【園城寺怜SS】怜「あ、あれ…うちの上履き…どこに…」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 01:20:18.16 ID:9T58xmHdO

怜「誰か間違うたんかな…」

怜「どっか落ちてるとか…んー…」キョロキョロ

竜華「怜ー。はよ行かんと遅刻するでー」

怜「あ、竜華…」

3 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 2012/06/21(木) 01:21:57.18 ID:3FN2crC00

麻雀は一歩先見えるのにリアルは見えないんだな
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 01:29:41.89 ID:KGKGPXjv0

怜「またうちの上履き誘拐されてもうた」

竜華「えーまたぁ?確か先週もそんなことが…」

怜「うん、これで4回目…やけど」

竜華「毎回ちゃんと放課後には元に戻ってるし…心配はせんでええやろ」

怜「だいぶおっちょこちょいな人がおるねんなぁ」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 01:29:42.89 ID:VV2UjvjA0

いじめじゃなくニオイを嗅ぐためかもしれんし
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 01:38:09.63 ID:9T58xmHdO

怜「んー…どうせ部室行くだけやし裸足でええかな…」

竜華「ダメに決まっとるやん、ちゃんと職員室でスリッパ借りに行かな」

怜「めんどいわぁ」

竜華「しんどいわぁじゃないなら大丈夫やね、ほら行くでー」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 01:43:31.55 ID:KGKGPXjv0

ガラガラ
怜「ありがとうございましたー…」

竜華「よしよし、ほなちゃきちゃき行くでー」

怜「月曜の朝からキツいなぁ…」

竜華「でもこう何度も間違われるってのは、なんか対策せなあかんかもなー」

怜「ちゃんと下駄箱入ってないんかなー…」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 01:49:32.22 ID:fGX71Lgq0

ワハハだとイジメしか想像できないけど怜だと変態達が奪ってるようにしか思えない
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 01:52:22.88 ID:9T58xmHdO

竜華「下駄箱に投げ入れそこなって飛んでった説!とか?」

怜「んなセーラやあるまいし…」

竜華「んじゃ、ベタにお隣と間違えてる説」

怜「セーラやあるまいし」

竜華「じゃあ…怜の方が既に間違えてたのを取り返された説!」

怜「セーラやあるまいし…」

竜華「セーラ…」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 02:01:16.91 ID:9T58xmHdO

竜華「ひょっとしたらあれや、怜マニアの犯行かもしれへんで」

竜華「裏市場で高値取引されてるかもしれへん」

怜「マニアとか取引とか何言ってんのかわからんわ…」

竜華「実録!薄幸の病弱美少女雀士・園城寺怜の隠された一面!」

怜「うち薄幸だったん…?」
25 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 02:28:39.57 ID:rOxs+Rnw0

竜華「薄幸やないの。現に上履き盗まれとるし」

怜「・・・盗まれたと決まったわけやない」

竜華「じゃあどないしたっちゅうの」

怜「あれや・・・上履きに足生えてどっか走っていったんや」

竜華「怜・・・」

怜「・・・なんや竜華、その可哀そうな人を見るような目は」

竜華「・・・」

関西弁むっず
32 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 02:59:09.37 ID:rOxs+Rnw0

コノアタイヲYニダイニュウシテー

怜「・・・」ムズムズ

怜(やっぱスリッパだと違和感あるわ・・・)

竜華「・・・」

竜華(あの子も落ち着かへん子やな・・・)

———————

竜華「怜、さっきの授業中なに気にしとったん?」

怜「・・・スリッパだとなんか気持ち悪いねん」

竜華「あんた、まだそんなこと考えとったん? 神経質すぎやで」

怜「・・・うっさいわ」

竜華「もう・・・じゃあ昼休み一緒に探しにいこ。それでええやろ?」

怜「・・・ほんま?」

竜華「・・・まったく、怜は世話の焼ける子やで」

怜「・・・ありがとな、竜華」
33 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 03:05:11.61 ID:rOxs+Rnw0

怜「目星とかあるん?」

竜華「ないけど・・・とりあえず知り合いに片っ端からあたってみよ」

怜「そうやな」

———————

セーラ「怜の上履きぃ~?」

竜華「せや。心当たりあらへん?」

セーラ「んー、悪いけどわからんわ。ごめんな怜」

怜「別にええねん・・・よくないけど」

セーラ「・・・怜」

セーラ「仕方ねーなー・・・じゃあ俺も探したる!」

竜華「セーラ・・・」

セーラ「困ったときはお互いさまやろ? 困ったトキはお互いs」

怜「めっちゃ寒いからそれやめーや」

セーラ「・・・はい」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 03:11:52.64 ID:RjstmHAO0

セーラ良い奴
43 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 03:44:00.93 ID:rOxs+Rnw0

キーンコーンカーンコーン

セーラ「ってもう昼休み終わりやん!」

怜「そんな・・・」

竜華「仕方ないわ。今日のとこはもう諦めよ」

怜「・・・いやや。うち次の授業サボるで」

竜華「バカ言うてんやないの。ほら行くで」ズルズル

怜「ぅう・・・」

竜華「じゃあまたあとでな、セーラ」

セーラ「おう」
44 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 03:48:39.90 ID:rOxs+Rnw0

怜「竜華、うち昼食ってないねん。このままだと死ぬで」

竜華「はいはい。あと一時間なんやから我慢しぃ」ズルズル

怜「うち病弱やから、竜華と違って体力もたへんのや」

竜華「まったく・・・じゃあほらこれ食い」スッ

怜「これ・・・マルボーロやん」

竜華「なんかポケットに入ってたんや。それ口に入れて我慢せえや」

怜「ん、わかった・・・」ビリビリ

怜「・・・」

怜(めっちゃボロボロに崩れとるやん・・・)
45 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 03:51:58.85 ID:rOxs+Rnw0

怜「り、竜華・・・」

竜華「ほら、もう先生きたで。それはよ仕舞い」

怜「・・・」

———————

怜「や、やっと終わったで・・・」ガクリ

竜華「・・・怜、なに今にも死にそうな顔しとるんや」

怜「・・・死にそうなんやない。もう死んでるで。ほらお花畑が・・・」

竜華「はいはい。ほら、上履き確認しに行かへんの?」

怜「そうやった・・・」ガタッ

竜華「この子は・・・」
46 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 03:55:56.54 ID:rOxs+Rnw0

セーラ「お、きたか」

怜「セーラ、先にきとったんか」

竜華「もう確認したん?」

セーラ「まだや。さすがに勝手に開けるのも悪いと思ってん」

怜「別にええのに」

竜華「とりあえずはよ確認し」

怜「うん・・・」ガチャ

怜「・・・ある」

竜華「ほんま・・・!?」

怜「間違いないで。ちゃんとここに『トキ』ってうちの名前書いてあるし」

セーラ(小学生かっちゅーに・・・)
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 03:58:57.06 ID:iCvRQ4pM0

汁まみれになっとんちゃう?
48 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:00:14.16 ID:rOxs+Rnw0

竜華「イタズラされてへん?」

怜「うん・・・見たところ大丈夫そうや」

セーラ「ま、とりあえずあってよかったやん」

竜華「ほんまにな」

怜「・・・うちは許せへんよ」

竜華「・・・怜・・・?」

怜「これ盗んだやつのせいで今日昼飯食べ損ねたんや。食い物の恨みは恐ろしいで・・・」ギュルル

竜華「べ、別にええやん。これから食べいけば」

怜「・・・まあな。でも犯人は必ず見つけるで・・・」
49 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:04:55.87 ID:rOxs+Rnw0

学食

セーラ「お、空いてる空いてる」

竜華「まぁ放課後やしな。怜はなに食べるん?」

怜「うちカレーや」ポチッ

竜華「そ。んじゃうちもそーしよ」ポチッ

セーラ「じゃあ俺はカレーうどんっと」ポチッ

竜華「あんた昼飯食ったんやないの?」

セーラ「食ったけど、五限でもう胃袋すっからかんや」

竜華「太るで」

セーラ「うちは太らへん体質なんや」

竜華「なんかむかつく・・・」
51 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:09:15.12 ID:rOxs+Rnw0

怜「うちルー少なめの福神漬け山盛りで頼んます」

「はいよ。いつもと同じね」

竜華「前から思っとったんやけど、なんなんそのオーダー」

怜「・・・うち辛いの苦手やねん」

セーラ「ははっなんじゃそりゃ! じゃなんでカレー食うんや」ビシッ

怜「・・・別にええやん。たまに食いたくなるんや」

竜華「そのわりにいっつもカレー頼んでるけど」

怜「・・・別にええやん」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 04:11:24.67 ID:iCvRQ4pM0

実はスレタイみた瞬間に竜華の仕業だと思ってました
55 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:19:46.17 ID:rOxs+Rnw0

セーラ「この席でええ?」

怜「うち窓際キープな」

竜華「じゃうちその隣」

セーラ「お前らほんま仲ええな。姉妹みたいや」

怜「・・・竜華が勝手にひっついてくんねん」

竜華「ああーひど! じゃあもう膝枕してやらへん!」プイッ

怜「・・・うそやうそ。竜華はジョーダンも通じへんの」

竜華「うちジョーダンとトマトが一番嫌いやねん・・・っ」

怜「・・・ほんま申し訳ないことしました。反省してます」

竜華「ふむ、よろしい」

セーラ「ははっほんま姉妹みたいや」
57 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:32:37.48 ID:rOxs+Rnw0

セーラ「・・・」ズルズルッ

怜「セーラ・・・こっちに飛ばさんといてな」

セーラ「ふぁいほふふぁいほふ」モガモガ

竜華「ちゃんと飲み込んでから話しーや。お行儀の悪い」

セーラ「・・・っぐ」ゴクン

セーラ「竜華、お前だって人のこと言えへんやろ」

竜華「なんや、うちのどこが行儀悪いっちゅーねん」

セーラ「食べる前にカレーかき混ぜて食うのやめーや」

怜「あれは確かに汚いな」

竜華「う、うるさいなっ、そんなの別にうちの勝手やん///」

セーラ「見てて見苦しい」

怜「せやな」

竜華「ううぅ・・・」
58 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:34:51.65 ID:rOxs+Rnw0

セーラ「ふぅ~、食った食った。ごちそーさん!」

怜「セーラは早食いやな」

セーラ「ちゃうちゃう、怜が遅いんや!」

竜華「あんたは早すぎ。怜は遅すぎや。うちを見習え」

セーラ「なんやとー」

「おや先輩方、奇遇ですやん」

竜華「あ、泉やん。あんたなんで学食におるん?」

泉「いや、昼休み寝呆けてたら昼飯食い損ねたんですわ」

怜「泉は天然やね」

竜華「あんたが言うな」

泉「じゃ、ご一緒させてもらいます」ストン
59 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:39:59.33 ID:rOxs+Rnw0

セーラ「―――っていうわけや」

泉「なるほど。それは確かに謎ですね」

竜華「泉はなんか心当たりないん?」

泉「はい、残念ながら」

怜「・・・」

泉「でも、犯人の目的ってなんなんですかね?」

竜華「・・・やっぱり怜のストーカーやない?」

セーラ「そしたら竜華しかおらへんやん」

竜華「私はストーカーちゃうねんっ! 怜の保護者やっ!」
61 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:48:05.15 ID:rOxs+Rnw0

怜「保護者でもないけどな」

竜華「なにゆーてんの。あんたうちがいなきゃなんもできへんくせして」

怜「・・・竜華は過保護やねん」

泉「まぁまぁ惚気は後にしてください」「惚気ちゃうわっ」

泉「・・・それで清水谷先輩、ストーカーってどういうことですか?」

竜華「ほら、よく聞くやん。好きな人の私物を盗んで臭い嗅いだりとか・・・」

怜「そんなん今初めて聞いたわ・・・」

セーラ「やっぱ竜華やないの?」

竜華「違うっちゅうのにっ!」

泉「まぁ可能性としてはありますね。園城寺先輩の隠れファン説っと」メモメモ
63 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 04:55:12.55 ID:rOxs+Rnw0

セーラ「泉、お前なにメモなんかとってんの」

泉「いや、この方が情報を整理しやすいかなと思いまして」

セーラ「なんか浩子みたいやな。浩子のクセが移ったんとちゃう?」

泉「ええっ!?」

竜華「仕切りたがりやな」

泉「べ、別に仕切ってないですっ!」

怜「ほなら、別の可能性はなんかあるん?」
64 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 05:03:53.70 ID:rOxs+Rnw0

泉「別の可能性ですか。うーん、誰かが間違えて履いてるとかですかね?」

怜「なるほど」

竜華「なるほどって、うちが今朝ゆうたやん」

泉「ん、じゃあ他にどういう可能性あると考えられたんですか?」

竜華「そやな、今朝考えたのが『隣の人が間違えてる』って説とー・・・」

竜華「『そもそも怜が間違えてて、相手の人に取り返された』って説とー・・・」

竜華「『怜が下駄箱に投げ入れようとしてどっかにすっ飛ばしてった』って説やな!」

セーラ「後半明らかにおかしいやろ」

泉「江口先輩ならともかく、普通の人ならやらかしませんね」

セーラ「なんやとー、下級生のくせにー!」

竜華「まぁまぁ最後のは冗談にしても、なかなか可能性ありそうやない?」

泉「ええ、最初の二つは考慮に入れとかないけませんね」メモメモ

セーラ「むー・・・」

怜「元気だしぃ、セーラ」
65 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 05:09:16.31 ID:rOxs+Rnw0

怜「他になんかないん」

竜華「こら、あんたも少しは考え」

怜「だって何も思いつかへんもん」

セーラ「・・・仕方ねぇ、あいつに頼むか」

泉「・・・そうですね」

竜華「どこにおるやろ」

怜「とりあえず部室行ってみよーや」

———————
部室前

怜「疲れた・・・」

竜華「あんま無理せぇへんでな」

ガチャ

セーラ「きたでー」

泉「こんちはー」

「あ、遅かったやん」
73 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 05:40:06.32 ID:rOxs+Rnw0

セーラ「悪い悪い、学食で飯食っててさ」

フナQ「なんで今食うの」

竜華「色々あって昼休みに食べ損ねたんよ」

フナQ「ふーん、まぁええけど」

怜「あれ・・・他の部員たちは?」

フナQ「走り込みや」

怜「なんでやねん」

フナQ「己を鍛えるにはまず肉体からっていうやろ?」

怜「むちゃくちゃやでそれ」
75 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 05:45:50.45 ID:rOxs+Rnw0

怜「あれ・・・フナQってうちらと同い年やったっけ・・・?」
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 05:50:03.21 ID:ZNt8JRUE0

船Q2年、泉1年、他は3年
78 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 05:50:12.92 ID:rOxs+Rnw0

竜華「まぁちょうどええやないの」

フナQ「?」

泉「船久保先輩、ちょっと先輩に相談したいことがあるんですけど」

フナQ「なんや、あらたまって」

カクカクシカジカ

フナQ「それほんまですか」

竜華「うん、だから浩子にも協力してほしいねん」

フナQ「よっしゃ、やったりまっせ」

怜「恩に着るでフナQ」

セーラ「それじゃさっそくやけど、浩子は今回の事件どう見る?」
79 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:00:55.17 ID:rOxs+Rnw0

フナQ「とりあえず、隣の人が間違えて履いてるってのはほぼありえへんでしょう」

竜華「どうして?」

フナQ「考えても見てください。うちの下駄箱、表にはきちんと名前が書かれた札がかかっとりますし」

フナQ「それに、園城寺先輩の上履きの踵・・・これを見れば間違えるなんてこと普通は起こらへん」

セーラ「たしかにこんなでっかく『トキ』って書かれてちゃーな」

泉「たとえ字が読めへんでも、違和感は感じるはずですね」

怜「それうちの字が汚いってことなん?」

泉「あ、ごめんなさいそんなつもりちゃいますっ」

竜華「でも汚いのは事実やしな」

怜「・・・余計なお世話や」
80 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:07:56.07 ID:rOxs+Rnw0

フナQ「次に、園城寺先輩自身が他の人の上履きと間違えてたってケースもありえへん」

竜華「現にここに怜の上履きがあるわけやしな」

セーラ「乱暴に投げ入れてすっ飛んだってのは―――」

怜「そんなことせーへん」

セーラ「せやろなー」

フナQ「つまりまず間違いなく言えるのは、先輩の上履きは、誰かが故意に盗んでいってるってことですわ」

竜華「やっぱストーカーや」

怜「まじなん・・・怖いわ」

フナQ「その可能性も捨てきれへんけど、でもそやったらなんでわざわざ放課後になったら返す必要があるんやろか?」

セーラ「たしかにな。律儀すぎや。そのまんま持って帰ったらええのに」

怜「やめてや。うちが困る」

セーラ「例え話やって」
81 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:12:18.87 ID:rOxs+Rnw0

フナQ「つまり盗んでいるのには、他に何らかの意図があるっちゅーことですわ・・・」

竜華「おお、さっすが浩子や。お手柄やで」

セーラ「浩子が珍しく頼もしく見えるー」

フナQ「珍しくは余計ですよ」

泉「それで、誰がどういう意図で盗んでいってるんでしょうか、先輩?」

フナQ「・・・それは・・・」

怜「・・・」ゴクリ

フナQ「さすがにそこまではわからへん」

セーラ「おいぃいいい!!」

怜「変な間いれるのやめてや」
82 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:19:25.06 ID:rOxs+Rnw0

竜華「―――ダメや。いっくら考えても何も思い浮かばへん」

セーラ「そらそうや。犯人の可能性ある人間が何人いると思うてんねん」

フナQ「聞き込みにいった泉は帰ってこないし」

怜「うちもなんか疲れてもうたわ」

竜華「怜、あんま無理すんやないで」

フナQ「泉はうちと江口先輩で待ってますから、二人は先帰っていいですよ」

セーラ「え、俺も?」

怜「でも・・・」

竜華「ごめんな、浩子。泉にはよろしくゆーといてや」

フナQ「はい。お疲れ様です」

竜華「ほら怜、はよ帰るで」

怜「・・・」
83 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:25:10.51 ID:rOxs+Rnw0

帰り道

怜「・・・」

竜華「怜、なにそんな落ち込んでんねん。上履きならきっと見つかるって」

怜「そうやないんや」

竜華「?」

怜「そうやない・・・」

竜華「怜・・・?」

怜「・・・ごめんな、竜華。たかがうちの上履きごときで放課後の部活の時間まで潰して・・・」

竜華「なにいうてんのあんた」

怜「他のみんなにも悪いことしたわ・・・」

竜華「怜・・・」

怜「もう私いい。上履き盗られても文句いわへん」
88 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:33:13.79 ID:rOxs+Rnw0

竜華「・・・なに諦めてんの、怜」

怜「竜華・・・」

竜華「ここまで頑張ってきたんや。できること全部やってこ」

竜華「そんでもわからんかったら、そんときは諦めたらええよ」

怜「・・・」

竜華「うちらは最後まで怜についてくで」

怜「・・・ありがと・・・竜華」

竜華「ええよ。気にせんで」

怜「・・・そやな。たかが上履きやし」

竜華「・・・」イラッ
90 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:40:05.01 ID:rOxs+Rnw0

翌日・下駄箱

怜「またない・・・」

竜華「しつこい奴やね・・・」

セーラ「―――おっす二人とも、どうだった?」

竜華「また盗まれとるわ」

セーラ「・・・そうか」

怜「・・・」

セーラ「怜、元気だしぃや」

怜「大丈夫・・・うち平気やから」

怜「それよりも、放課後また部室に集まって作戦会議やで」

竜華「うんっ」

セーラ「おうよ!」
91 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:45:12.28 ID:rOxs+Rnw0

放課後・部室

フナQ「思うたんですけど」

竜華「!? なんか閃いたんか?」

セーラ「さすがやで浩子! よっ名探偵!」

フナQ「ハードルあげんといてください。大したことやありませんし」

セーラ「なーんだ・・・」

フナQ「だからって完全に興味失われても困ります」

泉「それで、何がわかったんですか?」

フナQ「・・・犯人の動機や」

怜「・・・ほんま?」

フナQ「たぶんですけどね。自信はあります」

怜「・・・」ゴクリ

フナQ「まずはじめに、うちらは今回の事件を考えるときに園城寺先輩の上履きってことに捕われすぎてたんじゃないかって思ったんです」

セーラ「ほうほう・・・」
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 06:50:53.87 ID:z7pRpuU90

てっきり女の嫉妬が絡んだ犯行かと
94 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 06:52:20.58 ID:rOxs+Rnw0

フナQ「私の考えることによればこうです。犯人は自分の足のサイズに合う上履きならどれでもよかった」

竜華「? じゃあ上履きを履くことが目的だったってことなん?」

怜「意味わからへんな」

フナQ「いえ、近いですが正しくは・・・上履きを履いてこの学校を歩き回ることが目的だった」

セーラ「・・・? なんやそれ」

泉「もしかして・・・変質者!?」

怜「え・・・まじ」

竜華「こわっ・・・」

フナQ「いやいや・・・園城寺先輩の上履きを履けるってことは、足のサイズ的に少なくとも成人に満たない女子ってのが妥当なところでしょう」

セーラ「いやわからへん・・・めっちゃ足の小さいおっさんとかやったら・・・」

竜華「せ、セーラやめーや!! 本気でこわなってくるでしょ!!」

怜「・・・」ブルブル
95 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:00:11.97 ID:rOxs+Rnw0

フナQ「だからそれやったら外見でばれますやん」

セーラ「あ、そっか・・・ははっ、ごめんなぁ怖がらせて」

怜「セーラ・・・許さへんよ」

フナQ「ただわからへんのはまさにそこなんですわ・・・」

泉「制服・・・ですか?」

フナQ「せや。外見がうちらと同じ女だったとしても、着てる制服でばれてまうやろ?」

竜華「たしかにそうや・・・」

セーラ「おっおっ・・・なんだこれ、めっちゃ推理してるって感じで興奮してきた!」

怜「・・・セーラは黙っとき」

竜華「うちの学校の制服は学内の洋服店の特注品やしな・・・そう簡単に手に入るとは思えへん」

泉「誰か知り合いや兄弟から借りたとか、どうですかね・・・?」

フナQ「ありえへん話ではないけど・・・どうやろな」
96 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:07:30.27 ID:rOxs+Rnw0

フナQ「・・・まぁ動機が分かったところで、犯人をあげなければ意味ないですし」

竜華「せやなぁ・・・」

泉「今の話だと、犯人は外部の人間ってことになりますからね・・・探しようがありません」

怜「・・・」

セーラ「・・・くっそ、いっそ現行犯で捕まえちまいたいもんだぜ!!」

「・・・」

セーラ「え・・・俺なんか変なこと言った・・・?」

フナQ「それだ!」

泉「お手柄ですよ江口先輩!」

竜華「なんで今まで気づかへんかったんやろ!」

セーラ「えっ・・・えっ・・・?」

怜「つまり・・・犯人が来るより先に待ち伏せて、犯行の現場を取り押さえるってことやな」
98 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:16:54.08 ID:rOxs+Rnw0

翌日・早朝

セーラ(開門と同時に下駄箱脇の花壇に潜伏・・・)

怜(・・・うまくいったで。あとは待つだけや・・・)

竜華「あ、早速誰かきたみたい・・・」

「・・・」タッタッタ

怜「・・・?」

怜(あの子・・・どこかで・・・)

セーラ「あいつ陸上部なんやろか? こんな朝早くから張り切ってんねー」

竜華「どうやろ? まぁなんにしてもただの朝練っぽいなぁ」

怜(陸上部・・・朝練・・・)

竜華「それにしても、あのジャージっ子・・・ちゃんと下穿いてんのやろか」

怜「・・・ッ!?」
101 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:22:27.99 ID:rOxs+Rnw0

怜「あの子・・・あの子が犯人や・・・」

竜華「え、怜・・・なにいって・・・」

セーラ「あ・・・あいつ、怜の下駄箱から上履き取ってったぞ!」

「・・・」ダダダッ

セーラ「追うで・・・!」ダダッ

竜華「・・・わかった! 怜、あんたはここでおとなしくしとき!」ダダッ

怜(・・・あの子・・・どこかで見た顔やと思ったら・・・)

怜(高校生麻雀インハイ・・・奈良県代表の・・・ッ)

怜(・・・)

怜(・・・名前何やったっけ・・・まぁええわ)

怜(とにかくうちも追おう・・・)タッタッ
102 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:26:19.27 ID:rOxs+Rnw0

怜「はぁ・・・はぁ・・・」

怜「やっぱ病弱もんには階段駆け上がりはちときついわ・・・」

怜(・・・)

怜(たしか二人ともこっちの方に向かったように思ったんやけど・・・)

怜「・・・?」

怜(あれ・・・ここって・・・)

怜「・・・うちらの部室やん」

ガチャ

セーラ「追い詰めたで・・・!」

竜華「堪忍せえ・・・!」

「・・・」ブルブル

怜「やっぱりや・・・」
103 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:31:19.98 ID:rOxs+Rnw0

怜「なんでこんなことしたん・・・」

怜「奈良県代表の人」

セーラ「・・・? 知り合いなんか、怜?」

怜「新聞で見たんや・・・うちらが今度出るインハイの奈良県代表の選手・・・」

竜華「あ・・・そういえば・・・っ」

「・・・」

怜「なぁ・・・名前だけでも教えてもらってええ?」

「・・・た、たかかも・・・しずの・・・」

怜「高鴨穏乃・・・せや、思い出した。確かにそんな感じの名前の子やった」

穏乃「・・・」

怜「高鴨さん・・・なんでこんなことしたん?」

穏乃「・・・ごっ・・・ごめんなさい・・・」

穏乃「ごめんさいごめんなさいごめんなさい・・・っ」ブルブル

竜華「・・・ど、どうしちゃったんこの子・・・」アワアワ
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 07:33:56.88 ID:F3LTKWEx0

なにやってんだよ裸ジャージ
108 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:42:02.07 ID:rOxs+Rnw0

怜「・・・顔あげてや」

穏乃「・・・」

怜「なんか事情があったんやろ? うちは別に怒ってへんよ?」

穏乃「・・・す、すべて・・・はっ、話します・・・」

そこで聞かされたのは驚くべき事実やった・・・
奈良県代表校・阿知賀女子の麻雀部は、インハイに出る他校の戦略についてより詳しく探るため、エージェントを派遣していたんや・・・
そのエージェントこそが彼女・・・高鴨穏乃
彼女は各校に潜入したのち、その高校の麻雀部の部室に潜入―――そこで様々な情報を集めて回っていたんや
部室のカギは、阿知賀女子のレジェンドと呼ばれる人物に伝授されたピッキング技術で解除していたんやって
なぜ彼女の存在がばれなかったんか・・・? それは彼女が現地で上履きを調達していたこと・・・
そして・・・彼女のこのジャージという服装にこそヒントがあったんや
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 07:47:24.90 ID:hhDEBrm80

エージェントとか本編よりも役に立ってそうだな
110 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:48:27.57 ID:rOxs+Rnw0

普通高校では制服を着ていなければ不審に思われてまう・・・
けど、それ以外にも不審に思われることのない服装が一つだけあるんや・・・
それがジャージっちゅーわけや・・・

穏乃「私も・・・っ、初めは反対してたんです・・・っ・・・こんなことやめようって・・・」

穏乃「でも、私は阿知賀の麻雀部でも一番実力がなかったし、何よりみんなの役に立ちたかったんです・・・っ」

怜「それでもあかんやろ・・・こんなことしたら」

穏乃「はい・・・っ、私が間違ってました・・・ほんとに、ほんとにごめんなさい・・・っ」

セーラ「あ、謝って済むと思ってんのk・・・」

怜「セーラ、よし・・・」

竜華「怜・・・」
113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/21(木) 07:53:26.11 ID:uTp9pdNO0

ジャージと言っても下履いて無いけどな
114 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 07:55:42.63 ID:rOxs+Rnw0

怜「あんたのやったことは間違ってたし、それは許されざることや・・・」

穏乃「・・・っ・・・えっぐ・・・」

怜「けど・・・あんたが心の底から反省してるんなら、私は別にあんたを咎めることはせえへん」

怜「うちの麻雀部が初めてやったんやろ? なら被害もうちだけや」

怜「今ならまだ間に合うで・・・奈良に帰って、他の面子にも反省を促してき」

穏乃「・・・っ・・・」

怜「そしたら、またインハイの舞台で正々堂々と勝負しようや」

穏乃「と・・・怜さんっ・・・私・・・っ」

怜「待ってるで、全国の舞台で―――」
115 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 08:00:37.48 ID:rOxs+Rnw0

———————

竜華「怜・・・ほんまに帰しちゃってよかったん?」

怜「・・・ええんや」

セーラ「あの高鴨って子が反省したとしても、阿知賀の連中がどう思っとるかはわからへんで」

怜「・・・だいじょぶやろ、あの子なら」

フナQ「ずいぶんとその子に入れ込んでますね。まだ一度しか顔合せてないっちゅうのに」

怜「あの子の目・・・すごくきれいだったんや」

怜「絶対強くなるで・・・」

泉「強くなったら強くなったで私らが困るんですけどね」

怜「そんときはそんとき。全力でうちらも相手するまでや」
117 : 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2012/06/21(木) 08:07:37.39 ID:rOxs+Rnw0

怜(高鴨穏乃か・・・覚えとくで・・・)

怜(インハイでは全力で相手したる・・・)

怜(覚悟しときーよ・・・)

怜「じゃ、練習始めよ」

セーラ「そうやな」

竜華「うちらも負けてられへんしな」

泉「今度こそ先輩方には負けませんよっ」

フナQ「またデータが膨らんでくで」

こうして千里山の全国優勝への挑戦がスタートした・・・ッ

ふぁん

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