1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 11:00:42.29 ID:OtHC63Ed0
末原「こんな所で何をしとるんや?」
咲「あなたは姫松の……二位の人?」
末原「喧嘩売っとるんか?」
咲「あ、いや。そんなわけでは」
末原「……ええわ。事実は事実やし。次は負けへんけどな」
咲「は、はい。よろしくお願いします」
末原「それで、こんなところで何しとるんや? 買い物か?」
咲「あの……迷っちゃって」
末原「なんや、迷子か」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 11:07:32.20 ID:OtHC63Ed0
末原「一緒に買い物に出た友達とはぐれたんか」
咲「はい……」
末原「でもそんなん携帯で連絡取ればええやん。スマートフォンあるなら、それで地図検索してもええし」
咲「私、携帯持ってなくて……」
末原「え? 持ってないって、ガラケーも?」
咲「が、ガラケー?」
末原「……スマートフォンとか色々出てる時代に、携帯電話自体を持ってない女子高生がおるとは思わんかった」
咲「す、すみません」
末原「いや謝ることではないけどな……」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 11:11:31.36 ID:OtHC63Ed0
末原「仕方ないなぁ。このまま放っておくのも心苦しいしな。送っていってやるわ」
咲「あ、ありがとうございます」
末原「清澄が泊まってるとこってどこや? 調べてやるから」スマフォ
咲「あ、えっと……分かりません」
末原「……は?」
咲「いや、その。覚えてなくて」
末原「な、名前も?」
咲「……はい」
末原「」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 11:15:24.84 ID:OtHC63Ed0
末原「自分の泊まっとる宿くらい覚えとけや」
咲「す、すみません」
末原「……何と言うか、色々な意味で私の想像を超えていくやつやな」
咲「ど、どうすればいいでしょうか……?」
末原「どうすればと言われても、名前も分からんとなれば検索のかけようもないしな……友達の携帯の番号とか覚えて」
咲「ないです」
末原「まぁ、そうやろな」
咲「……も、もう帰れないんですか?」
末原「そないな顔するなや。大丈夫、一生帰れないなんてことは無いわ」
末原(……たぶんな)
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 11:21:11.40 ID:OtHC63Ed0
末原「しかしどうしよ……そこらの小さな田舎町やないし、適当に歩いとれば見つかるという訳でもないやろな」
末原「日本一人口の多い首都で、その友達に見つけるっていうのも無理ありそうやしなぁ」
咲「……ごめんなさい」
末原「何を謝っとるんや?」
咲「その、ご迷惑かけて」
末原「何や、そんなもん困ったときはお互い様やで。そんな謝るようなことされてない。大阪人の人情舐めるなや」
咲「ごめんなさい」
末原「そういうときは謝るよりありがとうって言いや。ちゃんと送り届けられたあとにな」
咲「……」
末原(……何か調子狂うなぁ)
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 11:21:27.04 ID:grzK+5EAO
なんだかんだで面倒見の良い末原さん
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 13:57:55.05 ID:OtHC63Ed0
咲「……」
末原(麻雀やっとったときは威圧感あったけど、今はそんなことないな)
末原(……そうやな。麻雀で化け物とか魔物とか言われても、中身は結局高校一年生。全国も始めてやろうし)
末原(知らん土地で仲間とはぐれれば不安にもなるし、怖くもなるか)
末原(案外、龍門渕の天江とか、永水女子の神代とかもこんな感じ何やろか……白糸台の宮永照も)
末原「大丈夫や。年上としてちゃんと送り届けてやるわ。な?」
咲「はい、ありがとうございます」ニコッ
末原「……う、うん。任せとき」
末原(……威圧感なければ、結構可愛いなぁ)
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 15:16:39.92 ID:OtHC63Ed0
末原「しかし、やっぱり困ったなぁ。全く手がかりがないし……電車とか使ったか?」
咲「あ、電車使いました」
末原「駅名は?」
咲「えっと、話しながら来たので、覚えてません」
末原「……まぁ、予想はしてたわ」
末原「東京は迷路やしな、慣れてないから何駅くらい乗ったか聞いてもわからんやろなぁ」
咲「……」
末原「ま、まぁまぁ。どうにかなるやろ! ポジティブにいこうやポジティブに」
咲「はい……」ションボリ
末原(……しょんぼりすると、よけい可愛いなぁ)
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 15:56:07.74 ID:OtHC63Ed0
末原「仕方ないなぁ。うちに来るか?」
咲「え?」
末原「確かうちの部長が清澄の部長と仲良いとか言っとったから、清澄の泊まってる場所知ってるかも……」
咲「ほ、本当ですか?」
末原「う、うん……どっちにしろ、いつまでもここで突っ立ってるわけにもいかへんしな」
末原「待ってたら友達が迎えに来てくれるって気配でもないし、とりあえずはうちのホテルに帰って考えようや」
咲「はい。あの、ありがとうございます」
末原「うん……私とははぐれんようにな」
咲「分かりました」
末原「……心配やから、手繋いどこうか」
咲「はい」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 17:07:17.93 ID:Vy6WvGXz0
末原先輩から溢れるお姉ちゃん力
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 17:24:14.89 ID:WRw3Byd2o
末原さんがお姉ちゃんなら家庭崩壊はなかった(断言)
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 18:19:53.76 ID:OtHC63Ed0
――姫松宿泊所――
末原「みんな帰っとらんか……。せめて部長一人残ってくれてたら良かったけど」
末原「まぁでも出かけたのは朝やし、もうそろそろ帰ってくる頃やろ。もうちょっと待っててな」
咲「は、はい!」ビクビク
末原「いや、そない緊張せんでもええよ。取って食おう言うわけでもあらへんし」
咲「はい」ビクビク
末原「……清澄の」
咲「は、はい、何ですか?」
末原「……」ギュッ
咲「!?」
末原「安心せえや。ちゃんと送る言うとるやろ。そんな震えんでも大丈夫やから」
咲「……はい」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 18:24:41.85 ID:OtHC63Ed0
――10分後――
咲「」スースー
末原「安心せえ言うたけど、まさか寝るとはな……やっぱりこの子、想像を超えるわ」
末原「ある意味大将の器やな。私もこれくらいできひんといかんのやろか……?」
咲「……みん、な……」スースー
末原「……という訳でもないか。普通に疲れてたんやな。私を信頼して、安心して眠ったんや」
末原「この子も普通の高校一年生。かなりか弱い部類に入る一年生やんな」
咲「」スースー
末原「……寝顔、可愛いなぁ」ナデナデ
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 20:04:03.32 ID:OtHC63Ed0
咲「」スースー
末原「……」ジー
末原「何というか、こう無防備で居られると、ちょっと悪戯したくなるな……」
末原「い、いやあかんで自分! この子は私を信頼して寝てるんやから。信頼には応えんと!」
咲「」スースー
末原「で、でも、ちょっとくらいなら……その、頬にキスとか、その程度ならあとに残らんし、ええかな」
咲「」スースー
末原「……」チュー
洋榎「ただいまやでー」
末原「ふなっは! しゅ、主将!?」
洋榎「ん? ふなっは? 何やねんそれ。挨拶か?」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 20:09:25.81 ID:OtHC63Ed0
末原「は、はぁ……」
洋榎「朝は『おはふなっは』、昼は『こんにちふなっは』、夜は『こんばんふなっは』やな」
末原「え? いえ、ちゃいますよ」
洋榎「ちゃうんかい」
末原「朝は『はなっは』、昼は『ふなっは』、夜は『ほなっは』」
洋榎「なるほど、時間が経つとはひふへほ順で下がるんやな。じゃ『ひなっは』と『へなっは』はどこやねん」
末原「朝と昼の間と、夕方」
洋榎「なるほど、そういうことか……ってそんな挨拶聞いたこと無いわ! 何やねん。下らんことで長話すなや」
末原「話広げたんは主将ですよ……」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 20:12:49.15 ID:OtHC63Ed0
洋榎「ええけどな。時は金なり言うけど、一分二分のはした金くらいでけちけちせんわ。許したる」
末原「いや、だから話を広」
洋榎「ところでその子、誰やねん」
末原「え? ああ、清」
洋榎「ああ! 清澄の大将か。思い出したわ」
末原「主将。台詞を最後まで言わせてくだ」
洋榎「なるほどなぁ。なるほどなるほど」
末原「……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 20:46:50.63 ID:OtHC63Ed0
洋榎「それで? 何でこの子、ここにおんねん」
末原「いや、さっき街中を歩いてい」
洋榎「拾ってきたんか?」
末原「……まぁ、そんなところです」
洋榎「そうか……よし分かったで! つまりその清澄の子を調べようってことやな!」
末原「……は?」
洋榎「油断して眠っている間に、あの驚異的な場の支配の秘密を探ろうや。体を隅から隅まで調べてな」
末原「調べる?」
洋榎「何かわかるかもやで」
末原「隅から、隅まで……?」ゴクッ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 20:56:02.67 ID:OtHC63Ed0
末原「……」
洋榎「なんてな。まさか対戦相手にセクハラなんてできへんわ!」
末原「」ジー
洋榎「きょ、恭子? 冗談やで?」
末原「え? は、はい。分かってますよ。まさか本気にするわけないですよ」
洋榎「……恭子、そういえばさっきその子に何かしようとしとらんかったか?」
末原「え? いや、そんなまさか……」ダラダラ
洋榎「ま、まさか恭子……」
末原「いや、ちゃいますよ……?」
洋榎「その子に改造手術を!?」
末原「……は?」
洋榎「あかんで恭子! いくら強敵や言うても改造手術で能力奪ったり、記憶操作して私たちの味方にしちゃあかんで」
洋榎「勝負は正々堂々とやで!」
末原「そんなことしません」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 21:26:54.62 ID:1kHm4Xwjo
改造されるのは末原先輩の役目だしな
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 21:48:49.90 ID:OtHC63Ed0
洋榎「しかし、麻雀やっとったときは鬼かと思ったけど、この子も卓離れると普通の高校生やな」
末原「そうですね」
洋榎「何と言うか、寝顔可愛いな」
末原「そうですねぇ」
洋榎「」チュー
末原「ちょ、何しようとしとるんですか! 駄目ですよ!」ガード
洋榎「寝てるしええやん」
末原「駄目です」
洋榎「私を誰と心得るんや、天下の副将軍愛宕洋榎やで!」
末原「そんなセクハラ副将軍知らんし、あんたは副将じゃなくて中堅やないですか!」
洋榎「いや、主将でもあるし」
末原「主将にも副将軍にもセクハラする権利はありません」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:16:52.05 ID:OtHC63Ed0
洋榎「それで恭子。この子いつまでここにおるんやろ」
末原「いつまでと言われても……主将、清澄連絡取れる人いませんか?」
洋榎「連絡?」
末原「実はこの子迷子で、自分の泊まってるとこも分からんらしくて」
洋榎「ああ、そういうことか。それで恭子が保護したんやな」
末原「まぁ、そんなとこです」
洋榎「さすが、下級生の面倒見ええなぁ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:17:34.95 ID:OtHC63Ed0
末原「それで、誰かいませんか? 主将、清澄の部長さんと仲良いとか言ってましたけど」
洋榎「んー。流石に連絡先は知らんかなぁ。でも宿の方知っとるで」
末原「え? まさか主将、清澄の部長さんの跡をつけて……?」
洋榎「私はストーカーか! このあいだ聞いただけや。何か暇あったら遊ぼうとか言う話になってな」
末原「あ、そういうことですか」
洋榎「名前だけやから場所までは知らんけど、調べればでるやろ」
末原「助かります……しかし主将、口達者というか話上手というか、コミュニケーション能力高いですねぇ」
洋榎「はっはっはっ、もっと褒めてもええねんで!」
末原「図々しくもありますが」
洋榎「図々しいも私にとっては褒め言葉やで」
末原「とか言っておいて意外と人の目気にしますよね。宮守の子に怒られたときとか萎縮してましたし」
洋榎「……」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:23:49.71 ID:OtHC63Ed0
洋榎「別に人の目気にしてるわけやないねん。怒られたからちょっとびっくりしただけや」
末原「人の目気にしなさすぎるのも困りものですけどね」
洋榎「ま、まぁその話はええやん。とりあえずはその子やな」
咲「」スースー
末原「そうですね」
洋榎「帰すのは良いとして、問題は恭子のセクハラ行為をどう誤魔化すかやな……」
末原「いやセクハラ行為はしてません。問題は主将の口をどう封じるかやと思います」
洋榎「口封じならガムテープが一番やで。マスクにばってんじゃ効果ないもんな!」
末原「分かりました。漫ちゃんに言って買ってこさせます」
洋榎「い、いや冗談やで? 本気にしなくても……」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:26:49.65 ID:OtHC63Ed0
末原「ともかく、地図検索で宿探して、この子送り届けてきます。遅くなっても困るんで」
洋榎「そうやな」
末原「ついでにガムテープも買ってきます」
洋榎「それはいらん」
末原「それで、清澄の宿はどこですか?」
洋榎「ええっとな、確か……」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:33:24.01 ID:OtHC63Ed0
末原「……なるほど、分かりました」
洋榎「それじゃ私は出かけてくるで」
末原「あれ? 今帰ってきたばかりじゃ」
洋榎「財布忘れてな。まだ昼ご飯も食べてへんし。清澄の子は任せたわ」
末原「……まぁええか」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:38:04.75 ID:OtHC63Ed0
咲「」スースー
末原「さて、起こすか」
末原「起きや。帰れるで」ユサユサ
咲「……も、もうちょっと……」ウーン
末原「何か無理やり起こすの罪悪感あるなぁ……いや、でも起こさんといかんし。起きや」ユサユサ
咲「……う、うん」
末原「おはようさん」
咲「……おはよう、ございます?」
末原「ガチで熟睡しとったとは思わんかったな。さ、いつまでも寝ぼけとらんと帰るで」
咲「……」フラッ
末原「おっと」
咲「」ギュッ
末原「!?」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:41:36.31 ID:OtHC63Ed0
咲「ん……眠いよ」
末原「ね、眠くても起きや。帰るで」
咲「かえる?」
末原「せ、せやで。迷子になっとったやろ」
咲「……あ、ああ」
末原「やっと起きたか」
咲「ご、ごめんなさい!」
末原「別にええけど……いや、ありがとう」
咲「?」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:43:50.26 ID:OtHC63Ed0
末原「ま、まぁええから。早く支度しいや、清澄の宿分かったで」
咲「ほ、本当ですか?」
末原「うん。さっきから言うとったんやけどな」
咲「あ、ありがとうございます!」
末原「それじゃ、帰ろうか」
咲「はい!」
末原「……はぐれんように、手は繋ごうな」
咲「はい!」ギュッ
末原「ん。それじゃ行こか」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:51:47.67 ID:OtHC63Ed0
――清澄 宿泊所――
末原「ここかな……?」
咲「あ、ここです」
末原「そうか。それじゃ、私は帰るな」
咲「はい。ありがとうございました」
末原「うん。もう友達とはぐれんようにな」
咲「はい」
末原「今度会うときはまた麻雀打つときやな、今度は負けへん」
咲「わ、私も負けません」
末原「うん。それじゃな」
咲「……あ、あの」
末原「ん?」
咲「麻雀以外でも、また会えますか?」
末原「……うん。麻雀打つんわ憎いからやない、戦いたいからや。麻雀以外でも、またきっと会えるで」
咲「はい」
末原「それじゃ、またな」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 23:59:00.49 ID:OtHC63Ed0
――姫松 宿泊所――
末原「それロン」
洋榎「またかー! 今日は気合入っとるな。何かあったんか?」
末原「清澄と戦う為に練習中ですよ。戦うからには全力でいかんと、相手にも失礼やし」
洋榎「ふーん。でも全力で戦うだけじゃ困るで」
末原「分かってます。次は負けへん」
洋榎「ま、分かってるならええけどな」
末原「負ける可能性考えつつ、負けへん」
洋榎「んん? 何か変な思考回路に入ってるなぁ」
末原「……早く清澄と戦いたいですよ」
洋榎「まぁまぁ、あと少しやから我慢しいや。もうちょい練習して対策練ってから、全力で戦って勝ちいや」
末原「はい」
おわり