【阿知賀SS】宥「さむい……」穏乃「運動しましょう!!」【玄】

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:45:33.83 ID:9rRDHi5Ro

穏宥
全鯖規制あったかくない……

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:47:38.76 ID:9rRDHi5Ro

阿知賀麻雀部室

宥「うー……ストーブストーブ……」フルフル

玄「お姉ちゃん、まだ暖かいし暖房はもう少し我慢ね」

宥「はうう~」

憧「相変わらずだねー宥姉」

灼「あんなに着込んでるのに……」

憧「宥姉用のこたつとか持ち込んだらいいんじゃない?」

宥「部室におこた……あったかい……」ポワーン

玄「そうしたら今度はこたつから離れなくなりそうだけどね」

宥「そ、そんなことは……あるかも」

憧「ていうか宥姉っていつも厚着してこたつとか布団にくるまってるイメージあるけど……
ぶっちゃけその……太らない?」

宥「ええっ!?」ガーン

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:49:36.64 ID:9rRDHi5Ro

玄「そうなんだよねー、お姉ちゃんてば運動とか全然しないのに、むしろ細いくらい」

灼「実にうらやま……」

宥「そ、そうかな」テレテレ

憧「まあ確かに脂肪ついてないから寒がりなのかもね」アハハ

晴絵「いいよね~若い人は食べても全然太らなくて」

灼「あ、ハルちゃん」

晴絵「年取るとさ……油断するとあっという間に……フフフ……」

憧「何か実感こもっててやだあ」

灼「ハ、ハルちゃんも十分若いし細いと思……」

穏乃「オッスオラ穏乃!!」ババーン

晴絵「お、やっと来たか」

憧「こら遅刻」

穏乃「ごめんごめん、イノシシに乗って遊んでたら遠くまで行っちゃって」

憧「あんた何やってんのよ……」

晴絵「じゃあ練習始めるぞー」

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:52:18.16 ID:9rRDHi5Ro

帰り

宥「さむい~」フルフル

玄「おうち帰ったら温かいココアいれてあげるね」

宥「玄ちゃん……ありがと~」

憧「そういえばシズも全然太ってないわよね……」

穏乃「?」

憧「いや穏乃が来る前ね、宥姉って運動とかしないのに全然太ってないなーって話になって」

穏乃「言われてみれば確かに、普段厚着してるからあんまり分からないけど」

玄「お姉ちゃん細いんだよー、腰とか」ギュ

宥「はひゃ!? く、玄ちゃんくすぐったいよお」

憧「シズはいつも動き回ってるから太る心配はなさそうね」

穏乃「えっへん! でも体重とかあんまり気にしたことないや」

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:56:27.07 ID:9rRDHi5Ro

憧「気楽でいいわよねシズは……私なんかこれでもいろいろ気遣ってるのに」

玄「太ったお姉ちゃんは見たくないし、お姉ちゃんもちょっとは身体動かした方がいいかもね」

宥「そ、そうかな……」

穏乃「じゃあ運動しましょうそうしましょう!運動すれば身体もあったまるし!」ガシ

宥「わっ」

穏乃「山までダッシュだー!!」

宥「し、穏乃ちゃん引っ張らないで~!」

ダダダダダ….

玄「……行っちゃった」

憧「宥姉、山仲間に引き入れられないといいけど」アハハ

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:57:50.83 ID:9rRDHi5Ro

宥「し、穏乃ちゃ……ま、待って……」ヘロヘロ

穏乃「まだ山には着いてないですよ?」

宥「はあ……はあ……はひぃ……もう走れない……」

穏乃「え、もう!?」

宥「はひはひ……」

穏乃「でも全力疾走したから身体あったまりましたよね! やっぱり寒いときは運動に限る!」ウンウン

宥「は、走ってるときは……あったかいけど……」

穏乃「けど?」

宥「……汗が冷えて……寒い……」

穏乃「ええっ!? す、すみません、ええと……」キョロキョロ

穏乃「そこのベンチで休んでてください! 私自販機で飲み物買ってくるんで!」ダッシュ

宥「う、うん……」

宥(穏乃ちゃん、元気だなあ)

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:59:01.31 ID:9rRDHi5Ro

穏乃「お待たせしました!」ババッ

宥「わ、早い」

穏乃「ココアと紅茶とどっちがいいですか?」

宥「あ、じゃあココアで」

穏乃「どうぞ」

宥「ありがとう……えと、120円?」

穏乃「いいですよ! 無理やり付き合わせちゃいましたし、お詫びというかお礼というか」

宥「そう? じゃあ甘えちゃおうかな、ありがとう穏乃ちゃん」

穏乃「えへへ、どうも」

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/10(日) 23:59:38.06 ID:9rRDHi5Ro

宥「ん……ふう、ココアあったか~い」

穏乃「紅茶もあったか~い」

宥「ぷっ、穏乃ちゃんなにそれ、変なの」

穏乃「ええ、宥さんの真似したのに!」

宥「もー、私そんなんじゃないよ?」

穏乃「そ、そうですか」

宥「ごく……はふぅ、あったか~い」ポワーン

穏乃(え~……)

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 00:00:59.56 ID:m22rpUTHo

宥「……ねえ穏乃ちゃん」

穏乃「はい?」

宥「」ポンポン(自分の膝を叩く)

穏乃「?」

宥「穏乃ちゃんだっこしたいな~……なんて……」

穏乃「へ!? だ、だっこ……!?」

宥「あ、あのね、前に玄ちゃんが」
玄『穏乃ちゃんってちっちゃくてかわいいよねー』

玄『膝に乗せてだっことかしたら、ぬいぐるみみたいであったかそう~』
宥「て言ってたから……」

穏乃「そ、そうなんですか」

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 00:02:23.74 ID:w+dFSc6to

宥「ご、ごめんね変なこと言って……嫌なら……」

穏乃「別に嫌じゃ……じ、じゃあ失礼します!」ポフッ

宥「わっ……じゃあ私も失礼して……」ぎゅ

穏乃「!」

宥「んー」ぎゅー

穏乃(な、何かいいにおいする……)

宥「穏乃ちゃん、あったかい……」

穏乃「ひゃ!?」

宥「ご、ごめん、くすぐったかった?」

穏乃「い、いえ、耳に息がかかってびっくりしただけで!」ドキドキ

宥「そっか、ごめんね」ヨシヨシ

穏乃(な、何で頭撫でられてるんだろ)ドキドキ

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 00:03:07.21 ID:5f4mUMpio

宥「こうやってお外でのんびりするのもいいね。穏乃ちゃんのおかげで寒くないし……」ぎゅ

穏乃「わ、私もあったかいです、宥さんの……」

宥「えへへ。穏乃ちゃんと二人きりって、新鮮だなあ」

穏乃「だいたい他に麻雀部の誰かがいますもんね」

宥「そうだね~……」ナデナデ

穏乃(あ、また……)

宥「……」ナデナデ

穏乃「……」

穏乃(なんか、いいな、こういう雰囲気……)

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 00:04:06.98 ID:iVr2ofYro

宥「……」

穏乃「……」

宥「……」うとっ

穏乃「……宥さん?」

宥「すぅ……すぅ……」

穏乃「あ、寝ちゃった……」

宥「むにゃ……」

穏乃(よっぽど疲れてたんだなぁ)

穏乃(そろそろ帰らないと暗くなっちゃうけど)

宥「ん……あったか……」ぎゅ

穏乃(もう少しだけ、このまま)

宥「すぅ……すぅ……」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 00:07:11.02 ID:6o7AYFEEo

次の日

晴絵「あれ、宥は?」

玄「お姉ちゃんは筋肉痛がひどくてお休みです」

憧「じー」

穏乃「あ、あはは~……」
カン!

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 09:41:39.33 ID:ZAhlpEIRo

ボーリング場なら空調もあるし運動の場としては最適なのではないか(ステマ)

20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:04:56.34 ID:ZJfDde1Ko

休日、松見家

宥「よいしょ」

玄「あれお姉ちゃん、スニーカーなんて履いてどこいくの?」

宥「あ、えと……ちょっと散歩でもしようかなって」

玄「へえ、珍しいね~」

宥「旅館の準備の時間までには帰るから」

玄「うん、いってらっしゃい」

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:05:35.95 ID:ZJfDde1Ko

ざっざっ

宥(確かこっちの道だったような……)

宥(……あ、あった……あのときのベンチ……)

宥「ふう」ストン

宥(……)

宥(もうちょっと厚着してくればよかったかなあ)

宥(……)

宥(静かだなあ)

宥(……)

宥(……来ない、かな……)

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:07:41.04 ID:ZJfDde1Ko

ガサガサガサ

宥「ふえっ!?」ビク

穏乃「……あれ、宥さん?」ヒョコ

宥「!」

穏乃「わー、奇遇ですね! こんなところで知り合いにあったの初めてですよ!」

宥「穏乃ちゃん……」

穏乃「散歩とかですか? それとも道に迷ったとか……」

宥「えっと、散歩、かな」

穏乃「そうなんですかー」

宥「……あの、穏乃ちゃんも、隣に座らない?」

穏乃「じゃあお言葉に甘えて!」ストン

宥「あ、ありがとう……」

穏乃「? なんで宥さんがお礼?」

宥「えへ……なんでもないよ」

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:08:32.94 ID:ZJfDde1Ko

穏乃「よく散歩とかするんですか?」

宥「ううん、今日は……なんとなく」

穏乃「へえー、宥さんって寒がりだからちょっと意外です」

宥「そうだね、やっぱりちょっと寒いかも」

穏乃「自販機で暖かい飲み物でも買ってきましょうか? ってあれ、前にもこんなことがあったような」

宥「……穏乃ちゃん、もう忘れてる」

穏乃「へ?」

宥「」ポンポン ←膝叩いてる

穏乃「………………ああー! ここってあのときの!」

宥「むー……」

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:09:33.87 ID:ZJfDde1Ko

穏乃「は! てことは宥さんもついに山の良さに目覚めてまたここに!? いいですよね山!! 山最高!! 一緒に登ります!?」

宥「の、登るのはちょっと……」

穏乃「え」ガーン

宥「でも、こうやって景色眺めたり、葉擦れの音を聞いたりするのは好きだよ」

穏乃「分かります! 分かりますよ宥さん! たまに聞こえてくる謎の生物の鳴き声とかワクワクしますよね!」

宥「そ、そう……だね?」

穏乃「だけどそれなら私がいたらお邪魔じゃ……?」

宥「ううん、そんなことないよ……! それに、その……穏乃ちゃんがいてくれたら……あったかいから」

穏乃「あ! そうでした! 私暖かい飲み物買ってきますね!」タッタッタ

宥「……そうじゃないんだけどなあ」クス

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:12:45.51 ID:ZJfDde1Ko

穏乃「お待たせしました! どうぞ!」シュバ

宥「あ、相変わらず早い……ありがとう穏乃ちゃん」

穏乃ちゃんと二人、並んでベンチに座る。

宥(また、穏乃ちゃんと二人きり……)

宥(やっぱり、あったかいなあ)

宥「ふ~」

穏乃「……」ジー

宥「……? 穏乃ちゃん、どうかした?」

穏乃「へっ!? い、いいいえ何でもないです!」

穏乃「あ、あはは~……」

ばつが悪そうに、足をぶらぶらさせながら、ボトルのお茶をもてあそぶ穏乃ちゃん。

小動物みたいな仕草に、心がくすぐられた気分。

自然と顔がほころぶ。

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:16:16.39 ID:ZJfDde1Ko

宥「ねえ、穏乃ちゃん」

あの時と同じように、自分の膝をぽんぽんと叩く。

穏乃「え? ……あ、えっと」

その意味を理解して、どうしよう? いいの? と、私の顔と膝を交互に見比べる穏乃ちゃん。

宥「おいで?」

穏乃「……し、失礼、します」

おずおずと穏乃ちゃんが身を寄せてくる。おしりを浮かせて、膝に乗る。

宥「ん……」

腰から手をまわして、ぎゅっと密着する。

ポニーテールが鼻をくすぐる。外の空気の匂いと、穏乃ちゃんの匂い――

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:17:46.66 ID:ZJfDde1Ko

宥「またこうしたくて、ここに来たんだよね」

穏乃「え……?」

宥「穏乃ちゃんって本当に暖かくて柔らかくて……」

宥「部室とかだとみんながいるから恥ずかしいけど、ここなら……って」

穏乃「そ、そうなん、ですか」

縮こまった穏乃ちゃんは、ハムスターとかリスとか、やっぱり小動物のよう。

あったかいなあ。

後ろから顔を寄せ、穏乃ちゃんの耳にほっぺをくっつけると、

穏乃「ひゃ」

冷たい。けど、寒くはない。穏乃ちゃんのからだはあったかい。

穏乃ちゃんの冷たいところ、私が暖めてあげるね。

腰に回した手で、穏乃ちゃんの手を握る。

やっぱり冷たい。

ここも、暖めてあげる。

28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 00:19:20.70 ID:ZJfDde1Ko

穏乃「あ、あ、あ、あの……ゆ、宥、さん」

宥「穏乃ちゃん、耳も手も冷たい」

穏乃「え、えと……はい……」

握った手をすりすりとさする。穏乃ちゃんの手、私よりちっちゃいかな?

私の体温が穏乃ちゃんに伝わっていくのが、何だかうれしい。

しばらく、こうしてていい――?

穏乃ちゃんは何も言わず、黙って頷いてくれた。

32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:43:38.52 ID:BrYZ6iBQo

それから、この場所は私と穏乃ちゃんの秘密の場所になった。

会いたいときはここに来る――そんな不文律めいた二人のルールが、
いつの間にか出来上がっていた気がする。

穏乃「宥さんっ」

明るい笑顔で会いに来てくれる小さな後輩が可愛くて、
ほとんど日課のように通いつめた。

穏乃「また撫でてほしいなー、なんて……」

そのうち彼女は、学校や部活中に見せるアグレッシブな姿とは別の、
大人しくて甘えんぼな面を見せてくれるようになった。

私はその要求にとことん答えた。
彼女と触れ合っている時間は暖かかったし、引っ込み思案な自分にも、こんなふうに
他人の心を開かせることができるのだ――という、ちょっとした自慢心も、あった。

二人並んで時間を過ごし、何気ないやり取りを繰り返しては、少しずつ、お互いのことを知っていく。
穏乃ちゃんの隣にいることは、もう私にとっての当たり前になっていた。
今日も会えるかな?

34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:26:34.10 ID:NQXB1D5Fo

憧「ねえシズ、今度の日曜、一緒にどっか出かけない?」

穏乃「えっと……うーん」

憧「何よ、先約でもあんの?」

穏乃「う、うん、ちょっとその日は用事が……」

憧「ふーん。じゃ仕方ないか」

穏乃「ごめんね、また今度……」

36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:29:24.94 ID:NQXB1D5Fo

~~~
穏乃「ゆーうさんっ」

宥「あっ……穏乃ちゃん」

穏乃「すみません、遅れて……」

宥「ううん、待ってないよ。それに、特に時間決めてるわけでもないし」

穏乃「あは、そうでした」

宥「隣、どうぞ?」

穏乃「はいっ」

宥「……穏乃ちゃん、手だして」

穏乃「え? はい……」

小さな右手が差し出される。
私は手袋を外して、それを両手で包み込んだ。

穏乃「あっ……」

宥「やっぱり冷たい」

穏乃「す、すいません」

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:33:39.93 ID:NQXB1D5Fo


宥「あったかくな~れ~」スリスリ

穏乃「わわっ」

宥「えへへ……どう?」

穏乃「あ、あったかいです……宥さんの手」

宥「もうじき冬だし、もっと着ないと風邪ひいちゃうよ?」

穏乃「そうですねー……だけどこの格好が一番慣れてるっていうか、動きやすいですし」

宥「寒くない?」

穏乃「走ったりしてれば大丈夫ですよ。じっとしてたら、まあ、寒いかもしれないですけど」

宥「そうなんだ……穏乃ちゃんの手は暖かくっていいなあ」スリスリ

穏乃「宥さん、私の方を暖めてくれてるんじゃなかったんですか?」クス

宥「あれ?」

穏乃「もう大丈夫ですから、手袋つけてください」

宥「そう? じゃあ……」

手を離すと、お互いの手のひらに隙間風が吹いた。何だか手持ち無沙汰だ。

40 :あと2レス 2013/03/04(月) 00:42:12.36 ID:NQXB1D5Fo

穏乃「……」

宥「……」

穏乃「……あの」

宥「うん?」

穏乃「そ、そっちにいっても、いいですか」

宥「いいよ、おいで」

手を伸ばす。
子供を抱き寄せるように、彼女を導く。

穏乃「んしょ……」

宥「ふふっ。最近、穏乃ちゃん甘えんぼだ」

穏乃「す、すみません……」

宥「別に謝らなくても」

ぽんぽんと頭を撫でてあげると、穏乃ちゃんが身体を預けてくる感触。
暖かい――私の好きな、穏乃ちゃんの重み。

宥「よしよし」

穏乃「ん……」

宥「甘えたかったら、遠慮しなくていいよ」

穏乃「うん……」

宥「誰も見てないから」

そう、誰も。

42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:47:03.74 ID:NQXB1D5Fo

宥「ここは、二人の秘密の場所だから」

私と穏乃ちゃんだけの。

宥「私だけしかいないから」

穏乃ちゃんの身体が、やけに熱い。

宥「だからもっとくっついて」

あれ、私。

宥「あったかくなろう?」

なんで、こんなこと言ってるんだろう?

穏乃「――っ!」

私の腕の中で、穏乃ちゃんがもぞもぞ振り向く。

穏乃「あ、あ、あのっ!」

真っ赤な顔。潤んだ眼。伏せた視線はあちこちさまよい、いまにも泣き出してしまいそうだ。

穏乃「ゆ……ゆう、さんっ」

穏乃「わ、私……」

穏乃「あの、私……あの」

心に湧き上がる感覚――何かの予感、焦り、恐怖、ちがう、私は――

穏乃「ゆ……宥さん」

私は――期待している。

穏乃「…………っ」

穏乃ちゃんは、胸に手を当て深呼吸をひとつして、私に向き直った。
真剣な眼差し。
そして、私の望む言葉。

穏乃「宥さん――」

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:47:35.67 ID:7z0P4+sco

盛り上がってきたな

44 :本日分終わり 2013/03/04(月) 00:48:31.46 ID:NQXB1D5Fo

穏乃「――――好きです」

彼女らしい、飾らない告白だった。

49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 11:10:52.85 ID:VhEDYB1/o

~~~~
寒いのは苦手。
だけど、冬は嫌いじゃない。

家のご飯はお鍋が増える。
お店に並んだたくさんのマフラーや手袋を選ぶのが楽しい。
自販機では『あったか~い』が幅を利かせ、暖房器具も動き始め、街が暖色に少しずつ染められて――。

だけど今年は、そんな冬を感じる前に、春が来てしまいました。

とびきりの、私だけの春が。
穏乃「宥さん」

宥「なに? 穏乃ちゃん」

穏乃「宥さーんっ」

ぽふん、と胸に顔を埋められた。
薄着でこたつに入っているせいで、彼女の感触が一層しっかり伝わってくる。

52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 13:09:59.40 ID:VhEDYB1/o

——

穏乃「えへぇ」

なんて、ちょっとだらしない笑い声を漏らすこの子が、私の恋人。
そう……恋人。
実際言葉にするとやっぱり照れてしまうけど、ずっと照れたままでいたいと思う、不思議な感情。

宥「ふふっ、穏乃ちゃん」

こたつの中で彼女の手を取り、きゅっと指を絡ませた。

穏乃「宥さんの手、あったかいです」

宥「穏乃ちゃんも」

穏乃「うん……」

すりすりと私の胸に頬ずりされる。
負けじと私も彼女の髪に顔をくっつけてみると、何だかいい匂い。女の子の――恋人の甘い匂い。

穏乃「ん……しょ」

くっついた体勢のまま、ぐいっと身体を押されて仰向けにされる。
これは、と期待する。私の上に乗っかった穏乃ちゃんの重みに、胸がときめく。
結んだ手に力がこもり、彼女の吐息を肌で感じ、お互い視線が合わさる前にゆっくり目を閉じて――

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 13:19:17.25 ID:VhEDYB1/o

穏乃「宥さん」

穏乃「……大好きです」

やわらかい感触。

胸を締め付ける感覚。

彼女がくれる言葉に、体温に、満たされて包まれて、それでも足りない。

足りないよ――穏乃ちゃん。

穏乃「っ」

唇を咥え込み、舌先でなぞる。
ふぅぅ、と熱い鼻息が頬にかかった。びっくりさせちゃったかな?

絡ませた指をほどいて、片方は腰に、もう片方はポニーテールに。
優しく抱きしめて髪を梳いてあげると、彼女の身体が重くなったように感じた。
リラックスして力が抜け、全体重を私に預けてくれている証拠だ。

穏乃「ふっ、ぅ……」

おずおずと彼女の舌が差し出される。
私の肩をぎゅっとつかみ、これでいいですか? と恐る恐るに試みるような感じが、何だかとても可愛らしい。
もう何回もしてるのに、ね?

そのまま彼女を招き入れ、舌先を唇で食むと、

宥「ちゅっ」

と音を立てて吸い上げた。
瞬間――穏乃ちゃんの身体がびくっと震え、崩れ落ちた。

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 13:32:36.69 ID:VhEDYB1/o

穏乃「はぁっ、はぁ、はぁ……ふぅ……」

宥「穏乃ちゃん、やっぱりこれ、だめ?」

穏乃「だ、だめ……です……」

ごめんなさい、と申し訳なさげに目を伏せる穏乃ちゃんを、よしよしと慰める。

宥「少しずつ慣れていけばいいから」

穏乃「……うん……」

すっかり弛緩しきって私にされるがままの彼女を見ていると、だめなままでもいいんだけどね、なんて思ってしまう。
本人は自分がリードしたがってるみたいだけど、私としては穏乃ちゃんのうぶな反応が大好きだったりする。

宥「穏乃ちゃん、かわいい」

穏乃「い、いきなりなんですか」

宥「だってかわいかったから」

穏乃「あう……」

また胸に顔を埋められる。

60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 13:46:27.13 ID:VhEDYB1/o

宥「それじゃ穏乃ちゃんの顔が見れないよ」

穏乃「う~、見せたくないです」

宥「どうしてかな~?」

穏乃「……」

今度はもぞもぞとこたつの中に隠れてしまった。少しいじめすぎちゃったかも。

穏乃「宥さん、私で遊んでる……」

宥「だって穏乃ちゃんの反応がかわいいから」

穏乃「ま、またぁっ」

宥「ごめんね、ほら、謝るから出てきて?」

手を取るも応答無し。
私も潜っちゃおうか、と考えたところで――
「ただいまー」
タイムリミット。

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 14:12:06.52 ID:VhEDYB1/o

玄「あ、やっぱり穏乃ちゃん。いらっしゃい」

穏乃「お邪魔してます」

玄「今日も二人でお勉強?」

宥「うん」

しれっと答える。
別に後ろめたいことでもないと思うけど、何だか言い出すタイミングもなく、私たちの関係はなし崩し的に秘密のままだ。

穏乃「ちょうど数学で分からないところがあったので。宥さん、教え方上手なのでお世話になってます」

すらすらとこんな筋書きが出てくるあたり、穏乃ちゃんも慣れたものである。
もちろん勉強なんてしていない。微塵も。

玄「私がいると集中できないだろうし、私はお夕飯の準備してくるね。そうだ、穏乃ちゃんも食べてく?」

穏乃「え、でも……」

玄「遠慮しなくていいよー」

64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 14:20:20.37 ID:VhEDYB1/o

穏乃「ええと」

宥「私も、穏乃ちゃんとまだ一緒にいたい、かな」

玄「だって、穏乃ちゃん?」

穏乃「……それじゃあ、お言葉に甘えて」

玄「うんうん、それがいいよ! じゃあ今日はお泊りだね!」

穏乃「へ? い、いえ別にそこまでしてもらわなくても!」

玄「あれ、そのつもりで来たんじゃなかったの? せっかく二人とも付き合っ……」

そこまで言いかけて、はっと口元を隠す仕草。

玄「……えへへ」

宥「く、玄ちゃん……?」

玄「お夕飯の準備をしてまいりますのだ!!!」

びし! と見事な敬礼をして――逃げられた。

穏乃「……」

宥「……」

穏乃「宥さん」

宥「うん」

後で捕まえて、口止めしないと!

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 14:26:05.82 ID:VhEDYB1/o

その後

玄「たぶん、もうみんな知ってるよ……」

穏・宥「えっ」
カン!

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