1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:19:43.45 ID:z4ogS7bf0
菫(松実宥……手強い相手だった。決勝までに何か対処法を考えておかなければな)スタスタ
宥(白糸台の弘世さん……次は対策も通じないだろうし、どうしよう)テクテク
菫「うわっ」
宥「きゃっ!」
ゴツン!
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:20:15.08 ID:z4ogS7bf0
宥「すまない、考え事をしていて……不注意だった」
菫「いえ、私もよそ見していたので……」
宥「……あれ?」
菫「……え?」
菫宥「「なんで私がここに!?」」
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:21:15.63 ID:z4ogS7bf0
宥「……確認するぞ。私は弘世菫」
菫「私は松実宥です」
宥「つまり、私たちは互いの体が入れ替わっている、ということでいいのか?」
菫「はい、そうだと思います……」
宥「そうか……ふむ」
菫(さすが白糸台の部長さん、冷静だなあ)
宥「一体なにがどうしてこうなったんだ……」ウロウロ
菫「あ、足元気をつけてください。私の靴、今ちょっとすり減ってるから」
宥「えっ? うわ!」スッテーン
菫(意外にあわてんぼさんなのかな?)
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:22:44.71 ID:z4ogS7bf0
宥「いたた……すまない、君の体なのに」
菫「いえ、気にしないでください」
菫(私の体、か……そういえば私、今は弘世さんの服を着てるんだよね……)
宥「どうかしたのか?」
菫(……寒い!)ブルブル
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:24:13.17 ID:z4ogS7bf0
菫「あのう、マフラー貸してもらえませんか?」
宥「あ。ああ、すまない。気がつかなかった」バサッ
菫「すみません、私、寒がりで……」
宥「知ってる。マフラーだけで大丈夫か?」
菫「はい……」カタカタ
宥「……ふるえてるじゃないか。ほら」バサッ
菫「あ、私のカーディガン……」
宥「今の私は逆に暑すぎるくらいだから、これでちょうどいいんだよ」
菫「……ありがとうございます」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:26:55.37 ID:z4ogS7bf0
淡「菫せんぱ~い?テルーが遅いから心配してたよーって、うわっ!」
宥「げっ」
菫「あっ」
淡「菫先輩が阿知賀の人の衣服を剥ぎとって着てるっ!?」
宥「いや、その」
淡「大丈夫、阿知賀の人? 何があったの?」
宥「ああ、うん。これはな、試合後のユニフォーム交換、みたいな」
淡「変に気を使わなくていいんだよ! 菫先輩に何か乱暴されなかった?」
宥「おい」(低音)
淡「えっ?」
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:28:33.23 ID:z4ogS7bf0
菫「えっと、大星淡、ちゃん?」
淡「へっ?」
宥「淡、でいい」(小声)
菫「そう。淡、ちゃん。私、ちょっと風邪を引いちゃったみたいで、休憩所で休んでたの」
菫「そこにひr、松実さんが来て、寒気がするって言ったら上着を貸してくれてたんだよ」
淡「そっかー。だからいつもよりちょっとよわよわしい感じがするんだね」
宥(うまく言いくるめたな)
淡「決勝も近いんだし、ホテルに帰ったらちゃんと休まなきゃだめですよ?」
菫「うん、ありがとう」にっこり
淡「ふぇっ!?」///
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:30:41.96 ID:z4ogS7bf0
菫「もうちょっとここで休ませてもらってから行くから」にこにこ
宥(うわあ、私の顔、あんな笑顔ができるんだな)
淡「わわわかりました! おおおおおお大事にっ!じゃね!」ダダダッ
宥(淡のあんな反応も珍しいな。今度私もやってみよう)
菫「……なにか驚かせちゃったのかな?」
宥「ああ、驚いたと思う。すごく」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:34:13.00 ID:z4ogS7bf0
菫「一応ごまかせたみたいだけど……これからどうしよう」
宥「……とりあえず、阿知賀の控室に行かないか?」
菫「えっ?」
宥「この件、私たちだけで解決するには荷が重い。誰か信頼できる人に相談した方がいいだろう」
宥「白糸台でもいいんだが、うちは人が多すぎるからな。知られる相手はなるべく少ない方がいいからな」
菫「……わかりました」
菫(そうは言っても、控室で話すなら白糸台も変わらないんじゃ)
菫(……私のこと、気遣ってくれてるのかな?)
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:35:25.79 ID:CjQ0Dxo30
こういう時こそ永水の出番なのでは?
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:38:02.04 ID:z4ogS7bf0
阿知賀部屋
憧「宥姉と弘世菫が入れ替わったぁ?」
菫「うん……」
穏乃「宥さん、じゃなくて弘世さん? は寒くないんですか?」
宥「ああ、この体が問題、と言うわけではないらしいな」
灼「首元見せてる宥さんって初めて見たかも」
憧「あんたたち順応早いわね……玄はあんなに驚いてるのに」
玄「お、お姉ちゃん……?」ヨロヨロ
菫「玄ちゃん、本当なの。信じてくれる?」
玄「お姉ちゃん……」モミモミ
宥「おい」ゴスッ
玄「あう」
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:39:37.82 ID:z4ogS7bf0
憧「宥姉が玄にあんな厳しいツッコミ入れるなんて……もしかしてマジ?」
晴絵「ニワカには信じがたい話だけど……。玄、何か宥でなきゃ知らないことを聞いてみてくれ」
玄「えっと……お姉ちゃんの使ってる湯たんぽの種類は?」
菫「fashyのファニーモンスター」即答
玄「本当みたいです」
全員「おお……」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:42:02.47 ID:z4ogS7bf0
菫「それで、どうすれば元に戻ると思う?」
憧「やっぱり、入れ替わった時と同じことをすればいいんじゃない?」
灼「宥さんと弘世さんは、曲がり角で頭をぶつけたんだっけ」
穏乃「じゃあ、もう一回頭をぶつければいいってことだね!」
晴絵「まあ、常套手段だね。ちょっとやってみたら?」
菫「はい。……えい」ポコン
宥「……もうちょっと強く頼む」
菫「……えい!」コツン
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:43:49.00 ID:z4ogS7bf0
灼「これは、宥さんには荷がおも……」
憧「優しいからねー。人を本気で殴るなんて無理かも。頭突きだけど」
菫「弘世さん、お願いできますか?」
宥「わかった。いくぞ」
菫「……っ!」ギュッ
宥「う、くっ!」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:47:04.05 ID:z4ogS7bf0
宥(私の体なのに、なんでこんなに罪悪感があるんだ……)
菫「じ、焦らさないで、早くお願いします……」ウルウル
宥「わ、わかった」
灼「なんか、えろ……」
玄「?」
菫「……っ!」ギュッ
宥「……えい!」コツン
憧「ダメじゃん」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:49:51.43 ID:z4ogS7bf0
穏乃「私にやらせてください!さあさあ、二人ともここにアタマ出して」
菫「え、ええ?」
宥「これでいいのか?」
穏乃「はい。それじゃ」ムンズ
灼「そんな、シンバル叩くサルみたいな……」
穏乃「行きますよー……、そいやっ!」ガツン!
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:52:39.46 ID:z4ogS7bf0
灼「すごい音したけど、大丈夫?」
菫「痛い……」ジンジン
宥「ふおぉ……」ジンジン
晴絵「ダメかー」
憧「シズ、アンタもアンタで容赦ないわね……」
穏乃「だ、だって本気でやれって言ったじゃんか!」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:56:37.16 ID:z4ogS7bf0
晴絵「しかし、これでだめならちょっと打つ手が見つからないな」
玄「ずっとこのまま、なんてことはないよね?」
憧「うーん、どうだろ。小説とかだとそういう話もないではないわよね」
菫「そんな……」
灼「ちょっと、憧」
憧「あ、ごめん……」
菫(もし、戻れなかったら……)
宥「……大丈夫だ」ギュッ
菫「あっ」
宥「たとえどれだけ時間がかかっても、元に戻る手段は必ず見つけてみせるさ」
菫「……うん」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/02(水) 23:59:29.40 ID:m4T+mlE40
男前の宥
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:00:11.78 ID:dBk2ZDAC0
コンコン
照「すみません、菫がここにいると聞いたのですが」
宥「げっ、照!?」
照「?」
菫「て、照! なんでここがわかったの?」
照「淡から、阿知賀の人と一緒にいたって聞いた。具合悪いんでしょ? 早く帰って休まないと」
菫「あのね、私はちょっと用事があるから」
照「菫の体の方が大事。阿知賀の人達も、すみませんが用事は後にしてもらえませんか?」
憧「ちょっと、どうするのよ?」小声
晴絵「向こうの方が正論だし、これは断れないよ」小声
菫「えっと……」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:02:53.59 ID:dBk2ZDAC0
照「ほら、行くよ菫」グイッ
菫「え、ちょっと、待っ」
宥「おい照、待てって!」グイッ
照「さっきからなんなんですか? 菫は疲れてるんです」グイグイ
宥「だからって話も聞かずにつれて行くのはよくない! まずは落ちついて」グイグイ
菫「ふ、二人とも手を離して……!」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:06:44.26 ID:Rb1wgW5j0
こんがらがるな
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:06:51.68 ID:dBk2ZDAC0
照「あっ」スポッ
玄「照さんの手がすっぽ抜けた!」
穏乃「勢い余った弘世さん(体は宥さん)が宥さん(体は弘世さん)の手を引っ張ったままバランスを崩した!」
灼「そのままもつれあって倒れこむ……!」
憧「なによその息のあった実況」
宥「うわっ」
菫「きゃっ!」
ゴチン!
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:08:17.90 ID:dBk2ZDAC0
菫「いたた……くそっ、照のやつめ」
宥「うう……」
菫「……え?」
宥「あれ?」
菫宥「「元に戻ってる!」」
照「?」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:09:13.67 ID:l2+vLEWt0
今度は三人で入れ替わると思ったのに
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:09:40.40 ID:dBk2ZDAC0
カクカクシカジカ
照「そういうことはちゃんと説明してくれないと……」
宥「ごめんなさい……」
菫「こんなこと言っても信じないだろう、お前」
照「菫の言うことなら信じるってば」ムスー
菫「阿知賀のみなさんも、ご迷惑をおかけしました」
晴絵「いやいや、ウチらは大したこと出来なかったから」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:14:03.13 ID:dBk2ZDAC0
菫「……じゃあ、松実さん」
宥「……名前でいいですよ」
菫「え?」
宥「あの、名字の方だと玄ちゃんと被っちゃうから」
菫「それもそうだな。じゃあ宥さん、また」
宥「はい。また決勝で」
菫「今度は負けないからな」
宥「ふふっ。私も頑張るね」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:15:08.24 ID:dBk2ZDAC0
憧「……なんか、いい雰囲気?」
玄「? なんのこと?」
灼「玄はまだ知らなくていいこと」
照「……菫、早く行こう」グイグイ
菫「わかったわかった。じゃあ、お世話になりました」
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:17:22.31 ID:x5+5U01Si
クロチャー……
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:17:48.49 ID:dBk2ZDAC0
夜
玄「あれ、お姉ちゃん、マフラーは?」
宥「今はそんなに寒くないからいいかなって思って」
灼「宥さんが」
憧「寒くない?」
穏乃「珍しいですねー」
宥「うん。自分でも不思議なんだけどね」
宥「弘世さんのことを考えてるとね、いつもよりあったかくなれるんだ♪」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:19:31.98 ID:dBk2ZDAC0
照「ただいま」
尭深「あ、先輩方。おかえりなさい」
亦野「みんな心配してましたよ?」
菫「すまない、迷惑をかけたな」
淡「……菫先輩、まだ風邪治ってないの?」
菫「いや、もう完治したはずだが……どこかおかしいか?」
淡「なんかいつもより柔らかい感じがする」
菫「そうか?」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:22:53.37 ID:dBk2ZDAC0
照「菫の病気は根が深いから、完全に治療するのは難しいよ」
菫「は?何を言ってるんだお前は」
亦野「そんな大事なら、病院行かなくていいんですか?」
照「いいの。菫のこれは恋煩いだもん」
菫「なっ!?」
淡「えっ、ウソ!ホント!?」
菫「違うったら!」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/03(木) 00:24:38.02 ID:dBk2ZDAC0
菫「まあ、でも、とにかく」
宥「えへへ……頑張ろうっと」
菫宥「「楽しみだな、決勝戦」」
カン!