1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:22:26.20 ID:+0bBIdFG0
盛大に遅刻した
白望「よければ明日、私の家で」
塞「え、ちょ、ちょいタンマ」
白望「都合悪い?」
塞「いや悪くはないけれども…え、チョコ? シロが?」
白望「うん」
塞「それってまさかあれ? バレンタインデーの?」
白望「うん」
塞「えー、うわー、マジか、シロが、うわー…」
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:26:36.36 ID:+0bBIdFG0
白望「さすがにそこまでうわーうわー言われると傷つくんだけど」
塞「だってさー、シロがさー、うわー」
白望「…わざと言ってる?」
塞「いや、わざとじゃないけれども、うわーとしか言いようがないわ」
塞「だってシロがバレンタインチョコって…うわーうわーこれは夢だわきっと」
白望「…」ツネリ
塞「いたい。夢じゃないのかうわー」
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:31:03.62 ID:+0bBIdFG0
白望「…それで、手伝ってくれるの、くれないの」
塞「あー、うん、手伝うよ手伝う」
白望「ん、ありがと。材料はこっちで用意しとくから、手ぶらでいいよ」
塞「ん、わかった」
白望「じゃあ、また明日」
塞「はいはいばいばい」
塞「…うわー、マジか、うわー…」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:35:55.31 ID:bx8cioYx0
良いものは旬を過ぎても良い
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:36:04.37 ID:+0bBIdFG0
塞「シロも女の子だもんね」
塞「18にもなればバレンタインにチョコ渡す人の一人や二人いるよねー、あはは」
塞「…それで、私にチョコ作りの相談ってことは、ほぼ100%相手は私じゃないってわけで」
塞「あーいや何言ってんだろ私、そもそも同性じゃない。チョコとかないない」
塞「シロは毎年女の子から貰ってるけど、まぁあれは例外よね」
塞「……っあー…、あー…、あー…」
塞「…なんで断らなかったんだろ」
塞「あーあ…」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:37:23.28 ID:+E5WVc0F0
シロが自分から動くとは珍しい
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:42:32.82 ID:+0bBIdFG0
塞「大体さーシロもさー、チョコ作り手伝わせるって何なのさー」
塞「本命ならいちから自分で作るべきだよねー」
塞「まずいの出して嫌われたくないとか?」
塞「意外と小心者なんだねーシロも。」
塞「……はぁ」
塞「毎年渡せず仕舞いの私が、小心者とか言う権利ないか」
塞「…今年は作る手間が省けた分、マシかもね」
塞「あはははは……はは……は」
塞「……ぐすっ」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:48:00.17 ID:+0bBIdFG0
翌朝
塞「あー、朝になっちゃったかー」
塞「やだなーいきたくないなー」
塞「…開き直って、タバスコでも仕込んじゃおうか」
塞「…なんてね」
塞「…いこ」
塞「シロー、来たよ」
白望「うん、ありがと、あがって」
塞「おじゃましまーす」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 02:54:26.97 ID:+0bBIdFG0
白望「じゃあ、塞はそっちお願い」
塞「うん。…うん?」
塞(なんだろう、この、”チョコレートの山”という表現が比喩にならない量は)
塞(シロの好きな人は大変な大食漢なんだろうか…)
塞(いやいやいやいや、どう考えても人間の胃袋の容積超えてるよこれ)
塞(え? マジでなにこれ?)
白望「湯せんで溶かして型に流して、出来たの片っ端から冷蔵庫に突っ込んで」
白望「冷蔵庫がいっぱいになったら二階のも使って」
塞「え?うん。…ええ?」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:00:02.63 ID:+0bBIdFG0
塞「ちょ、ちょっと待ってくださいよシロさん」
白望「なに?」
塞「ちょっと、私が想像してたのと状況がだいぶ違うんですけれども」
白望「?」
塞「私としてはさ、それはもうバレンタインにふさわしい装飾凝ったチョコレートを作るのを手伝わされると思っていたんですよ」
白望「いや、そういうのなら自分で作るし…」
塞「え?じゃあなんで私いるの?」
白望「手伝ってもらうためだけど」
塞「えー?」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:09:23.60 ID:+0bBIdFG0
塞「…ひょっとして、ひょっとしてだけどさぁ」
塞「チョコ作りの手伝いって、本命チョコじゃなくて、義理チョコ量産の手伝い…だったりする?」
白望「うん」
白望「…毎年さ、たくさんの人が、私にチョコくれるじゃない」
塞「…うん」
白望「でも、私はそのお返しとか、一度もしたことなかったんだよね」
塞(相手がシロだと、渡す側はお返しなんて考えてもないと思うけどなぁ…)
白望「だから、ダルいけど、今年は私からも…って思って」
塞「それで、この量か…」
白望「うん。一応、今まで貰ったプレゼントの包装とかは取ってあったから、わかる範囲で全部」
白望「もう、県外に行っちゃった先輩とかには、さすがに無理だけど」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:10:55.76 ID:p7c7uYUG0
シロちゃんマジぐう聖
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:16:53.11 ID:+0bBIdFG0
塞(ふむ、つまり)
塞(…つまり、全部私の勘違いかぁ…)
塞「ふ…ふふふ…」
白望「塞?」
塞「あーっはっはっはっはっはっはっは!」
塞「ははははははは!」
白望「ちょ、ワライダケでも食べた?」
塞「いやいやいや、ひいーっ、ひーっ、あはは…おーけーおーけー、よっしゃ、手伝うわ」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:20:28.88 ID:+0bBIdFG0
塞「あー、でも、やっぱこういうのはシロが作ったほうがいいんじゃ?」
白望「うん、最初はそう思って、一人で作ってたんだけど」
塞「うん」
白望「これリスト」
塞「…………」
白望「半分ほど作ったあたりで炎症起こしかけた」
塞「ああ…」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:25:41.75 ID:+0bBIdFG0
塞「…下手すると今日中には終わらないかもね」
白望「こないだは同じ量を1日かけてやったから…今日は塞もいるし、大丈夫」
塞「だといいけど…」
白望「それじゃあ頑張ろう」
塞「おー…」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:31:39.85 ID:+0bBIdFG0
塞「…ねえシロ」
白望「…んー?」
塞「本命チョコは、作らないの?」
白望「……内緒」
塞「えーっ、こんなに尽くしてあげてんのに! 教えなさいよ!」
白望「やだ」
塞「けち!」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:35:18.72 ID:+0bBIdFG0
白望「塞のほうは、どうなの」
塞「え、私?」
白望「うん」
塞「私は、うーん…」
塞「渡すかもしれないし、渡さないかもしれない」
白望「…作りはするんだ」
塞「…変なところで鋭いよねシロって」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:41:17.01 ID:+0bBIdFG0
塞「毎年さ」
塞「作ってるんだよね、本命チョコ」
塞「でもさ、本命がさ、それはモテるのなんのって」
塞「いざ渡しに行こうとするとさ、囲まれてんのよ、チョコに」
塞「しかも、女子力とか、本気度とか、そういうのがすんごい滲み出てるのそのチョコ陣」
塞「まるで結界」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:47:03.11 ID:+0bBIdFG0
塞「結局、ビビって渡せず仕舞い」
塞「笑えてくるわ。自分の臆病さに」
塞「シロも笑っていいわよあはは」
白望「……へえ」
塞「いや、ギャグっぽく流してよそこは」
塞「ちょっと恥ずかしいじゃない」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:52:15.65 ID:+0bBIdFG0
白望「塞の本命は――」
塞「ん?」
白望「……ちょいタンマ」
白望「んー……」
白望「…やっぱいいわ」
塞「ちょ、そこで切らないでよ、超気になるんだけど」
白望「気にしないで」
塞「えー、ちょっと、もうちょっとこう、私に配慮してよ」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 03:57:24.81 ID:+0bBIdFG0
白望「どうせ、すぐにはっきりするし」
塞「え? なんか言った?」
白望「なんでも」
塞「そう…って、いつの間にかもう夜じゃない」
塞「このままじゃバレンタイン間に合わないわよ」
白望「ん、頑張ろう」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:00:17.34 ID:+0bBIdFG0
…
塞「終わったー!!」
白望「疲れた…」
塞「もう二度と手伝わないからね…」
白望「もう二度とやらないよ」
白望「……今年のは、けじめだから」
塞「?」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:08:47.11 ID:+0bBIdFG0
白望「一人で作りきれなかったって言うのは、半分は口実」
塞「はァ?」
白望「どうにか0時まで、塞を手の届く範囲に縛っておきたかった」
白望「バレンタインデーに一番に、本命――塞にチョコレートを渡すために」
塞「え」
白望「ハッピーバレンタイン、塞」
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:12:34.00 ID:2/yaZfPE0
このシロは本気だ
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:16:24.20 ID:+0bBIdFG0
塞「っは、はは、シロ、どうしてくれんのさ」
塞「シロのせいで、本命チョコ、作れなかったじゃない」
白望「…ごめん」
塞「しょうがないから、ちょっと貰うよ」
白望「…?」
塞「シロのチョコだから、味見して、飽きちゃってるかもしれないけど…」パク
塞「…」チュ
白望「…っ…!」
塞「…私からも、ハッピーバレンタイン」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:19:39.38 ID:2/yaZfPE0
すばらっ
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:22:26.56 ID:+0bBIdFG0
白望「…両思い、かな」
塞「そうだね……ひぐっ」
白望「…塞?」
塞「あーっ、あーっ、ぐすぐすっ」
白望「どうしたの?」
塞「もーっ、ずーーーーっと不安だったのよーこのこの!」ポカポカ
白望「…いたい」
塞「もっとさーモテなくなりなさいよーもーっ!」
白望「そんな理不尽な…」
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:27:53.00 ID:+0bBIdFG0
白望「今年からは、ちゃんと断るから…」
塞「うんうん、そうしなさい」
白望「「塞に悪いから」って言って」
塞「やめて刺される」
白望「冗談だよ」
塞「交際初日で刃傷沙汰とか洒落にならないからね」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:34:34.61 ID:+0bBIdFG0
白望「さて、これからが大変だね」
塞「うん?」
白望「このリストの全員にチョコ渡しにいかないと」
塞「あー、そうか、その作業があった…」
塞「こればっかりは着いていっちゃ駄目だよねぇ」
白望「うん、それじゃあ行ってくる」
塞「いってらっしゃい。刺されないようにね」
白望「縁起でもない…」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:38:15.05 ID:+0bBIdFG0
白望「チョコの材料は十分あまってるはずだから」
塞「え?」
白望「道具の位置も覚えたよね」
塞「うん?」
白望「期待してるよ。…行ってきます」
塞「え、どういう…」
塞「……あー、そういうことね、抜け目ないなぁ」
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:49:39.54 ID:+0bBIdFG0
塞「道具よし、材料よし、…あ、愛情よし」
塞「…は、はずかし…。…いやいやなんで誰も見てないのに照れてるのさ」
塞「数年分の思いが詰まった本命チョコ、しっかり味わってもらわないと」
塞「よし、一丁頑張りますか!」
カン!
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/21(木) 04:51:55.90 ID:4ck0Iqcb0
おつ!