまでアシストするなら差込まできちっとやってや・・・)
穏乃(まずいなぁ、もう時間がない・・・。姫松の人の待ち、この辺かな・・)
穏乃 打:6ソウ
恭子(おしい、その下やっ)
淡 手牌:八東東南南西西北北白白発中 ツモ:発
淡(ドラを残してしまったけど、まあ対面の様子からすると、マンズよりもソウズっぽいし、問題無いでしょ・・。これで決まりね)
淡 打:八萬
照「ロン」
淡「なっ!」
恭子(張っとったんか、アシストしとるようにしか見えんかったで・・・)
照 手牌:三三八④④⑨⑨2288東東
照「チートイドラ2。9600の1本場、9900」
恭子(いや、私に鳴かせた三萬、暗刻から切ったんとちゃうか・・それに、私の当たり牌も抑えとるから、仮に大星がドラを切らなかったとしても差込もできる・・・2段構えってことなんか)
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:27:20.15 ID:rIe3ghE40
-東4局 2本場-
-9巡目-
淡(私が4万点も離されるなんて・・・ふざけんなっ。でも今回はみんな手が遅そう、ここで止める)
穏乃「カン」
穏乃「よし、ツモ。リンシャンツモタンヤオ。2800、1500」
淡(へー。チャンピオンの連荘中に普通に上がってくるなんて、やるじゃん。ありがとう・・・)
照(・・・高鴨穏乃か。まっすぐな、いい目だ)
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:28:32.08 ID:rIe3ghE40
-南1局-
-7巡目-
恭子(親番やけど、手が進まへんな・・・。それにしても大星の捨て牌)
淡 捨牌:四七⑤②34
恭子(チャンタ系なんか・・・・。嫌な予感がする)
淡「ツモ」
淡 手牌:東東南南西西北北白白発発中 ツモ:中
淡「字一色です。16000、8000」
恭子(やっぱり発動しとったか・・・。この親っかぶりは痛い)
照(・・・これが隠された条件。流石に発動のタイミングが分からないと対処がしにくい。東1でも見抜ききれなかったしな・・・)
東 末原恭子 85400
南 高鴨穏乃 103500
西 大星淡 104700
北 宮永照 106400
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:30:04.02 ID:rIe3ghE40
-観戦室-
実況「今度の字一色は上がりきった白糸台の大星。一気に2位に浮上です。一位清澄との差もわずかに1700点。親っかぶりとなってしまった姫松、苦しい展開です」
泉「ここで隠された条件が発動ですか・・・」
セーラ「どうや、なんか分かりそうか・・」
船久保「ちょっと過去の牌譜と比べてみんとわかりませんが、なんとかやってみましょう」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:31:31.88 ID:rIe3ghE40
-南4局 4本場-
穏乃(チャンピオンがラス親になってから4連荘、やっぱり強い・・・)
恭子(準決勝の時はなんとか2着抜けできたけど、1位にならんといかんときにこの連荘はしんどいなぁ。次は満貫か・・)
淡(もう止める、止めてやる・・・。私は勝たなきゃ、ここにいる意味がない)
淡「ツモ。タンヤオツモドラ1、1000、2000の4本場」
照(流石に決勝、連荘が続きにくいな。彼女の点数は削っておきたいんだが・・・)
淡(不格好でも、私は勝つ・・・)
-大将戦 前半終了-
南 末原恭子 80500
西 高鴨穏乃 98100
北 大星淡 98700
東 宮永照 122700
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:33:05.01 ID:rIe3ghE40
-4月 白糸台-
淡「私さ、帰国子女でこっちに友達いないんだ。席が隣になったのも何かの縁だし、友達になって」
咲「そうなんだ、よろしくね」
何の変哲もない、これが私と咲ちゃんの出会い—
淡「そういえば咲ちゃんは何部に入るの」
咲「え、私は特に入ろうとは思ってないなぁ」
淡「えー、そうなのー。私麻雀部に入ろうと思ってるんだけど、一緒に入らない?」
咲「・・・ごめん、私麻雀はやらないから」
淡「じゃあさ、見学に付いてきてよ。一人で行くの恥ずかしいし・・・」
咲「うん、それくらいだったら・・・」
菫「ようこそ麻雀部へ。といってもただ見ているだけでもつまらないだろうし、ルールが分かるなら空いている卓に入って、実際に打ってみるといい」
淡「私打ちたいでーす」
菫「そうか。君は打たないのか?」
咲「私は淡ちゃんの付き添いで・・・」
菫「吉田、北川、ちょっと見学者の相手になってやってくれ。・・・あとは、手が空いている者がいないな。三麻になってしまうな」
淡「咲ちゃん、数合わせでいいから打とうよ。全然分からないわけじゃないんでしょ?」
咲「ま、まあ。多少は分かるけど・・・」
淡「じゃあ決まり。咲ちゃん入れて4人でお願いします」
菫「分かった」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:34:54.25 ID:rIe3ghE40
菫「終わったか? どうだった?」
吉田「部長・・・。自分もう自信失くしたっす・・・」
北川「大星さんが2連続トップ。宮永さんは2連続±0。私たち2人で仲良く3着4着です・・・」
菫(最後のあがりが、七対子字一色か・・・。この子は、去年の長野の天江のような魔物なのかもしれんな)
菫「大星さん、君は中学の時でも大会では活躍していたのか?」
淡「いえ、帰国子女で、向こうでも特に大会とかには出てませんでした」
菫「そうか。それで宮永さんは、入部希望ではないのだよな・・」
咲「ええ、今日は淡ちゃんの付き添いで」
菫「うちの二人があっさりへこまされる中、2回とも±0というのは評価できる。もう少し打ち筋を見てみたいんだが」
咲「え、でも・・・」
菫「なに、別に入部しろと言っているわけではないし、うちの学校では2週間の仮入部期間がある」
淡「咲ちゃんそこまで考えてないと思うので、そのへんはまた明日にでも」
菫「そうだな。では、また明日」
淡「咲ちゃん、麻雀うまいじゃん。どうしてやらないの?」
咲「え、別にうまくなんかないよ・・・たまたま」
淡「えー、だってあの部長さんだって咲ちゃんのこと気にしてたよー」
咲「この時期はみんな部員がほしいからそう言っただけだよ・・」
淡「そうなの。私は咲ちゃんと打ってて楽しかったけどなー」
咲「・・・私と打って、楽しい?」
淡「そうだよ、楽しかったよ?」
咲「そんなこと言われたの、初めて・・・ぐすっ」
淡「え、え、私なんか変なこと言った?」
咲「ごめんね。麻雀なんてくだらないって、ずっと思ってたから・・・」
淡「そうなんだ・・・。なんだか、わけあり?」
そして、宮永照が姉だと聞かされた。ひどい仕打ちを受けたことも—
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:36:47.92 ID:rIe3ghE40
淡「何それ、一方的すぎる」
咲「うん、だからお母さんがこっちに単身赴任することになって、ついてきたの」
淡「分かった、私がチャンピオンをコテンパンにのしてやるわ。っていうか咲ちゃんも麻雀でチャンピオンをコテンパンにするべきよ!」
咲「え、でもお姉ちゃんすごく強いし・・・」
淡「そんなただ年上だからって妹をいじめるような奴はお姉ちゃんじゃない! それに±0にし続けるほうがよっぽど難しいし、普通に咲ちゃんが勝ちに行けば絶対勝てるって」
今思えば、このときもうちょっと言葉を選んだらよかったと思う。冷静じゃ、なかった—
淡「それにうちの学校、麻雀強いから宮永照と戦う機会は絶対ある。全国の舞台で、チャンピオンに復讐してやろうよ。なんで咲ちゃんが麻雀やめなきゃいけないの。麻雀やめなきゃいけないの、むしろあっちでしょ!」
咲「復讐・・・」
ただ咲ちゃんと麻雀部に入りたかったっていう、私のエゴ。そのための動機付けなんて、そのときは何でもよかった—
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:40:13.54 ID:rIe3ghE40
-大将戦 後半戦-
-東2局 1本場-
-開局4局目-
北 高鴨穏乃 103100
東 末原恭子 85700
南 大星淡 91500
西 宮永照 119700
-8巡目-
ドラ:9ピン
穏乃 手牌:①②③④⑤⑤⑤(赤)⑦⑦⑦⑦西西 ツモ:④
穏乃(よし、染まった。西も4ピンもまだ場に出てない。勝負!)
穏乃「カン」 カン:7ピン
カンドラ:1ピン リンシャン:1ピン
穏乃(1ピンも切れてない。なら待ち変更)
穏乃「リーチ」
穏乃 打:4ピン
-観戦室-
船久保「阿知賀の高鴨さん・・・それあがったらあきませんっ」
セーラ「なんや、条件分かったんか?」
船久保「条件の分からんかった地区大会、準決勝オーラス、そしてこの決勝の3回のデータの共通点は、前の局に7ピンを全部抱えて誰がかあがっとるってことですわ」
泉「じゃあこの手、阿知賀があがったら・・・」
船久保「次局、親にして大星の大七星が発動するはずや」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:42:22.59 ID:rIe3ghE40
-12巡目-
穏乃「ツモ、リーヅモ混一三暗刻ドラ3。裏はなし、倍満です」
淡(結構高かったけど、次で発動するから問題ないわね)
-東3局-
-開局5局目-
-7巡目-
淡「ツモ、字一色。16000オールです」
恭子(このタイミングでまた発動・・・。やばい、詰んだんちゃうか。次の6局目、大星以外の誰かが上がれば大星の親が流れて7局目の北家、また発動・・・。かといって誰も最後まで上がらなければ、大星はノーテン宣言すれば親が流れる。どうあがいても、次の発動は免れんやん・・・)
西 高鴨穏乃 103100
北 末原恭子 61700
東 大星淡 135500
南 宮永照 99700
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:44:09.49 ID:rIe3ghE40
-東3局 1本場-
-開局6局目-
照「ロン、南のみ、1300」
淡「どうぞ」
恭子(まあ、チャンピオンは連荘にギア入れるしかないか・・・次のチャンピオンの手は親の2飜で2900程度。この点差やけど、大星にあがられるよりはまだチャンピオン支援した方がましか・・・自分で上がれればそれにこしたことはないんやけど)
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:50:09.83 ID:rIe3ghE40
-東4局-
-開局7局目-
ドラ:七萬
照 手牌:二二二四五六②③④⑤234
照(間に合わない・・・。テンパイはしたが、1巡遅い・・・)
穏乃 手牌:三三四四五五6788 ⑦-⑤⑥
穏乃(テンパイしてるけど、出ないか・・・)
恭子 手牌:二三八九②④⑧⑨3467中
恭子(もう、凡人にバトン渡さんといて・・・。誰かに鳴かせるか差込みせんと、大星があがってまう。もう、目つぶって切ったろか・・・)
恭子 打:二萬
照「カン」
恭子(リンシャンであがるんか?)
照 リンシャン:8ソウ
照(リンシャンならず。・・・・これはまず阿知賀の当たり牌、こうなるのか)
照 打:8ソウ
穏乃「ロンです、タンヤオのみ。1000点」
照(ふう、ギリギリ。さっきよりも厳しかった・・・)
淡(ち、流されたか・・・。でも点差は十分、このまま勝つ)
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:51:53.02 ID:rIe3ghE40
-南4局 3本場-
ドラ:三萬
照「ツモ」
照 手牌:一二三⑦⑦⑦⑦⑧⑧⑨⑨23 ツモ:4
照「ピンヅモイーペーコードラ1、2900オール」
穏乃(オーラスで連荘が止まらない・・・)
恭子(みんなごめんな、もう逆転の道筋がみえん・・・)
淡(・・・最後の最後で発動条件を満たすなんて。これでこの勝負もらったわ)
照(これで、次に満貫あがれば大星をまくれる。だが、そのために越えなければならない難所は、ずいぶん険しそうだな・・・)
穏乃(ツモり四暗刻テンパイだったけど、ダメだったか・・・。でもあきらめないっ)
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:53:07.01 ID:rIe3ghE40
-南4局 4本場-
南 高鴨穏乃 100300
西 末原恭子 52400
北 大星淡 128900
東 宮永照 118400
-6巡目-
ドラ:2ソウ
淡 手牌:東東南南西西北北白白発中9 ツモ:発
淡(この9ソウさえ通れば・・・)
照 手牌:七八⑧⑧123456789
淡 打:9ソウ
淡(通った、これで私の勝ち)
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:54:08.29 ID:rIe3ghE40
-7巡目-
「ツモ!」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:55:01.84 ID:rIe3ghE40
-地区予選開始前 白糸台-
淡(咲ちゃんが一緒に麻雀部に入ってくれた。そのときはそれだけで嬉しかった。でも、時々見せる瞳の奥の闇に、私はひどく後悔するときがある。私はとんでもない魔物を起こしてしまったんじゃないかって)
咲「どうしたの、淡ちゃん?」
淡「え、その、ちょっとぼーっとしてただけ。今日はレギュラーの発表があるんだよね」
咲「そうだね。もう、いい子ぶって麻雀打つのも疲れたよ。早く、もっと自由に打ちたいな」
淡「咲ちゃんったら、慌てたらダメだよ。今日はあくまでレギュラーを部内で発表するだけ。大会当日になるまではオーダー変更はできるんだから」
淡(そんな暗い笑顔が、私をも暗くさせる。でも、きっかけを作ったのは私。いまさら引きかえすなんて、できない・・・)
咲「早く大会にならないかなー」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:56:33.31 ID:rIe3ghE40
-白糸台 部室-
菫「では今大会のオーダーを発表する。先鋒、宮永咲」
咲「はい!」
淡(咲ちゃん先鋒か。どちらかというと、点数調整が必要な中盤のどこかかと思ったけど)
菫「先鋒は他校のエースが出てくることが多い。だが宮永、君なら大崩れすることはない。3着にもまずならない安定した打ち筋を評価した」
咲「ありがとうございます」
菫「次鋒は私が務める」
淡(ふーん、部長は大将じゃないんだ。亦野先輩あたりにするのかな?)
菫「中堅、渋谷」
尭深「・・・はい」
菫「去年に引き続き、中堅を頼む」
尭深「・・・がんばります」
菫「副将、亦野」
誠子「はいっ」
淡(あれー、じゃあ大将誰なの?)
菫「昨年は先鋒だったが、状況に合わせて柔剛を使い分けられる打ち筋は、中終盤の方が向いていると判断した」
誠子「期待に応えられるよう、頑張ります」
菫「そして大将、大星淡」
淡(あれ、なんか聞き覚えのある名前だな?)
菫「大星、聞こていたのか?」
淡「・・・・え、大将、私ですかっ?」
菫「なんだ、不服か?」
淡「いえいえいえいえ、やりますやります、やらせてくださいっ」
菫「まったく・・・。お前の火力はずば抜けて高い。負けている時には逆転を狙える、勝っている時にはダメ押しができる。最善の布陣を敷いたつもりだ」
淡(1年に大将任せるなんて思ってなかったんだもん・・・。でも、やる気出てきた)
淡「はい、絶対勝ちます」
菫「よし、その意気だ。以上のオーダーで、白糸台3連覇を勝ち取る」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/02(木) 00:57:03.84 ID:fPHPRX1lo
なんだ淡ちゃんいい子だったのか
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 00:58:21.23 ID:rIe3ghE40
咲「淡ちゃんの慌てっぷり、面白かったよ」
淡「うー、だって1年に大将任せるとは思ってなかったんだもん」
咲「そう? 私は淡ちゃんが大将なら安心だよ」
淡「そうかなぁ。私は咲ちゃん大将の方が安心だけどなー」
咲「勝とうね。お姉ちゃんを、倒す」
淡(もし、もしも宮永照と会って仲直りとかしちゃったら、咲ちゃん長野に帰っちゃうのかな・・・)
淡「そうだね、先鋒で出てきたらいいね」
淡(そんなのダメっ・・・。宮永照をもっと憎ませなくちゃ・・・)
あれ、どうして今、こんなことを思い出すの—
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 01:00:44.66 ID:rIe3ghE40
-大将戦-
-南4局 4本場-
-7巡目-
穏乃「ツモ。国士無双!」
恭子(な、役満・・・。つうことはっ)
阿知賀 高鴨穏乃 133500
姫松 末原恭子 44000
白糸台 大星淡 120500
清澄 宮永照 102000
実況「奈良県代表、阿知賀女子学院逆転優勝ですっ!」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 01:01:51.69 ID:rIe3ghE40
淡「・・・え、終わり?」
照「いい戦いだった。おめでとう」
恭子「お疲れさまでした・・・ここまで力の差見せられると逆にすっきりやわ」
淡「ぐす・・・ぐすん・・・」
穏乃「大星さん?」
淡「ううっ、うう、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん。負けちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。ごめんなさいーーー」
照「大星さん、泣かないで・・・・。ほら、泣くと、私まで泣きたく、なって、ぐす、くるから、ぐす」
穏乃「えとえと、二人とも落ち着いて」
恭子「ああもう、あんたがゆうても逆効果や。あんたはとっとと優勝インタビューでも受けてき。ここは私が引き受けたる。泣きたいのはこっちやっていうのに、今更泣かれへんやん」
穏乃「ええ、お願いします」
淡「ごめんなさいぃ。お姉ちゃんを嫌うように仕向けたの私なんですぅぅぅ。仲直りしちゃったら長野に帰っちゃうと思ったんですぅ」
恭子(うわあ、なんやよく分からんけど、すごい爆弾落としたんとちゃうか? 引き受けんかったら良かった・・・)
照「ぐす、そんなことないっ。ぐす、大星さんが、ぐすっ、咲にまた麻雀を、ぐす、させてくれた・・・」
淡「咲ちゃんと麻雀部に入りたかっただけなんですぅぅぅ。そんなの私のわがままなだけなんですうぅぅ」
照「咲を傷つけたのは、ぐすぐすっ、私なの・・・。私が悪い・・・ぐす」
恭子(なんも悪うない私を誰か助けて!)
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 01:03:08.62 ID:rIe3ghE40
-白糸台 控え室-
咲 ボーゼン
菫(・・・・ふむ、これはなんと声をかければいいのやら)
尭深(気まずい・・)
誠子(こういう空気は、性に合わない)
誠子「宮永!」
咲「え、はいっ」
誠子「早く淡を迎えに行け!」
咲「は、はいっ」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 01:04:34.99 ID:rIe3ghE40
-対局室-
照「私の方がぁ、ぐす、咲にひどいことして、ううぅ」
淡「そんなことありませんんん、私のほうがひどいことしましたぁぁぁぁぁ」
咲「淡ちゃん、お姉ちゃん!」
照&淡「っ!!」サッ
恭子「ちょ、なんで二人とも私の後ろに隠れんねん。無駄なことせんと、ちゃんと咲ちゃんと話すんやで」
咲「えと、なんかすみません・・・」
恭子「まったくや、あと頼んだで」
咲「淡ちゃん、お姉ちゃん。とりあえず、この部屋は出よう? その、さっきからずっと、モニターされてて・・・」
照&淡「・・・あ」カアア
恭子「まったく・・・。清澄の部長、ようやくおでましか?」
久「とりあえず、うちの控え室に来なさい。空けてあげるから」
恭子「・・・わざと遅く来たんとちゃうか?」
久「そんなことはないわよ。正直、呆気にとられてて」
恭子「わからんでもない。じゃあほんまにあと頼んだで」
久「ええ、ありがとう」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 01:06:26.31 ID:rIe3ghE40
-清澄 控え室-
照「久はいてほしい・・・」
久「照が良くても、他の二人はどうなの?」
淡「・・・中立な人がいてくれた方が、いいです」
咲「私からも、お願いします」
久「いいわよ。じゃあ照から、ちゃんと言いたいこと言いなさい」
照「私から?」
久「あなた一番年上でしょうに」
照「うん・・・。じゃあ、咲」
咲「はい」
照「幼かったとはいえ、私は咲にひどいことをして、本当にごめんなさい」
咲「・・・もういいよ、お姉ちゃん」
照「お姉ちゃんって、呼んでくれるの?」
咲「さっきの会場でも呼んだんだけどな」
照「ぐす、ぐすっ。ありがとう・・・ごめんね・・・ぐす」
久「じゃあ、次。大星さん」
淡「咲ちゃん、私は咲ちゃんの気持ちも考えないで、咲ちゃんの気持ちを踏みにじって・・・。やりたくもない麻雀させたり、心無い麻雀させたり。本当に、ごめんなさいっ」
咲「淡ちゃんは、何も悪くないよ。私が弱かったから、あんな八つ当たりみたいなことしかできなかったの」
淡「そんなことないよぉ。私が仕向けたの。お姉ちゃんと仲直りしたら長野に帰っちゃうんじゃないかと思ったの・・・・。私が、悪いの・・」
咲「そんなことない。淡ちゃんが誘ってくれなかったら麻雀は今もやってないし、そしたらお姉ちゃんのことも嫌いなままだったし」
淡「でもぉ・・・」
久「はいはい、そんなんじゃエンドレスよ。というわけで全部照のせいにしておきなさい」
照「・・・私?」
久「発端でしょう。で、照は十分反省した。はい、この件終了、一件落着!」
照「強引・・・」
久「あら、私は強引なのよ」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/02(木) 01:07:26.84 ID:0ipLlYfSo
SSだからいいけど本編で阿智賀勝ったら暴動だろーな
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 01:08:36.90 ID:rIe3ghE40
-長野新幹線 車内-
久「改めて、個人3連覇おめでとう」
照「・・・・記録上はな。でも、心残りがある」
久「阿知賀の子?」
照「高鴨穏乃・・・。彼女はオーラスで負けているとき、必ず逆転手を張る。あの決勝の東1で、そんな景色が見えた」
久「確かに、国士無双の前の局も、彼女はツモり四暗刻をテンパイしていたし、その前の局は緑一色の1シャンテンまで行っていたわね」
照「逆に勝っている時には振り込んだりする。高鴨さんに勝つためには、彼女を1位にしてオーラスを迎えないといけなかった・・・。でもそういうのは咲の得意分野で、私はちょっとずつ上がることしかできない。私が打点を上げる度に彼女の打点や勢いはそれ以上に上がっていく」
久「阿知賀はみんな個人戦にはエントリーしてなかったみたいだからね。もうインターハイで彼女たちと戦うことも無いわね」
照「今年が一番充実していた。1年のときから団体戦、やりたかった」
久「逆に今年1年だけだから、密度の濃い大会になったのかもしれないわよ」
照「そうだな・・・来年の清澄は、部員が集まるといいけど」
久「そうね。和は、家族の仕事の都合で来年はまた奈良に戻ることになったみだいだし、まこと優希が心配ね・・・」
照「和が阿知賀に入れば、また全国に出られるだろうね。彼女たちの中で3年なのは、松実宥さんだけらしいから」
久「そう・・・」
照「久・・・」
久「なに、照?」
照「今まで進路の話とかしてこなかったけど、久はこの先、どうするつもり?」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/02(木) 01:10:45.28 ID:rIe3ghE40
久「・・・・専門学校か就職か、どっちみち大学へは行けないわ。奨学金って手もあるけど、家のことも考えるとね・・・」
照「私は、東京の大学に行こうと思ってる」
久「それがいいわよ。プロを目指すなら、その方がいい」
照「みんなこうして集まって全国まで行ったのに、またバラバラになるんだな・・・」
久「しょうがない、なんて言葉では片付けたくないけどね。動かない水は腐る、それと同じ。環境が変化することは、悪いことばかりじゃないわよ」
照「でも、さみしい・・・」
久「もう、そんな暗い顔しないの。残された時間がわずかだと分かる、その幸福を噛み締めなさい。突然別れを突きつけられることもある、あなたも私も、それはわかってるはずじゃない」
照「久は、強いね・・・」
久「何度も言ってるでしょ。強引なだけよ。それに、東京に行って咲ちゃんと一緒に暮らすんでしょ。お釣りが来るくらい幸せなことじゃない」
照「そうだね。それは、幸せなこと」
久「だから・・・・私なんかに・・・・・邪魔できるわけないじゃない・・・・・・ぐすっ」
照「・・久?」
久「やだ・・泣くつもりなんて、なかったのに・・・・」
照「久、泣いたっていいよ」
久「泣いてないってば・・・ぐす・・・」
照「長野を拠点にするプロだっている。でも今は、東京に出て、もっといろんな人と戦いたい・・・・」
久「うん、分かるよ・・・・」
照「それに母さんはあくまで単身赴任。父さんをいつまでも実家なのに一人にさせるわけにもいかない。だから私は、戻ってくる」
久「・・・うん」
照「残された時間がわずかだと分かることが幸せなら、離れている時間が分かることも、幸せのうちに入るんじゃないかな?」
久「・・・4年で戻ってきなさいよ」
照「うん、約束」
久「約束よ」
カン!