【辻垣内智葉SS】智葉「……ついてくんな!」照「……」

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:37:10.64 ID:yhvmbSgfP

代行ありがとー
大分ツンデレ気味なガイトさんがぽんこつてるてるに振り回される感じでぼちぼち

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:42:22.85 ID:yhvmbSgfP

全国高等学校麻雀選手権大会団体戦決勝前日

智葉「……はぁ」

智葉(一人になりたい気分だったとはいえ、ちょっと遠くに来過ぎたか)

智葉(……)

智葉(明日で全ての決着が着く)

智葉(清澄、阿知賀……そして、忌まわしき白糸台!)

智葉(今度こそ、と思いたいが……本当に倒せるのだろうか)

智葉(チーム虎姫、と言ったか。最後まで油断出来ない実に恐ろしい相手だ)

智葉(チーム全員が高いポテンシャルを秘めている、特に今年大将に選抜された一年が不気味だ……)

智葉(……それに、何よりも……)

智葉(あの宮永照と……彼女とまた激突する)

智葉(……今度こそ、勝てるのだろうか……?)

智葉(今の私は、彼女に本当に届いているのか……?)

智葉(……分からない)

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:44:29.18 ID:yhvmbSgfP

智葉「……はぁ、今日は一人で溜息ばかりついてるな」

智葉(ちょっと考え過ぎだな、私らしくもない)

智葉(頼れるチームメイト達もいるんだ、何も恐れることは無い)

智葉(……とにかく、勝負は明日だ。今弱気になっても仕方ない)

智葉(今度こそ、必ず……潰す)

智葉「……」

智葉「こんなところにいてもしょうがないし、もう少し風に当たったら帰って休むか」

智葉「しかし会場はあれだけ盛り上がっているのにこちらはまた随分と静かなもんだな」

智葉「まぁ、当然か……一人になりたくてここまで歩いてきた訳だし」

智葉「こういう東京の良さも全国から来てる奴らに少しは分かって欲しいものだ」ブツブツ

智葉「……」

智葉「ってホント、勝手にぶつくさ何言ってるんだか」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:47:57.28 ID:yhvmbSgfP

ミーンミーンミーン

智葉「あっつ、いい加減かえろ」

智葉「ん?」

智葉「……あれは?」
照「……」
智葉(あれは……あいつは……間違いなく)

智葉(……宮永照!)

智葉(……?)

智葉(って、こんなところでなにやってるんだ、あいつ)

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:50:21.39 ID:yhvmbSgfP

照「……んー」ココドコダロ
智葉(……なんか、悩んでる……のか?あれは)

智葉(うーん)

智葉(……声をかけた方がいいのか?)

智葉(……)

智葉(いや、やめておこう……あいつとは敵同士だし、ここで馴れ合うことはないしな)

智葉(……どうせ、大した用事でも無いんだろ)

智葉(ほっとくか)

智葉「……ん?」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:54:01.17 ID:yhvmbSgfP

照「……?」コッチカナ
智葉(お、おい……そっちは工事中だぞ)

智葉(突っ込んだら危ないが、声をかけるべきか……?)

智葉(……)

智葉(い、いや……あいつ私と同い年のはずだし)

智葉(流石にそこまで心配するのは高3を舐め過ぎだろう……だ、大丈夫だよな……)

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:55:50.68 ID:/MqDuPTm0

この照はポンコツ(確信)

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 03:58:42.46 ID:yhvmbSgfP

照「……」トコトコ
智葉(だ、大丈夫……だよ、な……)
照「……」トットットッ
智葉(大丈夫……)
照「……」タッタッタッ
智葉「……」
この先、通行止め
照「……」

照「……えい」
智葉「……いやえいじゃねーよお前!そっち通れないから!」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:01:52.94 ID:yhvmbSgfP

照「……?」
照「……あなた、誰?」
智葉(……どうしてこうなったのだろうか)

智葉「……はぁ」

智葉「……辻垣内智葉、アンタに個人戦でボコボコにされた三位だよ」

照「……?」

照「……嘘」

智葉「いやなんでだよ」

照「私の知ってる去年の三位は眼鏡をしてたし髪も結わいていたと思う」

智葉「……」

智葉(ああそうか、こいつと卓以外で顔を合わせるのは初めてだったな……どうでもいいけど)

智葉「……普段は眼鏡もかけてないし、髪も結んでないだけ」

照「……そうなんだ」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:06:09.12 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

照「……」

智葉(き、気まずいな……)

智葉「……と、とにかくそっちにはいけないから」

照「……!」

照「どうやらそうみたい」

智葉(今気づいたのか……)

智葉「……」

智葉「それじゃあ私はこれで」

照「……」コクン

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:11:21.18 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

トットッ

智葉「…………」

トットットッ

智葉「………………」

トットットットッ

智葉「……………………おい」

照「……何?」

智葉「なんでお前が私の後をついてきてるんだよ」

照「……?」カクン

智葉「何故首を傾げる」

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:16:19.97 ID:yhvmbSgfP

照「……あの」

智葉「どうした」

照「……率直に言うと」

智葉「うん?」

照「……道に迷った」

智葉「……は?」

照「……」

照「だから、道に迷った」

智葉「いや、二度言わなくていいから」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:22:21.43 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

照「……」

智葉「どこから突っ込んだらいいんだ……」

照「私に聞かないで、これでも皆とはぐれてから二時間は歩いてるんだから」

智葉「……それはご苦労なことで」

照「うん」

智葉「……」

照「……」

智葉「で、私にどうしろと?」

照「ついていけば帰れるかなと、後喉が渇きました」

智葉「……私とお前は帰る場所が違うんだからついていっても無駄だぞ、そして後とか付け足して当然のように催促するのやめろ」

照「うう」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:28:01.39 ID:yhvmbSgfP

智葉(な、何か私が想像してた宮永照と随分イメージが違うな……)

智葉「……お前、大体見たところ手ぶらのようだが財布とか持ってないのか?」

照「それが、忘れてしまって」

智葉「はぁ、ちゃんと持ち歩いておけよ……」

照「ほら、身につけてて落とすと大変だから」

智葉「そこはもう前提なんだな、というかさっき忘れたって言ってなかったか」

照「……」

照「とにかく、それで困っている」

智葉「……」

智葉「お前本当に私と同い年か?色々と呆れて物も言えないぞ……」

照「馬鹿にしないで、これでも学校の成績は悪くない方」

智葉「良いとは言わないのかよ、しかもこれでもって言うあたり自覚はあるんだな……」

照「自分のことはよく分かってるつもり」

智葉「……」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:33:57.85 ID:yhvmbSgfP

智葉(駄目だ、これ以上こいつに付き合ってたら日が暮れる……間違いなく)

智葉「……はあぁぁぁぁ……」

智葉「……とにかく、お前の帰る場所なんて私は知らないしわざわざ飲み物を奢ってやる義理も無い」

智葉「悪いが付き合えそうもない、自分でどうにかしろ。じゃあな」

トットットッ

……トットットッ

智葉「……ついてくんな!」

照「……」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:39:53.87 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉(……)

智葉(……う、うーん)

智葉(無理やり振り切ってしまったが、宮永照は本当に大丈夫なのだろうか?)

智葉(……)

智葉(って何私はさっきから同じことばかり考えてるんだ!あんな奴のことどうでもいいだろ)

智葉(あいつにやられた時の屈辱を思い出せ、あいつに手を貸す必要は無い)

智葉(そもそも迷ったのだって財布を持ってきてないのだって自業自得だし)

智葉(ほっとけ)

智葉(……)

智葉(…………う)

智葉(な、なんだこの心のざわめきは……何故こんなに良心が痛む……)

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:44:40.61 ID:yhvmbSgfP

ミーンミーンミーン
ジリジリ

智葉(……)

智葉(暑い、な……)

智葉(あいつ、そういえば喉渇いたとか言ってたな……)

智葉(今年も脱水症状で倒れる人は多いって聞くし……)

智葉(……大丈夫、かな……)

智葉(……)

智葉(……ほんと、なんで私があいつの心配なんてしなきゃいけないんだよ……)

智葉(……でも気になるものは気になるし……)

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:49:18.61 ID:yhvmbSgfP

智葉(……)

智葉(……そうか!)

智葉(もしあいつがどこかで倒れたりして後で私の名前なんか出されたらこっちが困るしな)

智葉(……別にあいつのことなんてどうでもいい、あくまでこれは自分の為だ自分の為)

智葉(……)

智葉(そうと決まったら、早速様子を見に探しに行った方が良さそうだな)

智葉(まだ別れた場所から離れてないといいが……)

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:54:34.78 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉「……」キョロキョロ

智葉(見当たらないな……どこに行ったんだ、あいつ)

智葉(あいつ、またどこか変なところに足突っ込んでないだろうか……)

智葉(……考えれば考えるほど心配になってきた)

智葉(うーん……これは不本意だがどこかで引っかかるかもしれないし)

智葉(名前を呼びながら探した方がいいかもしれないな)

智葉(あ、でもあいつのことなんて呼べばいいんだ……?)

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:58:07.87 ID:Cy3h4rcw0

咲、菫、淡、怜、お嬢

照の業がどんどん深くなっていく

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 04:59:25.47 ID:yhvmbSgfP

智葉(チャンピオン……?)

智葉(……いや外でそれは恥ずかしいだろう、それに最悪あいつに伝わらないかもしれないし……)

智葉(……)

智葉(……て、てるー……?)

智葉(……いやいやいや!何考えてるんだ!いくらなんでも馴れ馴れしすぎだろ!)カアァァ

智葉「……こほん」

智葉「おーい、宮永……さん?いたら返事をしろー」

智葉「おーい……」

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:04:39.86 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉(全然見当たらないな……)

智葉(まさか、もうこのあたりからは離れてしまったのか……?)

智葉(うーん、となるともう少し別の場所を探す必要があるな……)

智葉(あいつがいきそうな場所ねえ……正直卓以外じゃほとんど初対面な訳だし全然検討が付かないな……)

智葉(しょうがないな、片っ端から歩いて回ってみるか)

智葉(……)

智葉(……はぁ、ほんと決勝前日に何やってるんだろ、私……)
照「……う」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:09:13.97 ID:yhvmbSgfP

智葉(……?)

智葉(今何か聞こえたような……)
照「……う、うーん……」
智葉(……)

智葉(この声は、間違いなく……!)

智葉(……でもどこにいるんだ?見当たらないが)

智葉「おーい、探したぞー!どこに隠れてる」

照「……こ、ここ……」

智葉(……木の陰……か?)

智葉(……)

智葉(あ、間違いないな……裏から角が見えるし)

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:14:59.35 ID:yhvmbSgfP

照「う……暑い……」

智葉「お前こんなところにいたのか、探したぞ」

照「……か、陰に入ってもあんまり涼しくない……」

智葉「そりゃあこの暑さじゃ焼け石に水みたいなもんだろ」

智葉「はぁ……」

智葉「全く、しょうがないな」

智葉「今何か飲み物買ってきてやるからそこで待ってろ」

照「……」

照「スポーツドリンクでお願い……」

智葉「……お前、抜けてる割にそういうところはちゃっかりしてるな」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:20:39.12 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉「ほら、わざわざお前の為に金を出して買ってきてやったぞ」

智葉「お前がお望みのスポドリだ、受け取れ」

照「……!」パアァ

照「ありがとう……」

智葉「……そりゃどういたしまして」

ゴクゴク

照「……あー、生き返る……」

智葉「はぁ、私がこなかったらどうなってたことやら」ヨッコラセ

智葉「せめて自分の事ぐらいしっかりしろよな、全く」

照「う、これからは気をつける……」

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:26:19.70 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

智葉「ほんと、倒れられたら困るんだからな」

照「……え?」

智葉「……っ!な、なんでもない!お前を見捨てた私が悪いみたいなことになるのが嫌なだけ!」

智葉「だから、今のは決して心配してたとかそういう意味じゃないからな!」

照「……あの」

智葉「な、何!?」

照「……そんなに慌ててどうしたの?」

智葉「あ、慌ててない!」カアァァ

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:32:54.24 ID:yhvmbSgfP

照「……」

照「……でも、どうしてあなたが私を?」

智葉「……だからさっきも言ったろ、お前にあの後倒れられたらまるで見捨てた私が悪いみたいになるじゃないか」

智葉「そんなのはごめんだからな……それだけだよ」

照「……」

智葉「……おい、急に黙ってどうした」

照「いや、辻垣内さんって意外と優しい人だなって……」

智葉「だーかーらー!別にそんなんじゃないって言ってるだろうが!」カアァァ

智葉「はあぁぁぁっ~……ほんと、お前といると調子が狂う」

智葉「ほら、もう少し休憩したらいくぞ」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:38:06.30 ID:yhvmbSgfP

照「……?」

照「行くって……どこに?」

智葉「お前、迷子になって帰れないんだろ……しょうがないから付き合ってやるよ」

智葉「……」

智葉「か、感謝しろよな……」

照「……うん」

照「ありがとう、辻垣内さん」

智葉「……ふ、ふん」プイッ

照「……?」

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:45:04.13 ID:yhvmbSgfP

智葉「……で、肝心なことを聞いて無かったがお前はどうして迷子になったんだ?」

照「ホテルから離れる途中ではぐれた」

智葉「それじゃあ、取り合えず一度ホテルに戻れば良さそうだな」

智葉「で、そのホテルの場所は?」

照「……」ウーント

照「会場の近く」

智葉「いやその表現はちょっとアバウト過ぎだろ、もうちょっと何か無いのか?」

照「……辺境の地のことはちょっと……」

智葉「……いやここは辺境どころかど真ん中だろ!というかお前西東京代表の三年目だし!」

照「……うう」

智葉「はぁ……」

智葉「とにかくそれじゃあ一旦会場を目指すぞ、近いんだしそこまで行けばどうにかなるだろ」

照「……うん、分かった」

智葉「じゃあ私について来い……目を離すなよ」

照「……うん」コクン

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:52:27.52 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉「……」

照「……」

智葉「……あれから結構歩いたな、一時間位か」

照「……後どの位……?」

智葉「やっと半分ってとこだろ、ぼちぼち歩くしかないな……バスも何故か通ってないし」

照「……そう、まだかかるね」

智葉「そうだな、まぁこんなところまで来た自分が悪いんだから気張って歩け」

照「……」

照「……ところで」

智葉「ん、なんだ?」

照「私は迷子になってたけど、辻垣内さんはあんなところで何を……?」

智葉「そ、それは……」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 05:57:34.59 ID:yhvmbSgfP

智葉(うぐ、痛いところ突かれたな)

智葉(まさか目の前にいるこのぽんこつを倒せるかどうか考えてたなんて言えないよな……)

智葉「別に大したことじゃない、一人で下らない考え事をしてただけだよ」

照「……」フーン

照「……もしかして、恋の悩み?」

智葉「は、はぁ?違うに決まってるだろうが!」

智葉「天然かどうか知らんが変にからかうな!」チョップ

照「あう……ごめんなさい」

智葉「ほら、つまらないこと言ってないでしゃかしゃか歩く!」

照「……うん」シュン

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:02:16.32 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉「しっかし暑いな、夏とはいえ暑すぎるだろ……」

照「……」

智葉「朝から大分歩いてるし、ちょっと休憩挟んだ方がいいか……?」

照「……」

智葉「おい、お前は大丈夫か?疲れてるなら少し休むが」

照「……」

智葉(あれ、反応が無い……何か嫌な予感が……)

智葉「おーい、って……宮永……さん……?」

照「……う」ガクン

智葉「ちょ、ちょっと!今度はどうした!」

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:10:54.93 ID:yhvmbSgfP

智葉「まさかこの熱にやられて……し、しっかりしろ!」ユサユサ

照「……」

智葉「ま、マジかよ……おい!意識はあるか?」ホッペタペチペチ

照「……」

智葉「ど、どうしよう……」アワアワ

智葉「……と、とにかく考えるより一刻も早く救急車を呼んだ方がいいな……えっと携帯はどこに……」アワアワ

照「……」

照「…………」

照「………………お」

智葉「……」

智葉「……お?」
照「なかすいた……」

グウゥゥ……
智葉「……」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:18:40.68 ID:yhvmbSgfP

智葉「あのな」

照「朝から何も食べてない……」

智葉「いや、朝食べてるなら十分だろ……」

照「一日三食欠かさず食べてた私は一食でも抜くと……」

智葉「……」

智葉「……抜くと……?」

照「……」

照「死ぬ」

智葉「……随分直球な表現だな」

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:21:43.15 ID:yhvmbSgfP

照「……うう」

智葉「はあぁぁぁ~……ほんとしょうがない奴だな」

智葉「……まぁでも色々言いたいこともあるが、もう二時も過ぎてるし腹が減るのは当然か」

智葉「……」

智葉「ほら、何か食わせてやるからそこのコンビ二までは頑張って歩け」

照「……!」

照「ほ、ほんと?」パアァ

智葉「ぐ、その上目遣いはやめろ……」

智葉「……ああ、だからさっさと行くぞ」

照「……うん」

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:27:55.22 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

照「涼しい……」

智葉「急に生き返りやがって……でも確かに外で歩き続けた私達には実際天国みたいなもんだが」

智葉「で、何食べる?買ってやるから適当に選べ」

照「……」ジー

智葉「……ん、どうした」

照「……プリン、美味しそう……」キラキラ

智葉「……」

智葉「……あのな、あくまでお前のメシを買いに来ただけであって誰もスイーツを奢るとは……」

照「……いや、美味しそうと思っただけ、誰も買ってなんて言ってない」

智葉(目が買って欲しいと頑なに語ってたような気がするんだけどな……)

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:35:36.78 ID:yhvmbSgfP

照「……」

照「辻垣内さんは、プリンは好き?」

智葉「なんだよ急に……まぁ嫌いじゃないけど?」

照「……そう」

照「この中でどれが美味しいと思う?」

智葉「さっきからなんだよ藪から棒に……この焼きプリンとか美味しそうじゃないか?」

照「焼きプリンも美味しいよね、でも私は普通の方が好き」

照「三個入りのだといっぱい食べられるし……最近はちょっと高めのが美味しそうで迷うことも多いけどね」

照「前に食べたこれが美味しくて……」

………………

智葉(な、なんか突然語り出したぞ……)

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:42:12.83 ID:yhvmbSgfP

智葉(こいつがそこまで重度のプリン愛好家だったとは、ちょっと意外かもな……)

智葉(……)

智葉(……意外、か……)

智葉(そういえば、私は今日この日まで宮永照という人間は化け物だと思っていた……)

智葉(いや、実際彼女は化け物かもしれない……あの異能と才気、並の人間には絶対に辿り着けるものではない)

智葉(……)

智葉(……ただ、それはあくまで麻雀の中だけの話)

智葉(どこか、私は今までこいつ……宮永照が『恐かった』)

智葉(まぁこいつと打った奴は誰しもそう思っても不思議じゃないかもな、きっと私だけではないだろう)

智葉(でも……本当の宮永照は、きっとそんな恐がるようなものじゃないかもしれない……)

智葉(……だって……今は……)

智葉(……)

智葉(……って!何を考えるだ私は!まるでこれでは宮永照に気があるみたいじゃないか!)

智葉(うぅー……熱にやられたのは私の方だったりしてな……いやきっとそうだ……)

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:49:43.77 ID:yhvmbSgfP

照「……辻垣内さん……?」

智葉「……なっ、なんだ今度は?もうプリンの話なら聞かないぞ」

照「いや……そうじゃなくて……」

照「……顔が真っ赤……大丈夫?熱でもあるの……?」

智葉「――っ!な、なんでもない!ほ、ほらさっさと選べ!プリンが食べたいんだろう?」

照「……え、でもさっきは駄目だって……」

智葉「はぁ……」

智葉(ほんと、こいつといると調子が狂うな……私も一体どうしたんだろう……)

智葉「……いいよ、買ってやるからどれでも好きなのを選べ」

照「でも……」

智葉「あーもう!私がいいって言ってるんだからいいんだよ!」

智葉「お前のプリン好きには私の負け負け!降参!……だからさっさとしろ」プイッ

照「……」

照「ありがとう……」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:55:00.43 ID:yhvmbSgfP

照「……んー」

智葉「……決まったか?」

照「……これとこれ、辻垣内さんはどっちが良いと思う?」

智葉「だから私に振るなよ」

照「……」シュン

智葉「……う、ほんとしょうがない奴だな!」

智葉「……うーん」

照「……」クス

智葉「な、何故笑う」

照「いや……悩んでるなって」

智葉「し、仕方ないだろ……どっちも美味しそうなんだし……」

照「……そうだよね」

智葉「……」

智葉「わ、私は右のが美味しそう……かな?」

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 06:59:55.29 ID:yhvmbSgfP

照「……分かった」

照「じゃあこれをお願いします」

智葉「……いいのかよ、私じゃなくてお前が食べるんだぞ?」

照「ううん、いいの」

智葉「……」

智葉「そ、そうか……じゃあこれな」

照「……それじゃあ早速レジに」

智葉「……」

智葉「……ちょっと待て」

照「……何?」

智葉「まだメシの方を選んで無いだろ」

照「……えっ?」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:02:24.59 ID:99Pd3t2v0

スイーツメインのてるてるかわいい

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:06:01.24 ID:yhvmbSgfP

智葉「……また途中で腹が減っただのと倒れられちゃこっちが困るからな」

照「……」

照「でもそこまで厄介になるのは……」

智葉「はぁ、だからもうさっき私がいいと言ったらいいって言っただろ……いいからさっさとしろ」

照「……ありがとう」

智葉「だから、いいって言ってるだろうが……」

照「……んー」

照「それじゃあ、このサンドイッチ……」

智葉「はいはいこれね、それじゃあさっさと買っていくぞ」

照「……うん」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:11:44.72 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――
照「あの……」

智葉「……腹が減ってるのは分かるがそこの公園までちょっとは我慢しろ」

照「……そうじゃなくて、辻垣内さんの分は良かったの……?」

智葉「……いいよ私の分は……そんな腹が減ってる訳じゃないし」

照「……本当?」

智葉「本当だっての、ほらさっさと歩け」

照「……」

照「……ごめんね」

智葉「なんだよ……急に」

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:18:28.47 ID:yhvmbSgfP

照「今日は迷惑かけてばっかりだから……」

智葉「はぁ、今更かよ……いいよ別に謝罪なんて、もうお前には慣れたし……」

智葉「……」

智葉「それに……ちょっとは楽しかったしな……」ボソ

照「……?」

智葉「い、今のは無しだからな……」

照「……なんで照れてるの?」

智葉「て、照れてない!」

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:26:06.20 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉「ほら、それじゃあさっさと食べろ」

照「うん……」

照「辻垣内さん、頂きます」

智葉「はいはい、どーぞ召し上がれってか」

照「……」モグモグ

智葉「……」

照「……美味しい」

智葉「そりゃ良かった」

照「……」

照「辻垣内さんも、食べる?」

智葉「いいよ、私は……腹減ってないし……」
グウゥゥ……
照「……」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:30:45.28 ID:yhvmbSgfP

智葉「へ、減ってないからな!」カアァァ

照「……お腹、鳴ってた」

智葉「――っ!私のことはほっといてさっさと食べろ!」

照「いいから、食べて」

智葉「い、いやなんでお前が唐突に主導権握ってるんだよ」

照「……私も辻垣内さんに倒れられたら困るから」

智葉「お前と一緒にすんな」

照「ほら、早く……」

智葉「……う」

智葉「しょ、しょうがない奴だな!食べるからこっちによこせ!」

照「やっぱり、お腹が空いてたんだ……」

智葉「ち、違う……!」カアァァ

照「気にしなくていいのに」

智葉「うるさいな!黙って食べろ!」

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:36:17.84 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」モグモグ

照「……」ジー

智葉「人が物食べてるんだからあんまこっちジロジロ見んなよな……」

照「いや、なんだか顔が怖いし……美味しくないのかなって……」

智葉「……別にそういう訳じゃなねーよ」

照「……本当?」

智葉「……ああ、これでもちゃんと味わって食べてるから人の心配はするな」

照「そう、それなら良かった……」

智葉「いいからお前も自分の分を食えよ……そんな見られながらだと恥ずかしいだろ……」

照「……」コクン

智葉「……」モグモグ

照「……」モグモグ

照「久しぶりだな……」

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:42:10.02 ID:yhvmbSgfP

智葉「どうしたんだよ、今度は」

照「菫や淡達以外とこうやってご飯を食べるのが、久しぶりだなって」

智葉「菫……淡……弘世菫と大星淡のことか?」

照「うん……虎姫の皆は優しいから、別に辛くは無いけれど」

智葉「……」

照「それでも……やっぱり他の人達は私のことを『恐がってる』ように見える」

智葉「はぁ、まぁあれだけ常人離れした強さを見せ付けられたら仕方ない気もするけどな」

智葉「……」

智葉「実際私もお前にビビってたし」

照「……そうなの?」

智葉「……言うつもりは無かったけどな」

照「……」

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:47:52.06 ID:yhvmbSgfP

照「私ってわがままなのかな……」

智葉「ようやく自分の本性を認めたか」

照「……それは皮肉のつもり?」

智葉「その通りだとも、特にお前は食べ物に関してはわがままを通り越して意地汚いな」

照「……むっ」

智葉「はは、否定はしないのか?」

照「……奢ってもらってる立場だし、今日は簡便してあげる」

智葉「そう言ってる割に偉そうな態度をどうにかしろ」

照「ふふ」

智葉「はぁ……」

智葉「お前はやっぱりわがままだよ」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:52:59.03 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉、照「ご馳走様でした」

照「美味しかったね」

智葉「いやそこで当然のように私に振るなよ」

智葉「……」

智葉「ま、まぁ美味しかったけどさ」

照「照れなくていいのに……」

智葉「照れてない!……あんまりからかうとプリンを没収するぞ」

照「あ、それは困る」

智葉「じゃあほら、つまんねーこと言ってないでプリンも食べろ」

照「うん……辻垣内さん、頂きます」

智葉「……もうさっきも聞いたしいいよそういうの、いいからさっさと食え」

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 07:56:21.94 ID:yhvmbSgfP

照「……」モグモグ

照「……凄く美味しい」パアァ

智葉「……」

智葉「ふむ」

照「……?」

智葉「いや、あまりに幸せそうに食べてるなと」

照「そ、そう……?」

智葉「生きてるということの至福を感じてる顔だったな、間違いなく」

照「……」カアァァ

照「……は、恥ずかしいからあんまり見ないで……」

智葉「……ん、ああ……そ、それは悪かったな……」

智葉(な、なんだこの空気は……こっちが恥ずかしくなってきた……)

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:01:47.62 ID:yhvmbSgfP

照「……」モグモグ

智葉「……」

照「……ねえ」

智葉「なんだよ」

照「目、つむって……」

智葉「はぁ、今度は何を言い出すかと思ったら」

照「……いいから、早く」

智葉「わ、分かったよ……ほら、これでいいのか?」

照「……うん」

照「……」

智葉「……」ドキドキ

智葉(な、何されるか分からないが緊張するな……)

照「……あーん」

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:08:56.77 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

智葉「あーん」

智葉「……」

智葉「ってちょっ、ちょっと待て!」

照「あっ、動かないで……折角食べさせようとしてたのに」

智葉「おい!こ、この歳になって……その……あ、あーんは無いだろ!」

照「……そう?淡とはよくやってるけど?」

智葉「いやお前らの事情なんて知るかよ!余計な気は使わなくていいから一人で食べろ!」

照「でも、元はと言えば辻垣内さんが美味しそうって選んだ物だし……」

智葉「う、それを言われると……というかまさかお前あの時ここまで考えて……」

照「ふふふ」

智葉「その不敵な笑いやめろ」

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:13:42.85 ID:yhvmbSgfP

照「さぁ、観念しなさい……でなければ」

智葉「……でなければ?」

照「無理やりにでも……」

智葉「……食べさせるってか、全く呆れるな……」

智葉「……」

智葉「……く、食わせる気ならさっさとしろ!」

照「……ヤケになってる?」

智葉「なってない!」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:17:24.53 ID:yhvmbSgfP

照「……」

照「それじゃあ……あーん」

智葉「……そ、そのあーんって言うのはどうにかならないのか?」

照「……駄目、ほら……あーん」

智葉「わ、分かったよ……あ……あーん」カアァァ

智葉「……」モグモグ

照「……美味しい?」

智葉「ん……あ、ああ……」

照「じゃあもう一口」

智葉「ま、まだやるのかよ……」

照「……あーん」

智葉「……あ、あーん」

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:23:15.37 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

照「美味しかった、辻垣内さんご馳走様」

智葉「そりゃどうも……私は凄い疲れたけどな」

照「……」

照「……ふあぁぁ……」

智葉「……」

智葉「もしかして、今度は眠いのか……?」

照「……お腹が一杯になったら、眠気が……」

智葉「……お前、本当に私と同い年なのか?」

照「失礼ね、歩きっぱなしだったしこの眠気は当然のものだと思う」

智葉「……そういうところが幼いんだよな、お前」

照「そ、そう……?」

智葉「はぁ、そうだよ」

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:25:24.72 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

智葉「……まぁでも、このペースだと夕方には着けそうだし……」

智葉「食休みということで一時間位ここでゆっくりしてもいいか……」

照「いいの……?」

智葉「まぁいいだろ……今更一時間ちょっと早かろうが遅かろうがどうにかなる訳でもないし」

智葉「という訳で寝たけりゃ寝ろ……ただし一時間だけだからな」

照「……ありがとう」クタッ

智葉「……」

智葉「……誰も寄りかかっていいとは言ってないけどな……」

照「……」スヤスヤ

智葉「……もう聞こえてないし」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:33:32.92 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

照「……」

照「……ねえ」

智葉「もう起きたのか……まだ寝ててもいいぞ」

照「……」

照「私は……そんなに『恐い』のかな……?」

智葉「なんだよ……さっきの続きかよ」

照「……確かに、麻雀は強いかもしれないけど」

智葉「……」

智葉「いや実際強いだろ、それも……果てしないレベルで」

照「でも……だからと言って何もかもが完璧な訳じゃない」

智葉「……まぁ今日一日お前を見てそれは実によく分かったな、うん」

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:43:34.92 ID:yhvmbSgfP

照「……」

照「それでも皆の期待に応え続けるのって、結構辛い……」

智葉「……ま、贅沢な悩みだと思うけどな」

照「そうかもしれないけど……ううん、違う……」

智葉「……違うって、何がだよ」

照「私は……期待に応えることが辛いんじゃない」

照「正確には『皆の期待に応えるような宮永照であればあるほど私から皆が遠ざかっていく』ことが堪えられないんだと思う」

智葉「……その持ち前の強さやあの営業スマイルと言い、確かに世間はお前のことを錯覚するだろう」

智葉「どうしても、完璧な人間には近寄り難いもの……妬みだって増えるだろうし、お前の言ってることは分からないことじゃない」

照「……でも……たとえそうだとしても……私は世間を欺き続けなければいけない」

智葉「……それは、どうしてだ?」

照「……」

照「……私には、麻雀しかないから」

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 08:53:16.23 ID:yhvmbSgfP

智葉「……だから、常に理想のトップであり続けなければいけないと……?」

照「私から『それ』を取ったら……多分、私には何も残らない」

照「誰からも見向きもされず、何も出来ずに消えていく……そんな存在になるのが、私は怖い……」

智葉「……」

智葉「考え過ぎだ、例えお前がトップから降りたところでお前のその強さが揺るぐ事は無い」

智葉「お前の価値はそんな人の目から映る宮永照では無いだろうが……価値があるとするならそれはお前自身の強さそのもののはずだ」

照「……!」

智葉「……だから、あんま無理するなよ」

照「……ありがとう」

智葉「……ふん……」

智葉(う、言った後から何か恥ずかしくなってきたな……)

照「……」

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:00:11.39 ID:yhvmbSgfP

照「……」

照「……ねえ」

智葉「な、なんだよ……」

照「辻垣内さんは……私のことが恐い?」

智葉「……」

智葉「正直、今までは……恐かったのかも……いや、私はお前のことが恐かった」

照「……」

智葉「圧倒的な強さ……お前に私は打ちのめされてからずっとお前のことを恐れていたし、どこかで憎んでいたのかもしれない」

照「……そうなんだ」

智葉「……でも今は違うと言い切れる。少なくとも、そんな感情は微塵も湧いてこない」

照「……」

照「……それは……どうして?」

智葉「……」

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:05:42.31 ID:yhvmbSgfP

智葉「……ふふ、さあ?お前があまりにガキ過ぎて拍子抜けしたのかもな?」

照「か、からかわないで」

智葉「可愛いやつめ」ナデナデ

照「ちょっ、急に頭を撫でるのやめて……子ども扱い禁止」

智葉「お前の今日一日の行動を見て子ども扱いしない方が無理な話だと思うぞ」

照「――っ!……辻垣内さん、意外と意地が悪い……」ボソ

智葉「何か言ったか?」

照「……」

照「いえ、何も」

照(……)

照(こうやって撫でられてるのもわりかし気持ちがいいし、まぁいいかな……)

智葉(じ、自分から撫でておいてなんだが……結構恥ずかしいな、これ……)

智葉(……うーん、でも髪はサラサラだしこいつはこいつで気持ち良さそうにしてるな……)

智葉(まぁたまにはいいか……)

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:11:12.81 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉(しかしほんと、子供というか、気まぐれなところが猫みたいな奴だな……)

智葉(はぁ……こんな奴に怖気づいて一人考え込んでたのが馬鹿みたいだな)

智葉(ああでも、あそこで悩んでなければこいつと出会うことは無かったのか)

智葉(ふふ、まぁ……こういうのも悪くない、かな……)

照「……ねえ?」

智葉「なんだよ……」

照「手」

智葉「はぁ?」

照「手が止まってる、続けて」

智葉「……お前さっきやめてだの子供扱い禁止だの言ってなかったっけか」

照「先に撫でてきたのはそっち」

智葉「う……分かったよ」

智葉「……ほら、これでいいんだろ……」ナデナデ

照「うん……」

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:17:01.45 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」ナデナデ

照「……」
照「あの、辻垣内さん……?」

智葉「……智葉でいい」ボソ

照「……えっ」

智葉「ほ、ほら……つじがいとって長くて呼びづらいだろ……」

智葉「……だ、だから呼ぶときは智葉でいいっていってんの!」カアァァ

照「……」

照「……あの……智葉……?」

智葉「な、なんだよ」

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:23:27.38 ID:yhvmbSgfP

照「……私のことも……お前、じゃなくてちゃんと照って呼んで」

智葉「う、今度はそうきたか……」

照「私がちゃんと智葉って呼んであげてるんだから、これは当然」

智葉「……はぁ、お前はいちいち偉そうだな」

照「……」

照「お前じゃなくて……?」

智葉「……あー、分かったよ!もう!……て、照……こ、これでいいんだろ」

照「……うん」

照「……それじゃあ、手……続けて智葉」

智葉「……はいはい、撫でればいいんだろ……照」
智葉「……」ナデナデ

照「……」

93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:28:47.19 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉「……それじゃあ、そろそろ行くぞ」

照「……」

照「もう行くの?」

智葉「大分ここでゆっくりしただろうが……というか本来の目的を忘れてないか?」

照「……本来の……目的……?」

照「……んー」ナンダッケ

智葉「……はぁ」

智葉「おま……照が迷子になってたからそれを私が見つけて一緒にここまで歩いてきたんだろうが」

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:33:25.80 ID:yhvmbSgfP

照「……」

照「ああ、そうだった」

智葉「おま……照、それはギャグでやってるのか?」

照「ふふ、冗談」

智葉「やれやれ……とにかく後少しで着くんだから、もうちょっと頑張るぞ」

照「うん」

智葉「……じゃあ、行こうか」

照「……?」

照「……この手は?」

智葉「こ、ここまできておま……照とはぐれたら台無しになるからな!」

智葉「……」

智葉「手、繋いでおけばはぐれないだろ……」

照「……そうだね、ありがと」ギュ

智葉「――っ!さ、さっさと歩くぞ!」

照「……?(智葉、なんで真っ赤なんだろう……)」

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:39:42.30 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

智葉「やっと着いたな……」

照「うん」

智葉「な、長かった……ここに来て急に疲れが……」

照「智葉……大丈夫?」

智葉「誰のせいで疲れたと思ってる……全く」

智葉「……さて、何はともあれ会場についた訳だが、ここから分かるか?」

照「いやそれが全然」

智葉「おい」

智葉「……はぁ、しょうがね……まぁでもここまでくれば人に聞いても分かりそうだしどうにでもなるだろ……」

照「……」

照「いや……」

智葉「ん……?」

照「見つけた」

智葉「いやだからどっちだよ……」

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:44:44.57 ID:yhvmbSgfP

照「あれ……」

智葉「……あれは……」
淡「テルー?」

菫「あいつ、どこ行ったんだ全く」
智葉「……弘世菫と大星淡か、ようやく保護者が見つかったな」

照「保護者じゃないから」

智葉「じゃあ飼い主か、今度ははぐれないように首に縄でもかけてもらうんだな」

照「むぅ」

智葉「……」

智葉「……ほら、分かったらさっさといけ……照」トン

照「……うん」

智葉「……じゃあな」

照「……」

照「待って、智葉」

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:50:27.86 ID:yhvmbSgfP

智葉「ま、まだ何かあるのかよ……こっちも忙しいんだから、さっさとしろ……」

照「……」

照「……智葉、また会える……?」

智葉「はぁ?何を言うかと思ったら」

智葉「……明日、ぶつかるだろ……私と、照は……」

照「……」

照「そうだけど……そうじゃない……」

照「……」

照「智葉と……また今日みたいに過ごしたい……」

智葉「なっ……何をいきなり言い出すんだ」

智葉「……」

智葉「というか『今日みたいに』は流石に簡便、疲れるから」

照「ひ、ひどい……」

智葉「割と事実」

照「むむ」

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:53:11.62 ID:yhvmbSgfP

照「……」

照「駄目……なの……?」シュン

智葉「う……じょ、冗談だよ冗談……ほんと、しょうがないな!」

智葉「……お互い東京なんだし大会が終わってもいつでも会えるだろ……」

智葉「……」

智葉「……だから」

照「……だから……?」

智葉「……だから……決着がついて……この大会が終わったら……」

智葉「……私から迎えに行くよ、必ず」

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 09:58:37.65 ID:yhvmbSgfP

照「……ほんと?」

智葉「ほんと」

照「絶対?」

智葉「絶対」

照「約束してくれる?」

智葉「くどいな……ああ、約束だ」

智葉「……ほら、小指」

照「……」

照「そういうの……子供っぽい」ボソ

智葉「照には言われたくない」

照「うう」

智葉「……」

智葉「……ほら、分かったらいけ……ずっと待ってた仲間達のことも考えろ、きっと心配してるぞ」

照「……うん」

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:01:51.10 ID:yhvmbSgfP

智葉「……それじゃあ、明日……卓でな」

照「……そうだね」

智葉「……」

智葉「今まで言い忘れてたが……負けないからな!」

照「こっちこそ」

智葉「……」

智葉「……じゃあな」

照「うん」

照「……」クルッ

照「……待ってるからね」ニコッ

智葉「――っ!いーからさっさといけっての!」

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:07:30.68 ID:yhvmbSgfP

淡「あーっ!テルー!ずっと探してたよー!」

菫「お前、ほんとどこ行ってたんだ……」

照「いや、ちょっと迷ってしまって……ごめんなさい」

淡「ちょっとってレベルじゃないよー」

菫「これからは首に縄をつける必要がありそうだな……」

照「そ、それは簡便して」

菫「はぁ、分かったらさっさと戻るぞ……お前もお腹減っただろ」

照「……うん」

淡「いやあ夜ご飯も楽しみだなー」

菫「お前ら、少しは決勝前の緊張感というものをだな……」

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:23:38.19 ID:vACqF3/g0

菫「……照……?どうした、振り返ったりして」

照「……」

淡「テルー?」

照「……ううん、なんでもない……大丈夫」

菫「……そうか、それじゃあいくぞ」

淡「ほらほら、早く早く!」

菫「お前はもう少し落ち着け」

淡「えーだって私もう――

照「……」

照(待ってるからね……智葉……)

106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:30:11.76 ID:vACqF3/g0

―――――――――――

―――――――――

――――――
智葉「……」

照「……」

智葉「……お待たせ、照」

照「……」

照「遅い、待ちくたびれた」

智葉「はぁ?照がちゃんと待ち合わせ場所にいないのが悪いんだろうが」

照「う……」

107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:32:17.12 ID:vACqF3/g0

智葉「照……お前は本当に縄でもつけてた方が良さそうだな」

照「……」

照「それはその……そういう趣味なの?」

智葉「……はぁ?」

照「智葉がそんな子だったなんて知らなかった……意外」

智葉「……縛り付けて家で飾ってやろうか?」

照「じょ、冗談よ、本気にしないで」

智葉「……」

照「……」

智葉「にしても……」

照「……どうしたの?智葉」

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:38:38.49 ID:vACqF3/g0

智葉「今回も照には勝てなかったな、団体戦も……個人戦も」

照「ふふ」

照「でも前より凄く強くなってたと思う、結構苦戦した」

智葉「……なんだその上から目線、凄いムカつく」

照「ふふ、勝者の特権」

智葉「……」

智葉「……まぁでも、優勝をかっさらっていくのがまさか清澄だったとは意外だったな」

照「……うん」

智葉「残念無念、これでトップから転落だな」

照「……ほんと、三連覇が出来なかったのは残念だった」

照「……」

照「でも」

智葉「……でも?」

照「私は……変わってないよね?」

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:44:25.16 ID:vACqF3/g0

智葉「……」

智葉「当たり前だろ」

智葉「照の間抜けさと方向音痴さと食い意地は前と全く一緒だな」

照「……なにそれひどい」

智葉「事実だからな」クスクス

照「むぅ」

智葉「ほら、それじゃあそろそろ行くぞ」

照「……」

照「うん」

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:49:59.98 ID:vACqF3/g0

―――――――――――

照「……今日も楽しかった」

智葉「……」

智葉「こうなることは分かっていたが、私はどっと疲れたぞ……」

智葉「相変わらずお前はすぐふらふらどっか行こうとするし食べ物に釣られるし……」

智葉「これが子供を初めて持った母親の気分なのだろうかと思う位だ、全く」

照「ふふ、お疲れ様」

智葉「……照、何か調子に乗ってきてないか?」

照「それはきっと気のせい」

智葉「……はあ、そうかい」

智葉「……」

智葉「……それじゃあ、今日はこの辺で」

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:53:52.33 ID:vACqF3/g0

照「……」

照「待って」

智葉「な、なんだよ」

智葉「……べ、別にまた遊ぼうと思えばいつでも遊べるだろ……近いんだし」

照「……そうじゃなくて」

照「……」

照「……これ」

智葉「ん……」

智葉「これはまた綺麗なブローチだな、どうしたんだよ」

照「この前の……お礼にと思って……」

智葉「い、いいよ別にお礼なんて……高そうだし」

照「……大丈夫、安物だから」

智葉「そこは言い切るんだな」

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 10:59:04.26 ID:vACqF3/g0

智葉「……」

智葉「でも、本当にいいよ……私には似合わないというか、勿体無いしな」

智葉「気持ちだけで十分だし、照が付けてた方がよっぽど良いと思うけど」

照「……」

照「そんなこと無い」

照「……ほら」クイ

智葉「……お、おい!」アワアワ

智葉「ちょっ、ちょっと!こら!ち、近いって!」

照「いいから、動かないで」

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:05:53.36 ID:vACqF3/g0

照「……」

照「ほら、見立てたとおり……やっぱり似合ってる」

智葉「……」

智葉「……う、それは卑怯だぞ……照」

智葉「こ、こんなことされたら受け取るしゃないじゃないか……」

照「元々智葉の為に買ったものなんだから、それは当然だと思うけど?」

智葉「……相変わらず変なところが強引な奴だな」

智葉「……」

智葉「……その……」

照「……その?」

智葉「あ、ありがと……な……」

照「ふふ、どういたしまして」

智葉「……」

智葉「……大切にするから」

照「……うん」

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:10:53.23 ID:vACqF3/g0

智葉「……」

照「……」
照「……ねえ、智葉……?」

智葉「……な、なんだよ……」

照「……」

照「今度は、私のお願い……聞いてくれる……?」

智葉「……いや、これは前のお礼のはずじゃなかったのか」

照「ねえ、駄目……?」

智葉(ぐ、なんだか照の奴急にしおらしくなったな……)

智葉「わ、分かったよ……」

智葉「……で、私にどうしろと……?」

照「……」

照「……それはね……」

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:13:57.52 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

―――――――――

――――――

ダヴァン「それにしテモガイトサン、最近はオフの時いっつもそのブローチ付けてマスネ」

智葉「ん……ああ、これか……?」

智葉「まぁちょっとした貰い物だよ」

ダヴァン「モライモノ……ひょっとしテ……」

智葉「な、なんだよ……」

ダヴァン「ガイトサン、マサカ……オトコデスカ?」

智葉「――っ!ち、ちげえよ!」

智葉(……よく考えると似たようなものな気はするけど……)

智葉「……」

119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:15:25.01 ID:yhvmbSgfP

ダヴァン「ガイトサン……」

智葉「……」

ダヴァン「……アノ……ガイトサン……?」

智葉「……ん、ああ」

ダヴァン「顔が真っ赤デスヨ」

智葉「え、ええっ……」

ダヴァン「ヤッパリオトコ絡みのようデスネ……」

智葉「ち、違うってさっきから言ってるだろうが!こ、こっち見るな!」ブンブン

ダヴァン「マタマタ」

智葉「だーかーら――
智葉(……)

智葉(あの後のことを思い出すと、否が応にも顔にほんのりとした熱を帯びてしまう……)

智葉(……だって――)

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:16:45.50 ID:yhvmbSgfP

―――――――――――

―――――――――

――――――

照「……」

照「智葉、目をつむって……」

智葉「ま、またそれか?それは嫌な予感がするんだが……」

照「……」

照「いいから、早く」

智葉(な、何故だろうか……前と全く同じ流れなのに断れないぞ……)

智葉「わ、分かったから……」

智葉「……」

智葉「これでいい、のか……」ドキドキ

照「……」

照「うん、そのままにしててね」

121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:19:06.14 ID:yhvmbSgfP

照(……智葉)

照(……)

照(……好きだよ)

智葉「……」

智葉「……え」

照「ち、ちょっ……」

智葉「――っ!ま、まさか……て、てるぅ!お、おま、おまええっ!」

照「ま、まだあけていいなんて言ってない!」

智葉「こ、こここ、これがあけられずにはいられるか!て……照!お、おま……」

智葉「……」

智葉「わ、私に……き、キス……を……?」

照「ち、ちがっ……これは、その……」

照「……」

照「……台無しになった、責任取って」

123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:20:06.18 ID:yhvmbSgfP

智葉「い、いやなんだよ……話が見えないぞ」

智葉「……」

智葉「……大体責任取れって言われても……わ、私にどうしろと……」

照「き、決まってるでしょう!それは……」

智葉「……」

智葉「そ、それ……は……?」

照「そ、それ……は……」カアァァ

智葉「……」ドキドキ

照「……」

智葉「……」

照「…………さ」

智葉「……」

照「…………さ?」

照「とは……の方から……して……」ボソッ

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:21:10.66 ID:yhvmbSgfP

智葉「……えっ?」

照「――っ!」カアァァ

照「さ、智葉の方からしてって言ってるの!」

智葉「え、え、え……わ、私の方から……?」

照「う、うん……」

智葉「て、てるに……き……キスを……?」カアァァ

照「い、言わないで……恥ずかしいんだから……」カアァァ

照「……」

照「……お願い……」

智葉「……て、照……」

智葉(……)

智葉(……はぁ、ほんと……呆れるな……)

智葉(……でも……いや、きっと……そんなどうしようもないところに私は惹かれたのかもしれないな)

智葉(……しょうがね)

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:21:58.16 ID:yhvmbSgfP

智葉「……」

智葉「分かったよ……」

智葉「は、恥ずかしいから……お前もめ、目を閉じてろ……」

照「う、うん……」

照「……ん……」ドキドキ

智葉「……」ドキドキ

智葉(しかし……き、緊張するな……)

智葉(……ん)

智葉(こいつ……照……震えてるのか……?)

照「……」フルフル

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/17(土) 11:22:52.48 ID:yhvmbSgfP

智葉(……)

智葉(……さっきは……あれは照なりの覚悟の仕方だったのかもしれないな……)

智葉(……こいつ、態度はでかいけど臆病なところがあるからな……)

智葉(……まぁ、そこが可愛げがあるというかなんというか……)

智葉(……)

智葉(……してやるか……私から……き、キスを!)

智葉「……」

智葉「ごめんな、照……」

照「……え……?」

智葉「責任……取るから」

智葉「今度は……私からちゃんとするから……」

智葉「……」

智葉「好きだよ、照」
カン!

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